
1.台湾保証法2020とチベット人権法
12月27日、アメリカのトランプ大統領は台湾保証法2020とチベット人権法に署名し成立させました。これは同じく27日に成立させた新型コロナウイルス追加景気対策・歳出法に含まれていた法案です。
台湾保証法2020は台湾との関係について定めた「台湾関係法」を基礎に、さらなる関係深化を目指すことが目的とされています。アメリカ政府は台湾の「非対称戦力」の発展を支持するとし、武器売却の常態化で台湾の自己防衛能力の強化を支援するとしています。
そして、国務長官には成立から180日以内に、台湾との関係に関する書類やガイドラインを検討し、高官による相互往来・交流を促す「台湾旅行法」の実施の状況などについて上下両院の外交委員会に報告することが求められます。
更に、予算案には、日米台の交流プラットフォーム「グローバル協力訓練枠組み(GCTF)」の活動費用として300万ドル(約3億円)が組み込まれました。
また、チベット人権法の方は中国がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の後継者選定に介入した場合、制裁を検討すると規定。更に中国がチベット自治区ラサに米領事館設置を認めない限り、中国による新たな在米領事館設置を承認しないことも含まれています。
2.内政干渉はどちらか
これら法案の成立に中国は反発。
28日、中国外務省の趙立堅副報道局長は記者会見で「純粋に中国の内政であり、いかなる外部勢力の干渉も容認しない……国家の主権、安全保障、開発権益を守る中国政府の決意は揺るがない」と強調。更にアメリカは両国関係の悪化を避けるために発効させるべきでないと述べました。
中国政府は、法案を内政干渉だと反発していますけれども、であれば、アメリカ大統領選への介入は内政干渉ではないのか。アメリカにしてみればそう言い返すことだってできます。
まぁ、もちろんこんな中国の反発で怯むアメリカではないでしょうけれども、トランプ政権が続く限りはこの流れは変わらないと思われます。
3.ウイグル族の虐殺認定
トランプ政権の対中圧力はそれだけではありません。
中国政府による中国新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族への弾圧について、国際法上の犯罪となるジェノサイドと認定するかどうかの検討に入ったことが伝えられています。
検討はポンペオ国務長官が指示。国務省で国際刑事司法問題を担当するタン大使が検討作業を取りまとめ、ポンペオ氏に報告する予定とのことですけれども報告時期は不明。仮にジェノサイドに認定した場合、中国に対する何らかの制裁措置を求める声が高まるのは確実とみられています。
4.日本はウイグル弾圧情報を米英に提供した
中国政府によるウイグル族への弾圧の情報については、日本も絡んでいます。
昨年、日本政府は中国でウイグル族を強制収容した根拠となる独自に入手した情報を、出所を明らかにしない条件で、出所を明らかにしない条件で米英両政府に提供していたことが明らかになりました。
日米の関係筋によると、アメリカはこれらの情報を基にウイグル族を弾圧したとして中国への非難を展開していたそうですから、そこには日本政府の力もあったということです。
去年の話がこのタイミングで出るということは、昨今噂されている日本の「ファイブ・アイズ」参加のための地均しという狙いもあるでしょうし、また、日本がアメリカサイド、ブルーチームの一員であるということを中国を含め内外に知らしめるという意味合いもあるのではないかと思います。
もしも、今後アメリカが、中国によるウイグル族の虐殺認定をし、何らかの制裁を行った場合、日本を始め同盟国にも連携を求めてくる可能性があります。
特にオーストラリアやイギリスが反中姿勢を鮮明にする中、対中姿勢が今一はっきり見えない菅政権にとっては、日本の態度を明らかにする試金石になるかもしれませんね。
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