

1.スエズ運河で座礁したエバーギブン
3月24日、エジプトにあるスエズ運河の当局者はコンテナ船が23日に座礁して運河をふさぎ、他の多くの船が通過できなくなっている事を明らかにしました。
座礁したのは、愛媛県の正栄汽船が所有し、台湾の長栄海運(Evergreen Marine Corp)が運航するパナマ船籍の「エバーギブン(Ever Given)」です。
エバーギブンは23日午前7時40分ごろ、中国からオランダのロッテルダムへ向かう途中、ススエズ運河の紅海側入り口に近い地点で座礁し、南航・北航ともに航行ができない状態になっているようです。
ネットなどに上がっている写真を見ると、横向きになった船体が蓋をするような形で運河をがっつり塞いでいることが分かります。
エバーギブンは、超大型コンテナ船(ULCS)と呼ばれる新しいカテゴリーの船のひとつで、世界最大級のコンテナ船で、2018年に今治造船・丸亀造船所で建造されました。全長は400メートル、幅59メートル、容積は20000TEUあります。
TEUは"Twenty's/feet Equivalent Unit"の略で、20000TEUだと20フィートコンテナが2万個乗せられます。
対するスエズ運河の水路幅は200~210メートル、水深は22.メートルで、喫水22メートルの25万トン級タンカーがなんとか通過できるサイズです。ここに全長400メートルのエバーギブンが横向きになって座礁したのですから、完全に水路を塞いでしまったのも道理です。

2.船上で変化するのはソフトと人員だけ
エバーギブンが座礁した詳しい経緯は今後明らかになってくると思われますけれども、今のところ、強風に煽られての座礁だと見られているようです。
運河を航行した経験のある元船長で海事法の専門家であるジャミル・サイエ氏は「風の力で意図せずに船の進路が変わってしまったのでしょう」と事故の原因のひとつは、強風によって甲板上のコンテナが巨大な帆となり、船がコースから外れたことにあると述べています。
ただ、ジャミル・サイエ氏は「船は推進エンジンで動く機械で、舵はどの船もほとんど同じです。船上で変化するのは、ソフトウェアと人員です」と付け加え、エバーギブンの後ろにいた船は同様のトラブルに遭遇していなかったことから、ヒューマンエラーの可能性も指摘しています。
スエズ運河では、船舶はコンボイと呼ばれる集団を組んで、縦列状態で運河を抜ける形態となっています。対面通行はできず、運河途中にある湖と、二重化された運河の部分でのみ対向できます。
したがって、運河に入る前にコンボイを組んだり、途中、対向の為に待ち合わせるなどの待ち時間と、更に運河通行中の低速の速度制限(8ノット=15km/h)がある為、待ち時間を除いた運河航行だけでも12時間前後。全部合わせて運河を抜けるにはほぼ一日かかるそうです。コンボイは15隻前後の集団で、スエズ運河管理局によってすべての運行はスケジュールされています。
運河通行に速度制限があるのは、運河の岸が波で浸食されることを防ぐためだそうで、今後も緩和の見込みは少ないと思われます。
今回の座礁について、自動車評論家の国沢光宏氏は「速力さえ出ていれば横風を受けても舵でコントロール出来るものの、スエズ運河の制限速度は15km/h。この程度の速度だと強い横風受けたら相当難しい操船になる」と指摘していて、「横風を受ける面積大きくなれば、横風着陸の飛行機のようにクラブ(ドリフトですね)で運河を航行しなければならない。一定の風の強さなら比較的容易ながら、強弱ある中、横幅200mの運河で横幅60mのフネをコントロールしようとしたらカンも必要。姿勢変わり始めてから舵切っても間に合わない」と述べています。
これを聞くと、エバーギブンは、元々かなり危険な条件で運河を通行していたのではないかと思いますね。

3.共同通信が日本の仕業に見せかけようとしている
今回のエバーギブンの座礁について、ネットの一部では「共同通信が日本の仕業に見せかけようとしている」として、軽く炎上しています。
件の共同通信の報道は次の通りです。
日本の座礁船、スエズ運河ふさぐ記事中にはエバーギブンの所有者である正栄汽船の名があっても、運航している台湾の長栄海運の名前が見当たりません。確かにこれではエバーギブンの運航も正栄汽船が行っていて、座礁の全責任も正栄汽船側にあるようにも読める書き方です。ネットで炎上するのも分かります。
愛媛県の正栄汽船、物流の要衝
【スエズ、シンガポール共同】国際海上交通の要衝、エジプト北東部のスエズ運河で23日午前、愛媛県今治市の正栄汽船所有のコンテナ船「エバーギブン」(全長400メートル、幅59メートル)が運河をふさぐ形で座礁し、運河の往来が遮断された。運河庁が24日、発表した。
24日午後の時点でエバーギブンは現場で動かずに止まっており、後方で複数の船が通航の再開を待っている。スエズ運河は地中海と紅海を結び、欧州とアジアの物流を支えている。
ロイター通信は24日、エバーギブンが一部浮き、往来の遮断が解消される可能性があると伝えたが、その後、離礁作業は依然続いていると報じた。
これについて、評論家の西村幸祐氏はツイッターで次のように述べています。(3ツイートを一つに纏めています。)
恥を知れ!共同通信西村氏は共同の記事を「悪質フェイクニュース」だと斬って捨てています。更に気になるのは、西村氏が、今回の事故を「人民解放軍のシミュレーションだ」と述べている点です。
朝日は数少ない優良記者の一人、峯村氏のLINEスクープで救われた。共同は害毒だけ。英仏独の海軍艦船はスエズを通ってアジア,日本へ向かう。今回の事故の本質は、考えられない座礁を起こした船を運用しているのは香港企業だという点だ。
共同の記者やデスクは中国共産党の国防動員法も知らないのか? 北京が国防動員法を発令すれば、世界中のシナの艦船、車輛、人間は軍であろうと民間であろうと、軍の命令に従わなければならない。
スエズ運河が止まれば、日露戦争で我が連合艦隊に撃滅されたバルチック艦隊のように、喜望峰を回るしか大西洋からインド洋へ出る海路はない。普通に考えれば人民解放軍のシミュレーションだ。それをまるで船を保有する日本企業に責任があるかのような悪質フェイクニュース。一般メディアも共同の記事を精査して使用しないと犯罪に加担する事になる。
確かに中国共産党が国防動員法を使って、「船を座礁させろ」と命じれば、たとえば香港企業が用船者だったら従うことになるのでしょう。その時、船主者にまで責任が及ぶとなれば、これは内部テロに近いものがあります。
今回の座礁事故について、先に紹介したジャミル・サイエ氏は「ヒューマンエラー」の可能性を指摘していますけれども、徹底的な原因究明を行っていただきたいと思いますね。

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