バイデンは日本に実を捨てさせるか

今日はこの話題です。
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1.日米安保条約は冷戦の産物


1月28日、中国外務省の趙立堅報道官は記者会見で、菅総理とアメリカのバイデン大統領の電話会談で、尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の日本防衛義務適用対象だと確認したことについて「同条約は冷戦の産物だ。第三者の利益を損なったり、地域の平和と安定を脅かすべきでない……釣魚島とその付属島嶼は中国固有の領土だ」と反発しました。

日米安保が冷戦の産物で、地域の平和と安定を脅かす、とは、居丈高な態度も一段上げた感があります。

それをいうなら、中国の拡張政策は帝国主義の復活であり、地球の平和と安定の脅威であると言い返していいのではないかと思います。

この発言だけみても依然として戦狼外交が維持されていることが分かります。


2.トランプの対中強硬策は正しいと信じている


今のところ、バイデン政権でも中国を警戒する見方は残っているようです。

1月19日、ブリンケン元国務副長官は、国務長官指名承認のために行われた上院公聴会で対中政策について証言しました。

ブリンケン氏は冒頭発言で「我々は中国との競争に勝つことができる」と強調し、質疑の中で、「中国の台頭は米国にとって最大の挑戦だ」と述べ、中国などの権威主義体制よりも自国の民主主義体制の方が優れていると強調しました。

ブリンケン氏は、「トランプの対中強硬策は正しいと信じている。同意できない部分も相当あるが、基本的原則は正しかった……新疆の収容所の問題は、中国共産党による大虐殺だということに同意する」とも述べています。

そして、外交政策の基本方針について、ブリンケン氏は世界各地のパートナー国とも協力し、アメリカ外交の再活性化に取り組むと述べ、「アメリカが指導力を発揮しなければ、ほかの国が取って代わろうとするか、混乱が生まれるだけだ」と、アメリカ」が世界で指導力を発揮すると強調しました。

また、26日には、次期商務長官に指名されたジーナ・レモンド氏の上院公聴会が開かれました。

オンラインで出席したレモンド氏は、「中国の不公正な貿易慣行に対して積極的に対応する」と強調し、ファーウェイやZTEなどの中国企業が通信網に情報を抜き取る「バックドア」を仕掛けていると批判。その上で「中国企業の侵入を防ぐため、最大限の措置をとる……安全保障や経済安保を危険にさらすわけにはいかない」と述べました。

まぁ、指名承認の公聴会ですから、下手なことを言えば議会が承認しないであろうことを考えるとある程度は配慮した発言をしたのかもしれませんけれども、裏を返せば議会は対中強硬が支配的な雰囲気であることが窺えます。

更に、27日にはバイデン政権のサキ大統領報道官は中国通信機器大手のファーウェイについて「ファーウェイを含む信用できない業者がつくった通信機器は米国と同盟国の脅威だ……同盟国の通信網の安全も確保できるよう協調し、アメリカや同盟国の信頼できる企業による生産を増やすため、投資を進める」と述べました。


3.民主党は関税の部分が米国経済のためにならないと判断している


このようにバイデン政権でも対中強硬の方針が示されていますけれども、ブリンケン氏が外交政策の基本方針について、世界各地のパートナー国とも協力して行うと公聴会で述べていることから考えると、対中強硬といっても、トランプ政権のように関税を弄って圧力を掛けるというよりは、同盟国と共同歩調をとりながらの圧力になる可能性があります。

なんでも、バイデン氏は、世界の民主主義国家と連合する「民主主義のための首脳会議」を開催し、中国を国際規範に従わない「特別な脅威」と規定し、民主主義の価値を共有する国々と共に圧迫する構想を抱いているなどと伝えられています。

これについて、韓国・世宗研究所米国研究センター長の禹政燁(ウ・ジョンヨプ)氏は「トランプ大統領は中国を否定的に話していたが、貿易とコロナに限定した。中国の非民主主義的な態度と米国の政治への介入などに消極的で、関税戦争にのみ浮上した。しかし、民主党は関税の部分が米国経済のためにならないと判断している。バイデン大統領はトランプ政権で推進されなかった政策も推進する可能性がある。特に香港やウイグルのような人権的な問題も強調する可能性が高い……韓国と日本は、北東アジアの唯一のアメリカの同盟国として、アメリカが反中国戦線を推進することに最も関心を傾けるだろう。韓日の歴史問題で韓米日安保協力が順調でないというのがアメリカの判断だ。韓国がもっと積極的でなければならないというメッセージを韓国に伝えるだろう」と指摘しています。


4.実を捨て名を取らされる


1月29日、自民党外交部会が開かれ、28日に行われた菅総理とバイデン氏の電話会談について紛糾する一幕がありました。

というのも、会談後のアメリカ側の報道発表では「中国や北朝鮮を含む地域の安全保障問題を議論した」と両首脳が中国について議論したことが明記されているのに対し、日本側の外務省発表では「地域の諸課題にも共に取り組んでいくことで一致」とのみ記載。別の段落で北朝鮮の非核化には触れたものの、報道発表に「中国」の文言はありませんでした。

これについて出席議員からは「アメリカ側が発表しているのに、なぜ抜くのか」、「中国について話さないわけはない」といった批判が続出。

出席した青山繫晴参院議員は、外務省の官房長や総務課長と向かい合って、「今日の部会で、外務省に対して、我々外交部会に集まった議員の信頼は、喪われました。安倍政権が終わってからの外務省は、中国、韓国には何をされても大人しくしているという姿勢に先祖返りをしている」と批判。佐藤正久部会長は、『部会を舐めるんじゃない』と、あえて厳しく指摘されたそうです。

もちろん、バイデン政権は自身と同じ対中圧力を日本にも要求してくるであろうと予想されます。

けれども、ここで問題となるのは名か実かという問題です。

例えば、対中非難決議といった、言葉だけの批判が「名」とすれば、経済制裁は実効力のある「実」でしょう。

トランプ政権のように対中関税を上げてしまうのはもちろん「実」になりますけれども、バイデン政権にそのような実効力のある「実」の対中制裁が採れるのか。

韓国・世宗研究所の禹政燁(ウ・ジョンヨプ)米国研究センター長が指摘するように、民主党が関税圧力が米国経済のためにならないと判断しているのであれば、たんに言葉だけの批判を行い、実効力のある圧力は何一つしないことだってあり得ます。

これまで日本はトランプ政権の対中圧力に乗っかって、表向きには中国を批判しない裏でファーウェイ排除や、クワッド推進など、対中圧力を粛々と進めてきました。いわば、「名を捨て実を取る」というやつです。

けれども、バイデン政権が日本に対中圧力を要求するとなるとこれが逆になる。表立っての中国批判を要求される、いわば「実を捨て名を取らされる」ことになる訳です。

もしも、そうしたことになれば、先の日米首脳電話会談の報道発表で「中国」の文字を抜くといった忖度など許されなくなります。今以上に、対中対立が表面化するでしょう。

仮にそうしてから、バイデン政権が対中圧力から引いてしまえば、日本は一気に対中圧力の最前線に立たされることになります。

菅総理がどこまで先を読んでいるのか分かりませんけれども、バイデン政権が梯子を外しても対応できるように、法整備を含めた国防体制を大きく進めていく必要があると思いますね。


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