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1.地域の安定を脅かしている
1月23日、アメリカ国務省のネッド・プライス報道官は、台湾に対する中国の軍事的圧力が地域の安定を脅かしているとして、軍事、外交、経済的圧力を停止するよう中国に求める声明を発表しました。
プライス報道官は「アメリカは、中国が台湾を含む近隣諸国や地域の威嚇を図っているとして懸念を示している。我々は中国に対して台湾への軍事・外交・経済的圧力を停止し、台湾の民主的に選ばれた代表者と有意義な対話を行うよう呼びかける……台湾に対する米国の支援は非常に強力だ」と表明。アメリカは引き続き防衛問題で台湾を支援し、中台関係をめぐる問題について平和的解決を支援していくとしています。
更に、オースティン国防長官は、日本の岸信夫防衛大臣との電話会談で、東シナ海の状況現状転換を狙った一方的なあらゆる工作に反対したということです。
この声明を台湾は歓迎。24日、台湾外交部は、「バイデン政権による台湾支持と台湾防衛重視」の表れだとして謝意を表明。台湾の専門家は「バイデン政権は前政権の方針を引き継ぎつつ、より緻密に中国対抗策を推進していくだろう」と分析しています。
2.連日の台湾防空識別圏進入
対話を呼びかけたバイデン政権に対し、中国は力で答えました。
23日、台湾国防部は、中国軍の爆撃機「轟‐6」8機、戦闘機「殲‐16」4機、対潜哨戒機「運‐8」1機の計13機が、台湾南西部の防空識別圏に入ったと発表しました。
更に翌24日、戦闘機「蘇‐30」2機、「殲‐16」4機、「殲‐10」6機、対潜哨戒機「運‐8」2機、技術偵察機「運‐8」1機の15機が防空識別圏に進入しました。
通常、防空識別圏に入るにしても、1機とか数機程度なのですけれども、8機も15機も一度に侵入は極めて異例です。しかも爆撃機のおまけつき。
中国軍機は連日のように台湾の防空識別圏に進入しているが、通常は1機から数機程度で、8機もの爆撃機を含む多数が入るのは異例だ。
もちろん、台湾との関係強化を打ち出したバイデン政権に対する牽制だと見られていますけれども、連日の侵入を見るにバイデン政権は早くも習近平主席に舐められている感があります。
3.馬祖列島を吸い取る中国工作船
中国の台湾侵略は空だけではありません。海もです。
昨年10月から12月に掛けて、中国大陸沿岸部に位置する台湾・馬祖列島に中国の海砂採取船など多数の民間船舶が接近を繰り返していたことが明らかになっています。
昨年10月下旬、「約200隻」とされる海砂採取・運搬船の大船団が馬祖列島の南竿島沖に出現し、海底の砂をポンプで吸い上げました。地元報道では、島の砂浜がみるみる消失していったそうです。海砂は、中国福建省の空港建設などに使われているとみられています。
また、台湾の国防安全研究院国家安全研究所の李俊毅・副研究員によると、11月初旬にも約50隻が南竿島付近に集結していたとのことで常態化しているそうです。
馬祖列島は、台湾本島から北西へ約200km、中国大陸からわずか20kmの至近距離にある列島で、北竿、南竿、東引、西引、東莒、西莒、大坵、小坵など、10あまりの島から成り、北竿島や南竿島からは中国大陸が望めるそうです。
中国本土にて共産党が政権を掌握して以来、蒋介石率いる国民党は台湾本島へ逃れ、1950年以降台北に新政府を樹立して共産党と対立します。その最前線に立たされたのがこの馬祖列島です。
馬祖列島は台湾の軍事拠点として重要な役割を果たしていたことから、台湾政府は18歳から45歳までの住民は男女関係なくすべて「民防隊」という組織に加入させる全民皆兵の政策を取っていました。
その後、台湾海峡における軍事的緊張が緩和されたことを受け、1994年に入島制限が解除。1999年からは外国人が立ち入ることができるようになり、以来、島の観光地化が進められています。
まぁ、台湾本島よりも中国本土に近いという事情があるにせよ、なりふり構わない中共らしいやり方ではあります。
4.バイデンを舐め切る習近平
1月25日、習近平主席はスイスのシンクタンク「世界経済フォーラム(WEF)」が主催するダボス会議で講演しました。
オンライン会議となった今回の会議で習近平主席は「新冷戦や制裁は世界を分裂に向かわせ対立させる……単独主義や自己陶酔で傲慢になるいかなるやり方も必ず失敗する」と述べ、トランプ前政権が掲げた「アメリカファースト」をバイデン氏が継続しないように強く牽制しました。
更に、「各国の違いを尊重し内政干渉をすべきではない」とも話す一方、「中国は対話で意見の食い違いを埋める努力をする……協議や連携を堅持し、衝突や対抗は求めない」とバイデン政権との対話の再開に意欲を見せました。
話し合う、対立は求めないと言ってはみせるその裏で、台湾の防空識別圏に侵入するは、馬祖列島の海砂を盗んでいくは、香港では民主派50人超を一斉逮捕するなど好き勝手を始めています。
中国はバイデン政権になったとみるや「威力偵察」よろしく、挑発の段を強めています。
日本とて他人事ではありません。
1月22日、全人代常務委員会は海警局の権限などを定めた「海警法」を可決。法案には「主権や管轄権を侵害する外国組織や個人に、武器の使用を含むあらゆる措置を取れる」と明記されていることから、尖閣周辺の緊張が一層高まることが懸念されます。
中国のバイデン政権の舐めっぷりを見るに、台湾同様に日本に圧力を掛けてくることは十分に予想されます。
日本はバイデン政権をあてにせず、独自に国防努力を進めていかなければならないと思いますね。
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