
1.習近平入院の噂
12月29日、アメリカ在住中国人が運営する個人サイト『路徳社』は中国の習近平国家主席が脳動脈瘤の治療のために入院していると伝え、ネットを中心に話題になっています。
『路徳社』によると、習近平主席は入院前に国家緊急危機管理室を緊急に設置。そのメンバーは、許其亮氏(中央軍事委員会副主席・空軍上将)、丁薛祥氏(中国共産党中央弁公庁主任)、朱学峰氏(習近平氏の秘書)、習遠平氏(習近平氏の弟)と最側近で固め、王岐山副主席や、中国共産党中央委員会の6人の常任委員は含まれていません。
路徳社は、習近平主席は脳動脈瘤の介入手術などの重大な問題と重要なポイントと対峙する際は、脳みそを冷静させ、目玉をよく光らせておけと述べ、常任委員に対しこの間では必ずおとなしくしていろと警告。かつて江沢民が病気になったとき、周永康が胡錦濤に身を寄せたような事態が起こることを防ごうとしている。国家特別危機管理部を設立したのもその為だ、としています。
2.脳動脈瘤
脳動脈瘤とは、脳の動脈の分岐点が瘤のように膨らむ病気です。
脳動脈瘤は血流に押されて動脈が膨らむことで形成されると考えられていますけれども、脳動脈瘤の中には動脈に流れている血液が常に循環しているため、基本的に脳動脈瘤が自然にしぼんで治癒することはありません。
この瘤が破れていない状態のものを未破裂脳動脈瘤といい、瘤があるだけの状態ではほぼ無症状です。
ただ、非常に稀なケースとして、脳動脈瘤が動眼神経の近くにあり、かつ脳動脈瘤が破裂する寸前に増大し、動眼神経がこの増大した脳動脈瘤に圧迫されると、眼球や上まぶたの運動を支配する動眼神経の機能が障害されます。すると、上瞼がさがったり、片目が外側を向いて物が二重に見えたりといった症状が突然起きることがあります。
瘤が破裂してしまったものは破裂脳動脈瘤といわれ、くも膜下出血を引き起こします。くも膜下出血とは、くも膜という脳の表面を覆っている膜の下に血液が溜まった状態のことで、緊急の治療が必要になります。先に述べた上瞼がさがったり、物が二重に見えたりするといった症状が現れたときには、脳動脈瘤が破裂する寸前と判断して、ただちに治療が必要になります。
脳動脈瘤はサイズが大きいほど破裂率が高くなることも分かっていて、3~4mmの小さな脳動脈瘤であれば破裂率は0.36%、10~24mmであれば4.37%となっています。
脳動脈瘤が発生する詳しい原因はまだ分かっていないのですけれども、喫煙や高血圧、遺伝的要因が関係しているといわれています。
3.脳動脈瘤の治療法
脳動脈瘤の治療には「開頭クリッピング術」と「血管内コイル塞栓術」の大きく二つがあるとされています。
開頭クリッピング術とは、頭蓋骨の一部を開いて、脳動脈瘤の根本の部分を金属製のクリップで挟み、血液を遮断する治療法です。歴史の長い治療法であり、さまざまな工夫もされているため、小さな切開で手術ができる場合もあるそうです。術者としては、直接脳動脈瘤を目でみて確認しながら手術を行えるという点が利点で、血管の外側から脳動脈瘤の根本をクリップで挟み込んで止めるため、長期間良好な状態が保てるといわれています。
けれども、血管の周囲の神経や、動脈瘤に近接している血管を触らないと処置ができないことから、脳動脈瘤のある場所によっては技術的難易度が高くなり、合併症を発症する可能性も高くなります。また、頭部を切開するため、術後に強い痛みがあるなど患者の新進的負担は大きくなります。
もう一つの、血管内コイル塞栓術は、脚の付け根から血管のなかにカテーテルを挿入し、頭部の脳動脈瘤が発生している血管まで持っていき、脳動脈瘤のなかにコイルを詰めるという処置法です。詰めたコイルによって脳動脈瘤内に血液が流れ込まなくさせて破裂を防ぐのが目的です。
血管内コイル塞栓術は頭部を切開せずに治療を行うため、患者への心身的負担は少なくなり、術後の頭部の痛みも軽減され、術後早期の回復が期待できます。ただし、コイルだけを使用したコイル塞栓術では、治療適応が制限される場合が多くなるようです。

4.後遺症にはどんなものがあるのか
開頭クリッピング術、血管内コイル塞栓術での最も大きな合併症は、脳梗塞や脳出血、神経損傷が原因の後遺症です。手術中の出血や神経損傷、手術後に血栓ができることによって脳梗塞を発症すると、後遺症が残る可能性があるとのことです。
具体的な後遺症としては、触覚や痛覚などが鈍くなる感覚障害、触覚や痛覚などが鈍くなる失語症、手足や顔などの運動がうまく行えなくなる運動機能障害、意識障害などで、実際にどのような後遺症が発生するかは、障害を受けた場所により異なります。
路徳社によると、習近平主席はすでに数回介入治療を受けていたそうで、今回も病状に応じた介入手術だそうです。
路徳社の報道どうりだとすると、習近平主席の手術は左程心配いらないものなのかもしれません。
ただ、国家首脳の健康問題が報道されること自体、異常なことです。ましてや"隠蔽大国"の中国です。それがこんな情報を漏らしてしまうということは、反習近平勢力のクーデターだとか、あるいは情報戦がらみのガセだとか、いろんな見方が出来ると思います。
ジャーナリストの篠原常一郎氏は、国家緊急危機管理室の面子から報道には一定の疑問があるとしながらも、あるいは習近平主席が失脚した可能性があるとも述べています。
もしも、反習近平勢力が習近平主席を追い落としたのだとしたら、その狙いは、習近平主席の失脚させたという手土産をもって、どうか制裁をやめてくれとアメリカに土下座することではないかという気もします。
アメリカの対中経済制裁さえなんとかなれば、中国共産党は維持できるでしょうからね。そうして、しばらく大人しくして見せておいて、みんなが忘れたことに、また台湾、香港を侵略していく。そんなことを考えているのではないかということです。
今の習近平主席の"戦狼外交"のまま突っ走っていけば、共産党そのものが潰れるかもしれない。もしも共産党がなくなってしまったら、中国の夢どころか台湾や香港の併呑だって霧散してしまいます。
ここで、もしバイデン氏が次期アメリカ大統領になるのであれば、今の対中制裁などもどうにかなるのかもしれませんけれども、トランプ大統領の再選であれば、その目も消えます。
その意味では、中国共産党の中にもバイデン氏の次期大統領の可能性は余りないと見ている勢力が少なからずいるということなのかもしれません。
トランプ大統領が再選するかしないかは、やはり世界全体に影響することなのではないかと思いますね。
5.ご挨拶
激動の2020年も今年で最後となりました。
今年も無事、日比野庵は毎日エントリーさせていただくことができました。
読者の皆様に深く感謝いたします。
来年はもっと大変な年になるかと思いますけれども、日比野庵をよろしくお願いいたします。
皆様、よいお年を。
この記事へのコメント
まる
来年もよろしくお願いいたします。
日比野
コメントありがとうございます。先年中はお世話になりました。今年もよろしくお願いいたします。