
1.ラトクリフ報告書
12月18日、アメリカのラトクリフ国家情報長官は、民主党下院議員で、下院諜報委員会に所属するエリック・スウォルウェル氏に関する報告書を提出しました。
これは、先日、延期になったと言われていた大統領選挙への外国の介入を報告する、例のラトクリフ報告書だと見られています。
報告書は、スウォルウェル氏が中国のハニートラップスパイ「クリスティン・ファング」と長年交際し、中国のスパイ計画に関与していたというもののようで、ラトクリフ長官が共和党の下院少数党院内総務のケビン・マッカーシー議員とペロシ議長に、スウォルウェル氏と「クリスティン・ファング」との関係について説明しました。
マッカーシー議員は国会議事堂の記者団に対し、 スワルウェル議員は情報委員会に参加すべきではないとし、「私が知っている他の民主党員は間違いなく200人いると思う」と語ったそうです。
2.我々の間に一切の不一致はない
12月19日のほぼ同一時刻(午前4時30~31分:日本時間)、ポンペオ国務長官とムニューシン財務長官が、「大統領令の実行について、我々の間に一切の不一致はない。現在省庁を超えて調整している」という内容のツイートを行いました。
これについてネット界隈ではでは、いよいよなのかと噂になっているようです。
ラトクリフ報告書を提出するよう規定しているのは、2018年9月12日に署名された「外国の選挙干渉に対する制裁命令に関する大統領令」ですけれども、14あるセクションのうち最初の3つで次の様に定められています。
セクション1:大統領選挙終了後45日以内に分析・評価を行い、報告書を提出すること既に12月19日現在、セクション1は実行されました。次はセクション2に移ることになるのですけれども、其の為に財務長官は、国務長官、司法長官、国土安全保障長官と協議するようにセクション3に規定されています。
セクション2:外国の選挙妨害に関与した米国人、米国法人等を対象とし、選挙に直接間接の干渉等(財政的、物質的、技術的支援、代理行為も含む)の行為に対して、財産を制限する
セクション3:財務長官は、セクション1での評価および報告書を検討し、国務長官、司法長官、国土安全保障長官と協議・検討を行い、セクション2に従ってすべての適切な制裁を課しすこと
先のポンペオ国務長官とムニューシン財務長官が同時に同じ内容のツイートをしたことを考えあわせると、現在セクション3に入っていると思われます。
3.外国の選挙干渉に対する制裁命令に関する大統領令
ただし、「外国の選挙干渉に対する制裁命令に関する大統領令」のセクション3において協議するように示されているのは、財務長官と国務長官だけではありません。司法長官、国土安全保障長官とも協議することになっています。
司法長官については、12月1日、大統領選で大規模な不正の証拠は見つからなったと発言したバー司法長官が23日に辞任することが発表され、ローゼン司法副長官が司法長官代行になるとしていますから、大統領令の実行判断については後任のローゼン長官代行が行うと思われます。
また、国土安全保障省のチャド・ウォルフ長官代行は12月3日、記者会見で「今回の選挙に外国勢が介入、もしくは操作に成功したことを示す兆候はない」と述べています。
ポンペオ国務長官とムニューシン財務長官が我々の間不一致がないとツイートした"我々"の範囲が何処までなのか分かりませんけれども、ローゼン司法長官代行とチャド・ウォルフ長官代行の合意を取り付けなければならないことを考えると、注目の大統領令は、やはりバー司法長官が辞任してローゼン氏が正式に長官代行となる23日以降になるのではないかと思います。
4.最高裁では決着をつけない
12月18日、ミシガン州のドミニオンの選挙システムを現地調査したセキュリティの専門家のラッセル・ラムズランド氏はニュースマックスに出演し、トランプ陣営の法廷闘争について、「証拠が聞かれる前に訴訟が却下されているため、法廷で勝つことは考えていないだろう……しかし、今後数日のうちに、競争の場を劇的に変える情報がいくらか出てくると思います。本当の問題は、人々がそれについて報告するかどうかです」とコメントしました。
先日、テキサス州が選挙不正について激戦州を訴え、連邦最高裁が受理を拒否しましたけれども、連邦最高裁のロバーツ判事が、暴動を恐れてテキサス州の訴訟を認めないよう他の判事を恫喝したという暴露記事が出たようです。
この暴露がどこまで本当なのか分かりませんけれども、これが本当であれば、連邦最高裁すら信用できないことになります。
これを聞くと、ラムズランド氏がトランプ陣営が法廷で勝つことは考えていないだろうと述べたように、トランプ陣営が最高裁すらあてにならないとなれば、もう残る手段は限られています。
ポンペオ国務長官とムニューシン財務長官が我々の間不一致がないとツイートした直ぐ後、トランプ大統領は、クリス・ミラー国防長官代行とミーティングしています。
トランプ大統領は腹を括ったのかもしれません。
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