
1.北朝鮮しか見ていない文在寅
1月20日、韓国大統領府は康京和外相を交代させ、後任に前大統領府国家安保室長の鄭義溶(チョン・ウィヨン)氏を充てる人事を発表しました。
鄭氏は外交官出身で、駐米公使や駐イスラエル大使などを歴任。国家安保室長として外交・安全保障を担い、北朝鮮の非核化をめぐる南北、米韓間の協議に関わりました。
2018年3月には大統領特使として訪朝し、金正恩氏と会い、翌月の南北首脳会談開催で合意。直後に訪米し、初の米朝首脳会談の実現につなげました。
これについて一部メディアや野党は、金与正氏の「デスノート」が今回の外交長官人事に反映されたと報じました。
これは、昨年12月、康京和外交長官が、バーレーンとアラブ首長国連邦に訪問中、中東地域安保対話で「北朝鮮は依然として新型コロナ感染者が全くいないと主張するが、信じられない」と言及したことに対し、北朝鮮の金与正氏が「康京和外交長官の妄言をいつまでも記憶する」という談話で「後先考えずに妄言を発するのを見ると、冷え込んだ南北関係にさらに冷ややかにしたいようだ……その本心が見え透いている」と非難しました。
これまで、康京和外交長官は文大統領と任期を最後まで一緒にするという見られていたのですけれども、この交代劇です。
韓国政府は「3年6か月余り在職した康京和外交長官が自ら体力的、精神的に疲れたと話した……昨年から何度も辞任の申し出を引き止めてきたが、今回バイデン新政権発足に合わせて最終的に受理した」としていますけれども、メディアや野党から金与正氏の「デスノート」発言が出ること自体、そうみられていることの証とも言えます。
その意味では、文在寅大統領は相変わらず北朝鮮しか見ていないということなのでしょう。
2.鄭義溶の対日外交
では、その鄭義溶氏の対日外交はどうなのか。
韓国国会で行われた外相に相応しいかを審議する聴聞会で、鄭義溶氏は日本について「地域の平和と安定のために協力すべきパートナー」だと述べました。
そして、韓日関係に関する大統領の考えが微妙に変わっている感じがするがと質問されると、「外交的に対話を通じ問題の解決を希望する、という大統領の意思を明かしたものと理解する」と答え、元徴用工をめぐる問題については、「原告が同意できるような案を数回提示したが、日本が頑固な立場を捨てずにいる」と歩み寄れる方法を模索すると述べました。
鄭氏は、慰安婦合意について「ある日突然、政府が日本と慰安婦合意をしたという事実を発表して、被害者らが失望した……日本から10億円を受け取って解決するという合意内容は、国民が納得できなかった」と強調した。
更に、鄭氏は、文大統領が残り1年あまりの任期中に日韓関係を正常化したいとの意思を持っていると明らかにしています。
好き勝手なことをいうのは自由ですけれども、これらはとうの昔に日韓基本条約で解決した問題であり、韓国の内政問題です。それを蒸し返して日本に外交案件として押し付けても知ったことではありません。
3.告げ口外交を潰す
当然日本は、韓国が国際法違反をしていると突き放します。
1月23日、韓国のソウル中央地裁が日本政府に対し元慰安婦の女性らへの賠償を命じた判決が確定したことを受け、茂木外相、談話を発表し、「極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできない……国際法上、国家は主権を有し、互いに対等な存在であることから、外国の裁判権に服することはない」と強調。請求権問題は日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」されており、判決は「国際法および日韓両国間の合意に明らかに反する」とした上で、韓国政府に対し、「国家として自らの責任で直ちに国際法違反の状態を是正するために適切な措置を講ずることを改めて強く求める」と述べました。
更に2月4日の衆議院予算委員会でも、茂木外相は、「海外に行った際にも、それぞれの国に対して今どのような問題が起こっているのか、まさに国際法に対する挑戦の問題で、二国間の単純な争いの問題ではないということはしっかりと説明して理解を得ているところ」と話しています。
当然です。韓国の告げ口外交を先に潰すためにも、国際法違反であることを世界に主張することは非常に大切です。
4.国際法を守らない韓国は頑固だ
この日本の正論に対し、韓国は自分勝手な論理を振りかざしています。
1月23日、韓国外務省は茂木外相の談話に反論する形で声明を発表し「日本軍慰安婦問題は世界で類のない、普遍的な人権侵害の問題として、国際人権規範をはじめとする国際法に違反したものであることを直視すべきだ」と述べ、2015年の日韓慰安婦合意は「韓日政府間の公式合意」と確認する一方、「当事者の意思が反映されていない政府間の合意だけでは、真の問題解決にはならない」と従来の韓国政府の立場を強調しました。
先日、アメリカ・ハーバード大のジョン・マーク・ラムザイヤー教授が「慰安婦は売春を強いられた『性奴隷』ではなく、利益のために日本軍と契約を結んで売春をした」という趣旨の論文を出して話題になっていますけれども、その本来"存在しない"慰安婦問題含めて、日韓で解決させたのが1965年の日韓合意です。
それを国際法違反だなんだと蒸し返すのは法の不遡及の原則を侵しています。
また、「当事者の意思が反映されていない政府間の合意だけでは、真の問題解決にはならない」にしても、そう主張するのなら、最初から合意すべきではありませんし、一度国家間で合意したのなら、そこから先は韓国政府の責任です。
そもそも、国際法を無視し、国家間合意を捨て去るような国とは一切の話し合いは意味を持ちません。
韓国の新外相が日本は頑固だというのなら、日本も「国際法を守らない韓国は頑固だ」くらい言い返してやっていいのではないかと思いますね。
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