北朝鮮の弾道ミサイルと足枷の文在寅

今日はこの話題です。
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1.北朝鮮弾道ミサイル発射


3月25日、日本政府は、北朝鮮が25日午前7時4分ごろと23分ごろ、北朝鮮の東岸のソンドク付近から1発ずつ、合わせて2発の弾道ミサイルを東方向に発射し、いずれも、およそ450キロ飛翔して日本のEEZ(排他的経済水域)の外側の日本海に落下したと推定されると発表しました。

現在のところ、日本の航空機や船舶への被害は確認されていないとのことですけれども、菅総理は、弾道ミサイル発射の報告を受けてすぐに「情報収集・分析に全力を挙げ、万全の態勢をとること」を関係部署に指示した後、午前8時から首相官邸で国家安全保障会議(NSC)を開き、対応方案を議論しました。

菅総理は会議の後、記者団に「先ほど北朝鮮が弾道ミサイル2発を発射した……去年3月29日以来、およそ1年ぶりのミサイル発射は、わが国と地域の平和と安全を脅かすものだ。国連安保理決議に違反するものでもあり、厳重に抗議し強く非難する」と述べました。

そして「これまで以上に警戒・監視を強める必要がある」とし、「米国や韓国をはじめ、関係諸国と緊密に連携し、国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜く」と強調しました。

菅総理は4月に予定する日米首脳会談で北朝鮮問題を取り上げ、バイデン大統領と連携して対応する考えのようです。

続いて岸防衛相が記者団に、北朝鮮が発射した弾道ミサイル2発の射程距離は450キロメートル、高さは100キロメートル未満と発表しています。

北朝鮮は21日にも、2発の巡航ミサイルを発射しているのですけれども、このとき日本政府は特に声明を出しませんでした。ところが今回のミサイル発射について素早く反応したのは、菅総理もコメントしているとおり、弾道ミサイル発射は国連安保理決議に違反しているからです。

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2.国連安保理決議違反


3月25日、アメリカのバイデン大統領は、ホワイトハウスで就任後、初めて記者会見を開きました。

会見内容については、ホワイトハウスが公開していますけれども、その中で北朝鮮の弾道ミサイル発射についての質問がありました。該当部分を抜粋すると次の通り。
Q:外交政策についてお聞きしたいのですが、大統領閣下。一夜明けて、北朝鮮が2発の弾道ミサイルの発射実験を行ったことがわかりました。もし何か行動を起こすとしたら、どのような行動をとりますか?また、北朝鮮に対するあなたのレッドラインは何ですか?

バイデン大統領:まず第一に、実験されたミサイルが国連決議1718に違反していることをお伝えします。我々は同盟国やパートナーと協議しています。彼らがエスカレートすることを選択すれば、それに応じた対応をすることになるでしょう。

しかし、非核化という最終的な結果を条件に、何らかの外交手段を講じる用意もあります。そのために、今は同盟国と協議しているところです。

Q:非常に簡単なフォローアップですが

大統領:あと1時間しかありませんからね。

Q:ディプロマシー:それが何を意味するのか定義していただけますか? オバマ前大統領は、トランプ次期大統領に対して、北朝鮮は彼が注視している外交問題の最たるものだと警告していましたね。北朝鮮の危機をそう評価しているのですか?

大統領:はい。
21日の巡航ミサイルはスルーしたバイデン政権ですけれども、今回の弾道ミサイルは安保理決議違反だと明言した訳です。

バイデン政権は、早速、国連安保理の北朝鮮制裁委員会に緊急会合を要請し、26日の夜に非公開の会合を開くことが決まりました。安保理メンバー15ヶ国が意見を交わすとみられています。




3.同盟国やパートナーと協議している


北朝鮮の弾道ミサイル発射を国連決議違反だと明言した以上、バイデン政権が何らかのアクションを取らなくてはならないのは当然としても、それが国連安保理で会合を開くだけで終わってしまったら、意味がありません。

米中対立の最中、ロシアにも喧嘩を売りつつあるバイデン政権が安保理を纏めることが出来るのか、ちょっと分かりません。

バイデン氏は、国連決議違反だと断じた後「同盟国やパートナーと協議している」といい、そのあとに、状況がエスカレートしたら、それに応じた対応を取ると述べています。これは裏を返せば、これ以上事態が悪化しなければ何もしないと受け取ることも出来ます。

やる気があるのかないのか分かりません。

その一方、同盟国やパートナーが北朝鮮に対する強硬姿勢を打ち出し、追加制裁等々を訴え、バイデン政権がそれに従うということも考えられなくもありません。

けれども、アメリカの同盟国にはほぼ確実に、対北制裁に反対する国があります。

いわずと知れた韓国です。

今回の弾道ミサイル発射を受けて、韓国政府は国家安全保障会議(NSC)を開いたのですけれども、文在寅大統領はそれに出席せず、北朝鮮への非難や抗議を避けて「深い憂慮」の表明にとどめています。

また韓国大統領府も「ミサイルの詳細は韓米間の緊密な協力を通じて分析する」と断定を避けました。日本政府が早々に弾道ミサイルだと発表したこととは対照的です。

韓国政府は「韓米間の緊密な協力」とか言っていますけれども、なんとなれば、北朝鮮のミサイルは弾道ミサイルではないと言い張って協議をかき回し、時間稼ぎに終始することだって出来なくもありません。

付け加えるならば、韓国政府のいう、緊密な協力の対象は「米韓」であって「日米韓」とは言っていません。


4.足枷となる文在寅


3月17~18日、アメリカのブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官が韓国を訪問し、米韓2+2を行っていますけれども、発表された共同声明は、その直前に行われた日米2+2と比べて、「中国」や「北朝鮮の非核化」が抜けるなどかなりかけ離れたものでした。

これについて、武藤正敏・元駐韓大使は、「共同声明や、閣僚の冒頭発言、共同記者会見の内容から判断して、アメリカは文在寅政権との間において中国の問題で対立するのは避け、北朝鮮に対する日米韓の協力に焦点を絞って韓国に働きかけたようである。にもかかわらず、対北朝鮮問題で共通認識は得られず、日韓関係についても具体的な進展があった様子はない。両国の発表文を見る限り、これまでの双方の立場から大きな歩み寄りは見せていない」と指摘した上で「今のままの韓国の対応であれば、日米韓3国協力体制の中では『日米協力』を軸に動いていくのではないだろうか」と述べています。

アメリカが同盟国や友好国との関係を重視し、協議を行って物事を進めるという方針を続けるとしても、こと対中、対北問題については韓国の文政権が足枷になるように思います。

文在寅大統領の任期が切れるまでは、よほどのことがない限り、事態は動かないのではないかと思いますね。


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