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1.韓国をレッドチームと見做したアメリカ
2月4日、韓国の文在寅大統領はアメリカのバイデン大統領と電話会談を行いました。
会談後、文大統領は、ツイッターで「たった今、米国バイデン大統領と首脳電話を行って、コロナ、気候変化、経済二極化など、重複される全世界的危機の中、“米国の帰還”を歓迎しました」、「私とバイデン大統領は、共同の価値を基盤とする韓米同盟をさらに強化することを約束し、半島の平和はもちろん、世界的な懸案への対応も常に共に行おうと話しました。共に行きましょう!」などと、韓国語と英語で立て続けに4件投稿しました。
投稿は電話会談が終わってわずか18分後のことです。
いくら心待ちにしていた会談だったとしても、その行動に"軽い"という印象は拭えません。
米韓首脳電話会談の詳しい内容については、韓国大統領府がホームページに掲載したのですけれども、早速、アメリカ側の発表と違いが生じています。
例えば、日本に関しては、「両大統領は、韓日関係改善と韓米日協力が域内の平和と繁栄に重要だということに共感」としているのに対し、ホワイトハウスの発表からは抜けています。
また、対北問題についても「できるだけ早期に包括的な対北戦略を用意する必要があるという認識で一致」、「朝鮮半島問題解決の主要当事国である韓国の努力を評価し、韓国と同じ立場であることが重要」と韓国側が発表したのに対し、アメリカ側の発表には含まれていません。
ちなみに、ホワイトハウスの発表によると、オーストラリアとの首脳会談については、「中国とどのように向き合うべきか、グローバルで地域的な中国によるさまざまな挑戦に対し、どのように対処すべきかを協議した」とし、日本との首脳会談でも「中国と北朝鮮のような地域の安全保障問題について話し合った」と対中戦略に触れています。
けれども、韓国との会談では「両国首脳が北朝鮮に対して緊密に調整することで合意した」と、中国に関する言及はみられません。
ついでにいえば、日本やオーストラリアとの同盟については、「インド太平洋戦略」という言葉を使う一方、韓国に関しては「北東アジア」という表現を使っています。
これについて、韓国大統領府の関係者は「米韓首脳会談で、世界の脅威となっている中国問題に関して何も言及しなかったバイデン大統領が、韓国には本音を語っていない証しでしょう。韓国は中国におもねる外交を続けてきた点も見透かされ、新しい首脳関係のしょっぱなからマイナスに働いている状況です」とコメントしています。
これらを見る限り、アメリカは韓国をレッドチーム側であると見做している可能性は相当あるのではないかと思いますね。
2.韓国の本音
日韓関係の改善をアメリカに促されたことにしたい韓国ですけれども、本音は違います。
2月2日、韓国は「国防白書」を発表しましたけれども、その中では、日本に関する記述が中国に次ぐ2番目になったほか、これまで用いられていた「パートナー」との表現が「隣国」に変更されました。
また、「一部の日本の政治指導者の独島挑発、2018年の日本哨戒機の韓国艦艇に対する近接威嚇飛行とこれに関する事実を誤魔化した一方的なメディア発表で両国の国防関係が難航した」としました。
これについて、中国の軍事評論家の曹衛東(ツァオ・ウェイドン)氏は、「一般に白書の内容は、その国が現在直面している安全保障上の脅威は何か、軍事的な同盟国は誰なのか、パートナーは誰なのか、敵対国は誰なのかといったことが含まれている……韓国は、これまで『パートナー』としていた日本を『隣国』とし、領土問題での対立を公にしたことで、日本との関係を著しく下げた。また、北朝鮮に対して『敵』という言葉を使わなかった。中国とは、引き続き良好な関係を築くことが記された。韓国の『国防白書』を見ると、現在と未来の北東アジアの安全情勢に対する韓国の判断が分かる」と指摘しています。
そして曹氏は、日韓両国の主な対立は「領土問題」と「歴史問題」だと述べ、「軍事的な同盟関係において、日米韓は合同演習を共にしているが、米国と日本、米国と韓国が2国間で行うならまだしも、日本と韓国が合同演習を行うとなると、その脆弱な関係性が透けて見える。韓国は国防白書で日本側の威嚇と明言しているし、日本側はレーダーを照射するとは自分立ちに攻撃を仕掛けるつもりなのかと感じている。日韓関係においてこれ以上対立が続き互いに譲歩しなければ、関係はさらに悪化する可能性がある」と指摘しました。
まぁ、これが韓国の本音だということです。
3.アメリカでも説得できない
にも拘わらず、なぜ韓国大統領府は「アメリカに日韓関係改善を促された」などという発表をしたのか。
これは要するに、アメリカに日本に譲歩するよう圧力を掛けてくれと要求したということです。アメリカが韓国に日韓関係改善を促したのなら、当然日本にも同じように要求する筈ですから。
どこまでいっても他力本願でなんとかしようという意図が透けて見えます。
けれども、ホワイトハウスの発表は「そんなことは言ってない」ですし、万が一、億が一に日本にそう要求したとしても上手くいく望みはありません。
前述の曹氏は、アメリカが日韓関係を仲裁するかどうかについても「アメリカが両者を本当の意味で効果的に和解させることは難しい……アメリカは日本と韓国をインド太平洋戦略の二つの駒として使っており、駒同士が対立すれば軍事同盟は機能しない……アメリカとしても双方を和解させようという意思は持っているが、効果はないだろう。なぜなら、アメリカは両国の歴史問題や領土問題を解決することは不可能だからだ。これらの問題を解決できない以上、双方を『説得』するしかない。日韓の間で大きな利益相反が生じた場合、アメリカは決して自分たちの利益を犠牲にはしない」とも述べています。
けれども、『説得』するしかないといっても、アメリカが仲介した2015年の「慰安婦合意」こそまさにその『説得』以外の何物でもありません。それを一方的に無効だといって投げ捨てたのは韓国の方です。
つまり『説得』する基盤すら壊れているということです。
したがって、もしも日本が、アメリカから日韓関係改善をするように打診されるようなことがあったとしても、日本政府は、約束を守らず、国際法にも違反する韓国とは話し合う基盤がない。アメリカこそ、韓国に基盤をつくるように『説得』してくれ、と逆に要求すべきではないかと思いますね。
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