トランプの脅し

今日はこの話題です。
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1.トランプへの弾劾裁判


1月22日、アメリカ連邦議会上院で予定されるドナルド・トランプ前大統領の弾劾裁判は、2月8日以降に審理を開始することで与野党が合意しました。

大統領が2度にわたり弾劾訴追されるのは初めてのことで、すでに任期を終えて退任した大統領経験者が、上院の弾劾裁判にかけられるのも初めてです。

もし有罪となった場合は今後、連邦選挙への立候補が禁止される可能性も取り沙汰されていますけれども、もうこれは二度とトランプ前大統領が政界に戻ってくることがないように叩き潰そうとしているとしか思えません。

民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、「上院は、ドナルド・トランプの弾劾裁判を実施する。全面的な裁判になる。公平な裁判になる」と述べたそうですけれども、既に任期を終えた前大統領を裁判に掛けておいて、何をもって公平というのか分かりません。

暴動を扇動したなどと根拠薄弱な理由でトランプ前大統領を弾劾するのなら、不正疑惑テンコ盛りのバイデン氏も弾劾しないとバランスが取れないように見えます。

実際、共和党のランド・ポール議員が退任後の大統領に対する弾劾裁判は米国憲法に反すると主張し、弾劾訴追を却下する案を提出、26日にその採決が行われ、55対45で否決されたものの、民主党議員に同調して反対に回った共和党議員はわずか5人にとどまりました。

上院議員の半分近くが、今回の退任後の大統領への弾劾訴追そのものが違憲だと考えている訳です。


2.トランプがフロリダに事務所開設


そんなトランプ前大統領ですけれども、25日、フロリダ州パームビーチに公式声明や活動に関する発表を行う事務所を開設したと発表しました。

事務所開設の発表文では、設立の目的を「米国の利益を促進し、トランプ前政権の政策を引き継ぐ」としていて、当面は、この事務所が情報発信の拠点になるとみられています。

昨年12月25日のエントリー「パウエル出禁と寅梅会談」で、ホワイトハウスのかなりの機能をフロリダにうつしている話が出ていることを紹介しましたけれども、これが本当であれば、今回開設された事務所は、あるいはホワイトハウスの機能をかなり持っているものだとも考えられます。

その意味ではトランプ大統領はこの時点で準備を進めていたともいえ、ただの事務所だと考えない方がよいかもしれません。


3.愛国者党と政治団体セーブ・アメリカ


更に、トランプ前大統領は新党を結成するという話も噂になりました。

ウォール・ストリート・ジャーナルはトランプ前大統領が、側近たちと新党結成について話し合っていたとし、新党には「パトリオット党=愛国者党」と命名することまで考えているとまで報じました。

実際、トランプ前大統領は昨年11月9日、政治献金を集めてトランプ前大統領が支持する候補を支援するための政治活動委員会(PAC)「アメリカを救え(Save America)」を設立しています。

この種の政治団体はしばしば著名な政治家が設立し、自分ではない他の候補者向けに資金を支出したり、あるいは自分の旅行やホテル滞在費などの費用に充てたりするようです。

「アメリカを救え(Save America)」は、25日にアーカンソー州知事選への立候補を表明したサラ・サンダース元大統領報道官への支持を発表。トランプ大統領は声明で「サラは素晴らしい州知事になる。完全、全面的に支持する!」と述べています。

そうした背景の上にトランプ前大統領が新党「愛国者党」を旗揚げするという報道ですから世間は色めき立ちました。

もっとも、トランプ陣営は新党立ち上げについては否定しています。

トランプ陣営の上級顧問、ジェイソン・ミラー氏はCNNに対し、トランプ前大統領が第3の政党を現時点で検討していないと述べました。

そして、1月25日、トランプ陣営は連邦選挙管理委員会(FEC)に提出した通知で、愛国者党と無関係であるとしています。

では、なぜトランプ前大統領が新党を立ち上げるという話が盛り上がったのか。

これはトランプ前大統領の駆け引きの一種だったではないかと筆者は見ています。なぜならトランプ前大統領が新党を立ちあげると、保守派票が共和党と新党との間で割れ、民主党に敗北してしまう恐れがあるからです。

1992年の大統領選では実業家ロス・ペロー氏が第三政党から出馬し約19%の票を得ました。これにより共和党票が分散し、ジョージ・H・W・ブッシュ氏が再選を逃す原因になったと言われています。

トランプ前大統領の側近だったリンゼー・グラム上院議員は、「トランプ氏がそんな行動に出なければいいと思う。彼には共和党のリーダーでいてほしい。トランプ氏が自身のレガシーと最善の未来は共和党支持にあるということを理解してくれたらと思う。トランプ氏が共和党からいなくなれば大惨事になる。民主党は共和党が崩壊するとサバイブする。共和党はトランプ氏なしに前に進もうとすると崩壊する」と懸念の声を挙げています。

この懸念は故無き懸念ではありません。


4.トランプの脅し


ワシントンタイムズのエグゼクティブ兼編集長のジョン・ソロモン氏が昨年1月に立ち上げた「Just The News」は、トランプ前大統領が率いる架空の「愛国者党」は、有権者のほぼ4分の1(23%)の支持を得るという驚きの世論調査結果を報じました。

この世論調査での政党支持率は1位が民主党の46%、2位が架空の「愛国者党」で23%、なんと共和党は3位で17%です。

これはトランプ前大統領が新党を立ち上げると完全に保守票が分裂することを意味します。

共和党としてはトランプ前大統領には共和党に踏みとどまってほしいところでしょう。

こんな結果を見せつけられたら、上院共和党の面々はトランプ前大統領の弾劾裁判に賛成の手を挙げることなどできません。トランプ前大統領を怒らせて新党を結成されたら、上院議員という自分の身が危うくなるからです。

おそらくトランプ前大統領はここまで読んだ上で、わざと新党「愛国者党」の立ち上げを考えているなどとマスコミに吹きかけたのではないかと思います。

要するに自身の弾劾を成立させると共和党そのものを潰すぞ、と脅した訳です。

弾劾成立には上院議員の3分の2以上の賛成票が必要で、上院民主党票だけでは足らず、上院共和党の多数の賛成票も必要であることを考えると、このトランプ前大統領の脅しは強烈なパンチとなったと思われます。

トランプ前大統領の弾劾裁判と新事務所。まだまだ波乱を呼びそうです。

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