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1.バイデンの勝利宣言
11月7日、アメリカ大統領選で当選確実となった民主党候補のジョー・バイデン氏は声明で「アメリカ国民が私とハリス次期副大統領に信頼を寄せてくれたことを光栄に思う……前例のない障害にぶつかり、記録的な数のアメリカ人が投票した。民主主義がアメリカの中心で深く脈打っているということを再び証明した……選挙戦を終え、怒りや暴言を忘れ、国として団結する時が来た。一緒にやれば私たちに何もできないことはない」と事実上の勝利宣言を行いました。
一方、トランプ大統領はバイデン氏が「勝利した」と一斉にアメリカメディアが伝えた直後に、「選挙終結には程遠い……民主主義とアメリカ国民が望む正当な票集計が行われるまで、私は戦うことを止めない」との声明を発表し、法廷闘争を継続する考えを強調しました。
2.怪しい集計
続々と不正の疑惑があがる大統領選挙ですけれども、6日、連邦最高裁のサミュエル・アリート判事はペンシルベニア州選管当局者に大統領選当日より後に到着した郵便票の分別を命じました。
共和党は投票日以降に到着した郵便投票の集計を差し止めるよう求めていたのですけれども、連邦最高裁は、期日後の郵便投票の集計差し止めそのものは棄却しました。
元々、ペンシルベニア州は投票日から3日後の6日到着分まで集計を認めていましたから、共和党の訴えを退けたのは普通の判断だと思いますけれども、わざわざ期日後到着分を分けて集計するよう指示したことは共和党の訴えを一部認めた形になります。
6日到着分まで集計を認めている以上、本来は分別などする必要もない筈なのですけれども、分別を指示したということはそこに不正の疑いがあると連邦最高裁が疑義を呈していることになります。
なぜなら、分別することで、投票日以前と以降の郵送票でバイデン氏とトランプ大統領の投票比率が変わっていないかを確認することを意味するからです。
もし、バイデン氏とトランプ大統領の投票比率が投票日前とそれ以降とで極端に差があれば、なぜだということになるからです。
元々、郵送票については、バイデン氏が多いという下馬評がありましたけれども、郵送票は投票日以前に到着した分も当然ある訳で、それと比較しても比率に著しい差があれば、郵便票はバイデン氏という下馬評の信憑性が疑われることになります。
3.ミシガンの集計ソフト
11月6日。ミシガン州共和党は記者会見を開き、ミシガン州での開票集計ソフトの「不具合」で、大量の共和党の票が民主党にカウントされていたことを明らかにしました。
記者会見で共和党のローラ・コックス議長は「アントリム郡では、本来共和党に投じられた6000枚の票が民主党側にカウントされ、共和党の候補者に不利益をもたらした」と述べました。
なんでも、ある女性選挙スタッフが集計を点検したところ、トランプ大統領に投じた6000枚の票がバイデン候補に計上されていたことからソフトの不具合に気づいたのだそうです。
コックス議長は「ミシガン州の47の郡で同ソフトが使用されている」と述べていますけれども、47群全部で同様の不具合があったとしたら一郡あたり6000票で28万2000票、1000票でも52000票(=46000+6000)の差があることになります。
ミシガンでのバイデン、トランプ両氏の得票数差は14万票あまりですから、不具合がどの程度あったかによっては結果がひっくり返る可能性があります。
トランプ氏の選挙キャンペーンチーム「Trump War Room」はミシガン州で発覚した問題ソフトの件について言及し、「同ソフトを使用しているほかの郡でも、集計結果に同様の問題がないか、注意深くチェックする必要がある」とツイッターで指摘しています。
更に、共和党全国委員会のマクダニエル委員長も「我々は、ミシガン州のジョセリン・ベンソン州務長官とグレッチェン・ホイットマー州知事が設定したこの集計システムを現時点では信頼していない」とツイート。また、「ベンソン州務長官が選挙の公平性が大事だと思っているなら、すべての監視員が集計を正しく行っているかをはっきりと監視すべきだ……これは私たちの民主主義だ。明らかな違反行為は追究しなければならない。われわれ共和党全国委員会は、選挙の完全性を確保し、投票数と集計問題を調査するために、アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ペンシルベニアに法務チームを配置した」と述べています。
ただ、ミシガン州は他郡でのソフトの調査や、票の再集計を行うとは言っておらず、ガン無視の構えのようですけれども、この事実が明るみになったことは、不正と言わないまでも選挙の公正性を疑わせることになります。
更に、ネットでは他の州でも同じソフトが使われているという指摘もあるようです。
4.トランプのシナリオ
投票が締め切られて間もない4日未明、トランプ大統領がホワイトハウスで支持者らを前に、選挙についての「勝利宣言」を出したことについて、各メディアは「前代未聞だ」と叩きまくりましたけれども、これは全てトランプ大統領のシナリオだという見方もあります。
一般的にはトランプ大統領は早すぎる「勝利宣言」を行ったと見られていますけれども、トランプ大統領の「勝利宣言」は投票所における本人確認付きの投票のカウントが大部分終わった段階で行っていて、その後の殆どは郵便投票の開票だというのですね。
つまり、トランプ大統領が「勝利宣言」を行った後、結果がひっくり返れば、それは郵便投票のせいということになり、否が応でも郵便投票に注目が集まります。
そこで郵便投票での不正が明るみになれば、それがそのまま連邦最高裁に訴える理由の一つになります。
トランプ大統領は「民主党が選挙を盗もうとしている」というストーリーを国民に広めることを狙っているという訳です
実際、郵便投票については、疑惑がどんどん詰み上がっているのは事実ですからね。ある程度以上はトランプ大統領のシナリオ通りに進んでいるといえなくもありません。
5.大問題でなければ最高裁に持ち込めない
ただそうはいっても、表向きの選挙ではバイデン氏が勝利しています。いくらトランプ大統領が「民主党が選挙を盗もうとしている」というストーリーを描けたとしても、それが自身の勝利に結びつかなければ意味がありません。
大統領を決める手続きと期限はアメリカの連邦法と憲法が定めていますけれども、それは次の通りです。
・各州は11月3日から約5週間以内に、どの候補者が勝利したかを決定する。(今回は12月8日が最終期限となる)今のところ、州ごとの下院の票数と上院の議員数ではどちらも共和党が優勢ですから議会投票ではトランプ大統領が再選される公算が大きいと見られています。
・州がそれまでに大統領選の選挙人を決められない場合、連邦議会はその州の選挙人について、最終集計の対象にしないと決定できる
・12月14日、選挙人はそれぞれの州で集まり、投票をする
・来年1月6日以降も過半数の選挙人を獲得する候補者が現れない場合、連邦議会は投票で結果を出す
・下院が大統領を選出、上院は副大統領を承認する。
下院では各州の代表に1票が与えられる。26票以上を得た候補者が次期大統領になる
つまり、選挙結果が揉めに揉めて来年1月6日までに過半数の選挙人を獲得させなければよいということです。
其の為には、「民主党が選挙を盗もうとしている」というストーリーを国民に納得させ、各州の選挙人を決められないようにする必要がある訳です。
となると、やはり選挙を巡って最高裁で争うところまで持っていけないようでは、そのストーリーに説得力を持たせることは厳しいのではないかと思います。
コロンビア大のブリフォルト教授は、重要州での接戦に対しては陣営が争うかもしれないが、訴えが最高裁まで行くには、「憲法上の問題点を指摘する必要がある」とし、「選挙上の係争を最高裁に持ち込むための、標準手続きはない。かなり珍しいことで、大問題に関するものでなくてはならない」と指摘しています。
そして、期日後に到着した投票についても、ほかの票とは別に開票されているとした上で、仮にバイデン氏が、そうした票を足さずに勝利できる場合、法的闘争の根拠はないとしています。
こうしてみると、トランプ陣営が最高裁に持ち込み、議会選挙での逆転勝利を狙っているとしても、その道筋は簡単なものではないことが分かります。
トランプのシナリオが成就するのか。後2ケ月様子を見てみたいと思います。
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