
1.選挙人団確定せず
アメリカの大統領選での選挙人指名の期日を迎えた12月8日、一部を除いた州の選挙人が出揃いました。
現時点での選挙人の一覧については、アメリカ国立公文書記録管理局のサイトに上がっていますけれども、テキサス州が訴えた4州について、連邦最高裁は12/14まで延長せよと指示していますから、最終的な確定は14日まで待つことになります。
その影響で被告4州計62人の選挙人が確定しないことになりました。今日現在、バイデン氏、トランプ大統領どちらも選挙人の過半数270人を超えたとは報じられてはいません。
2.テキサス訴状の受理申立
テキサス州の訴えについては、こちらのサイトで翻訳されていますけれども、連邦最高裁は自身の裁量で選択した訴状のみを審理します。
※9日のエントリー「トランプが諦めない限り、どれだけ棄却されようとどうってことはない」で訴状は受理されたと書きましたけれども、正式にはまだ受理されていなかったようです。お詫びして訂正します。
訴状には、まず、最高裁に受理を要請する「訴状の受理申立」が記載され、続いて訴えの本体である「訴状」が書かれています。
「訴状の受理申立」には次の3点が申し立てられています。
・大統領選挙人の任命に関する絶対的な権限を持ち選挙人条項が権利を付与する州議会に違反して、州の正式に制定された選挙法に対する非立法者による修正。また、これらについて、ネットで纏められた意見が上がっているのですけれども、こちらの方が分かりやすいかもしれません。次に引用します。
・被告州の他の地域よりも民主党の有権者の比率が高い人口を抱え、民主党の管理下にある地方自治体によって管理されている地域では、合法か違法かにかかわらず、有権者により有利に割り当てられるという有権者の扱いの相違。
・被告州の選挙法における投票の完全性保護の違憲な緩和と一致する、被告州における投票の不規則性の出現。
・4州がそれぞれの選挙法に違反する方法で行動し、それによって11月3日の選挙の直前に措置、規則、および手続きを制定および実施することによって憲法に違反した要するに、被告州は違法な手続きで選挙法を変更した為、合法な選挙を行った他の州の選挙を汚した、というものです。
・4州は、正式に選出された立法府によって制定された法令に違反し、それによって憲法に違反した。
州法と連邦法の両方を無視することにより、これらの州は、自国民の投票だけでなく、テキサス州や合法的な選挙を行った他のすべての州の完全性を汚した
・この行動は、行政機関の州選挙当局または司法当局による州選挙法の非立法変更となるので、これらの行動に従って選挙人団の選挙人が投じた投票は、憲法上有効とは見なされない
3.ペンシルベニアの反論
テキサス州の訴えを受け、連邦最高裁は被告4州に対し、12月10日までに訴えに対する回答をせよと命じました。
これに対し、ペンシルベニア州が"反論"の回答をしました。
テキサスの訴えとそれに対するペンシルベニアの反論について一部を並べると次のとおり。
○PRELIMINARY STATEMENTテキサス州の細々な主張に対して、法律違反ではないと反論しているのですけれども、水掛け論的な感じがします。
・テキサス州が4つの州での選挙を求めていることについて同意しない。
・テキサス州がこの訴訟で行っていることは、裁判所に根拠のない大量の主張の再考を求めることだ。
・選挙の問題点は、当裁判所や他の裁判所ですでに検討され却下されている。
・テキサス州は明らかにこのような請求を提起する資格を欠いている。
・テキサス州は、裁判所に憲法を解釈してもらおうとしているのではなく、憲法を無視している。
・テキサス州の努力は、法律にも事実にも何の根拠もない。裁判所はこれに従うべきではない。
TXの主張「署名確認を破棄した」
PAの反論「署名が原因で投票用紙を却下することはできないというのがPAの法律だ」
TXの主張「監視員が監視することが出来なかった」
PAの反論「監視員は同じ部屋にいた。よって法律に反していない」
TXの主張「郡によって基準が異なっていた」
PAの反論「その訴訟はトランプ陣営によって行われており、既に棄却されている」
TXの主張「PAの最高裁が郵便投票の期限を変えた」
PAの反論「法律違反ではない」
TXの主張「特定の郡で、投票用紙に違法な処理を行った」
PAの反論「ちょっとした問題のために投票用紙を却下できない」
TXの主張「遅れて到着した投票用紙を判別せず、法廷との約束を破った」
PAの反論「指示に従って判別した」
TXの主張「11月4日の午前3時の時点で、トランプ大統領が優勢だったのを覆す確率は4兆分の1以下だ」
PAの反論「テキサスが参照したデータが間違っている。既に法廷で棄却された内容に過ぎない」
ただ、ペンシルベニア州は、テキサス州が「訴状の受理申立」で「合法な選挙を行った他の州の選挙を汚した」と述べている点について、「B. This untimely action is moot」で、「テキサス州は、総選挙から34日後の2020年12月7日、ペンシルバニア州のトム・ウルフ知事が選挙結果を認定してから13日後の2020年12月7日に本訴訟を開始した……ペンシルバニア州がすでに選挙結果を認定した後に何百万人もの有権者の権利を剥奪することは、選挙制度に対する国民の信頼を著しく損ない、民主主義の原則に反し、テキサス州の理不尽な遅延と手続き上の駆け引きに報いることになる」と反論しています。
つまり、自分に都合が悪くなったから訴えたのだろう、そちらの方が国民の信頼を損ない、民主主義に反しているのだ、という主張です。
筆者とすれば、この問題は、アメリカの合衆国としての在り方をも問うているような気がします。確かに各州の独立性は認められるにしても、州は同時に合衆国を構成する一員です。大統領選挙は、その各州の集合である合衆国の大統領を選ぶものです。ですから、各州の独立性をたてに「今更文句いうな」という反論は、流石に身勝手に過ぎないかと筆者には思えます。
4.大東亜合衆国
アメリカの現状を感覚的に掴むために、こんな譬えが適切かどうかは分かりませんけれども、ちょっと、架空の連邦国家というものを考えてみます。
その"合衆国"とは次のようなものです。
名称 :大東亜合衆国もし、あなたが、最高裁判事だったとして、この訴えを受理しますか?
首都 :東京
構成州:全13州(日本州、台湾州、韓国州、インドネシア州、カンボジア州、シンガポール州、タイ州、フィリピン州、ブルネイ州、ベトナム州、マレーシア州、ミャンマー州、ラオス州)
公用語:日本語
政治 :首相公選制
政党 :自民党、民主党の二大政党
この大東亜合衆国の首相および副首相は次のように選出されます。
1)各州の政党で予備選挙を行った後、政党としての首相候補と副首相候補を選出
2)選出された首相候補と副首相候補に投票するための選挙人を各州で選出する。選挙人の数は人口比で決定する。
※選挙人の選出方法は各州に任されているが、一般的に住民投票で決める
3)各州から選出された選挙人は、決められた期日に東京に集まって投票し、過半数の票を獲得した候補が大東亜合衆国の首相と副首相になる。
この大東亜合衆国で首相選挙が行われたのですけれども、その政治的背景は次のとおりです。
□政治背景
・自民党、民主党どちらにも親中派が存在するが、民主党の多数は親中派
・中国はマスコミ、経団連にも政治工作を行っており、マスコミはほぼ中国批判をしない
・マスコミは日本州出身で自民党選出首相候補の安倍晋三氏をレイシスト呼ばわりし、ほぼ毎日批判している
・その一方マスコミは民主党選出首相候補を持ち上げ、事前調査でも圧勝すると宣伝しつづけていた
こうして行われた首相選挙では、大接戦の中、民主党候補が勝利したと伝えられたものの、いくつか州で不正選挙が発覚。
しかし、その不正が首相選挙を引っ繰り返す程のものであるかどうか証明できずにいる状況。
そんな中、台湾州が不正を行ったとされる州を提訴。台湾州の訴えは、不正を行った州は首相選挙のルールを議会にも住民投票にも掛けずに行った。これは首相選挙のルールを定めている大東亜合衆国憲法に違反している。これは合衆国全体の選挙の完全性を損なうものだ。
この訴えに、台湾州に賛同する州と反対する州とで真っ二つに分かれてしまった。
台湾州の訴えは大東亜合衆国最高裁に持ち込まれました………
もし、受理した場合、どういう判決を下しますか?
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