ブログランキングに参加しています。よろしければ応援クリックお願いします。
1.森発言の切り取り報道
森喜朗元総理発言が話題になっています。
これは、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」との発言が女性蔑視だとして問題視されているのですけれども、やはりというかなんというか、どうもその発言が、お決まりの「切り取り」だったと指摘されています。
いろんなところで発言の全文となるものが報じられているのですけれども、こちらのサイトでは、森喜朗会長は蔑視どころか、「女性は優れており」と、むしろ女性を褒めているのに、その褒めている部分だけを削除しているというのですね。
しかも、問題視された、「女性が入ると時間が掛かる」発言も、森喜朗会長本人の言葉ではなく、引用での発言となっています。森喜朗会長は、誰がこの発言をしたのかは言わないと述べていますけれども、であるならばマスコミは引用であると伝えないとミスリードしていることになります。
筆者も、その他の報道も見てみましたけれども、殆どは森喜朗会長の女性を褒めた部分を削り取り、引用であるとせず、森喜朗会長本人の発言としています。
2.腹は決まった
2月10日、森喜朗会長は、北國新聞社の取材に応じ、例の発言で辞任を求める声が出ていることについて「私の腹は決まっている。12日に皆さんにしっかり話したい」と辞任を示唆。政権幹部には既に辞任を伝えたようです。
後任については日本サッカー協会相談役の川淵三郎氏を充てる方向で調整が進められているとも報じられています。
ただ、辞任云々は10日になって明らかになったのではなく、森喜朗会長は、4日の段階で周囲に漏らしていました。
4日午前、晴海の大会組織委員会に到着した森喜朗会長は、遠藤利明副会長や武藤敏郎事務総長ら幹部に対し「腹を決めた」と伝えたのですけれども、周囲から「とんでもない。みんな納得しない」などと翻意を促された。安倍前首相らからも電話があったようです。
現在、森喜朗会長は人工透析を受ける身で、東京五輪についても新国立競技場が出来るまでは保たないだろうと思っていたそうです。組織委員会長も「もともと3年くらいのつもりだった」と述べています。
仮に森喜朗会長が辞任したとして後任はとなると、そう簡単な話ではありません。
というのも、組織委員会の会長ポストは重責で、政財界だけでなく、欧州貴族の集まりともいわれているIOC(国際オリンピック委員会)の面々とも付き合わなければなりません。
その為には、元総理クラスでないと務まらないとも言われ。スポーツに通じる適任者ということで、東京五輪招致に尽力した安倍前首相や麻生財務相くらいしかいないだろうとも言われています。
小池百合子都知事も「IOCは大きな組織でかつ交渉が必要。これまで交渉を重ねてきた累積もある」と森喜朗会長の続投を容認していました。
3.新聞は政府の広報誌ではありません
それにしても、森喜朗会長の発言を巡る、マスコミの叩きは尋常ではありません。それが「切り取り」報道によるものだったとなれば、報道ではなくただのプロパガンダです。
ネットではある朝日新聞記者が「そもそも新聞は政府の広報誌ではありません。……政策の問題点を見抜き、政府が隠していることを暴くために取材しています」と宣ったそうですけれども、隠していることを暴くのであれば、森喜朗会長が引用した「女性が入ると時間が掛かる」発言を誰が言ったのかを"暴いて"みせるべきでしょう。
切り取り報道もそうですけれども、フェイクニュースもまた蔓延っているように感じます。
2月10日、放送倫理・番組向上機構(BPO)は、架空のデータが含まれた世論調査を放送したフジテレビのニュース番組について「重大な放送倫理違反があった」という判断を発表しました。
これは、2019年5月から20年5月迄の期間にFNNと産経新聞が共同で行った世論調査で、架空のデータが入力されていたというものです。
架空のデータは回答全体の12.9%にも及び、だった。フジテレビは、20年6月1日までに18のニュース番組で架空のデータが含まれた世論調査を報じていました。
不正なデータ入力を行ったのは、フジテレビの委託先であるアダムスコミュニケーションが再委託を行った日本テレネット。フジテレビは業務委託契約書で、再委託を行う場合は書面でフジテレビの承諾を得なければいけないと定めていたのですけれども、アダムスコミュニケーションから日本テレネットへの再委託は、フジテレビの承諾はなく、事実も伝えられていなかったそうです。
放送倫理・番組向上機構(BPO)は、世論調査を毎月行うものとして「ルーティン化」していたことや、社内の担当者が1人のみで委託先へ「丸投げ」していた体制が今回の事態を招いたと考察し、「市民の信頼を大きく裏切り、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことも否めない」としています。
切り取りにフェイクが横行する報道は見る価値がないどころか害悪だと思います。
4.池上彰のニュース嘘だったのか
同じく今、フェイクだと叩かれているのは、ジャーナリストの池上彰氏です。
1月30日放送のテレビ朝日系「池上彰のニュース そうだったのか!!」で、池上氏はトランプ前大統領とバイデン大統領を比較した「バイデン大統領は中国の人権問題に関心がある。新疆ウイグル自治区で強制収容所に入れられているといったことや香港民主化運動による逮捕とか、トランプ大統領はこれまで何も言ってこなかった。人権問題に関心がなかった」という発言をしました。
ところが、トランプ政権は、中国のウイグルに対する人権問題でジェノサイドと認定。また、2017年の国連演説で、トランプ前大統領は「北朝鮮は13歳の少女を拉致した」と拉致問題に言及したことなどから、ネット上では池上氏に対する批判が殺到。池上氏のユーチューブチャンネルは低評価のオンパレードなど炎上しています。
2月7日、池上氏はこれらに対し、ユーチューブチャンネルで「もちろん批判することは自由だし、いくらでも言ってもいいことだけど」と前置きした上で「これを動画に来てわざわざバッドをつけるっていうのはどうかと思うんだよね」と語り、件の発言の真意についても、トランプ「政権」は人権問題に対して厳しい態度を取っていたが、トランプ氏は違ったと主張。実例としてトランプ氏が習近平国家主席から「新疆ウイグル自治区の教育施設を建設してる」と説明された際に「いいことじゃないか。どんどんやってくれ」と発言したことや、トランプ氏が香港の民主化運動について質問された際に「香港のことなんか俺を巻き込むな」と言ったというボルトン前米大統領補佐官の証言を引用して説明しました。
確かにボルトン回顧録(邦訳版:P342-345)にはその旨の記述があります。
けれども、視聴者の支持は得られず。火に油。釈明動画は11日現在、高評価1600に対して低評価が2.7万を超えています。
これについて池上氏側は「わざわざユーチューブにきてBadをつけるな」とか「わざとやっている」などと言っていますけれども、ネット動画の拡散具合からみれば、低評価の2.7万など全然少ないと思います。
また、ユーチューブの評価ボタンやコメント欄は視聴者の意見表明の一つです。コメント欄も厳しい意見はあっても、罵倒で埋まっている訳でもないところを見ると、全て気にいらないからやっているのだというのは少々乱暴だと思います。
それに、池上氏が「トランプ政権は人権問題に対して厳しい態度を取っていたが、トランプ氏は違った」と釈明したのも批判や低評価が殺到したからでしょう。その意味では視聴者の批判は本人に届いた訳です。
池上氏はユーチューブチャンネルで発言の真意を釈明しましたけれども、結果として「火に油」となっているのは、その釈明でも納得できないということでしょう。
池上氏はトランプ大統領とトランプ政権と分けて語っていますけれども、トランプ政権の最終判断を下すのはトランプ大統領だったのですから、トランプ大統領は人権問題に対してアクションを取らなかったとはいえません。
池上氏はそれも踏まえてさらに釈明するなり、会見するなりして視聴者を納得させることができない限り、今回の事件は"風化"するまで続くのではないかと思いますね。
この記事へのコメント
causal
高評価・低評価の数字が消されておりました。これでは【批判は受付ないよ】となりますね。
今回の批判によって、動画のお顔も生気がなく、狼狽えぶりが見てとれます。