言ってることとやってることが違う中国共産党

今日はこの話題です。
画像

 ブログランキングに参加しています。よろしければ応援クリックお願いします。



2021-04-21 221501.jpg

1.ボアオ・アジアフォーラム


4月20日、中国の習近平国家主席は海南省博鰲(ボアオ)で行われたボアオ・アジアフォーラム年次総会の開幕式でビデオ形式による基調演説「同舟相救い困難を克服し、運命を共にして未来を創る」を行いました。

ボアオ・アジアフォーラムは、スイスのダボスで開催されている世界の政治家・財界人・知識人が集まる「ダボス会議」のアジア版を目指して、中国政府の全面支援を受けて始まったものです。設立は2001年でアジアの25ヶ国とオーストラリアの計26ヶ国が参加しています。

今回のテーマは、「世界の大変局:グローバルガバナンスの大事業で協力 『一帯一路』のハーモニーを共に奏でよう」だそうですけれども、題名だけで、中国の意向が入りまくっていることが窺えます。

今年の年次総会は、世界で初めてのオフライン会議を中心にして行なわれ、世界の60を超える国・地域の代表約2600人と19ヶ国・地域のメディア160社の記者1200人余りが参加し、参加登録者数は4千人を超えると言われています。


2.オープン、グリーン、クリーン


このボアオ・アジアフォーラム年次総会で習近平主席が行った基調講演の内容について、人民日報は次のように報じています。
【前略】

▽我々は対等な協議を行い、ウィンウィンと共有の未来を切り開く必要がある。真の多国間主義を堅持し、グローバル・ガバナンス体制のより公正で合理的な方向への発展を後押しすべきだ。国際的な事は皆が共に相談して対処すべきであり、世界の前途と命運は各国が共に掌握するべきだ。世界に必要なのは正義であり、覇道は不要だ。大国は大国としての手本を示し、一層の責任感を示す必要がある。

▽我々は開放を推し進め、イノベーションを行い、発展し繁栄する未来を切り開く必要がある。貿易と投資の自由化及び円滑化を推進し、地域経済統合を深め、サプライチェーンと産業チェーン、データチェーン、人材チェーンを強固にし、開放型世界経済を構築する必要がある。経済グローバル化の時代において開放・連携は阻止できぬ歴史的趨勢であり、人為的な障壁構築やデカップリングは経済法則と市場ルールに背き、自他共に損害を与える。

▽我々は同舟相救い、健康で安全な未来を切り開く必要がある。情報共有と共同対策を強化し、新型コロナウイルスワクチンの国際協力を強化し、世界的な公衆衛生上の安全保障のガバナンスを全面的に強化し、人類衛生健康共同体を共に構築する。また、気候変動対策の国際協力を推進する。

▽我々は正義を堅守し、互いに尊重し、参考し合う未来を切り開く必要がある。冷戦思考とゼロサムゲームを棄て去り、いかなる形の「新冷戦」やイデオロギー的対立にも反対する必要がある。国家間のやりとりにおいては平等、相互尊重、相互信頼を前面に押し出す必要がある。平和、発展、公平、正義、民主、自由という全人類に共通の価値を発揚し、異なる文明間の交流と相互参考を提唱する必要がある。

さらに習主席は、「中国はパンデミックが抑え込まれた後に、第2回アジア文明対話大会を開催し、アジアと世界の文明間対話の促進に積極的役割を果たす」と宣言。

そして、「『一帯一路』」(the Belt and Road)は皆が手を携えて前進する開かれた明るい大きな道であり、ある一国の狭い私道ではない。『一帯一路』の共同建設は発展を追求し、ウィンウィンを尊び、希望を伝えるものだ。我々は各国と引き続き『一帯一路』の質の高い共同建設を行い、『共に話し合い、共に建設し、共に分かち合う』原則を実践し、「オープン、グリーン、クリーン」という理念を発揚し、高水準で民生に寄与し、持続可能な目標の達成に努力していく。我々はより緊密な衛生協力パートナーシップ、より緊密なコネクティビティ・パートナーシップ、より緊密なグリーン開発パートナーシップ、より緊密な開放・包摂パートナーシップを構築して、人類共通の繁栄へ向かうために積極的な貢献をしていく」と指摘した。

習主席は、「中国共産党の創立から2021年で100年になる。中国は引き続き世界平和の建設者、世界の発展への貢献者、国際秩序の擁護者であり続ける。中国は常に平和・発展・協力・ウィンウィンの旗を高く掲げ、新型の国際関係の構築を積極的に後押しする。中国はどんなに発展しようとも永遠に覇権を唱えず、拡張せず、勢力範囲を求めず、軍拡競争を行わない。中国は積極的に貿易・投資分野の多国間協力に参加し、海南自由貿易港の建設を推進し、より高水準の開放型経済新体制の構築を推進する。中国市場の大きなチャンスを各者が分かち合うことを歓迎する」と強調。

【後略】
正義が必要だとか覇道は求めていないとか、いけしゃあしゃあとよく言えるものです。案の定ネットでは「言ってることとやってることが違う」とか「語るに落ちまくってるぞ」とか「なんだ嘘か」とか炎上しています。


3.デカップリングを嫌がる中国


同じく20日、環球時報は「Justice, not hegemony, is humanity’s common value(覇権ではなく正義こそが人類の共通価値)」という社説を掲載しています。

社説といっても、中身は習近平主席のボアオ・アジアフォーラムでの基調講演をなぞったもので、「今日の世界で必要なのは、覇権ではなく正義だ……国家間の関係においては、平等、相互尊重、相互信頼の原則を前面に打ち出さなければならない……壁を立てる、切り離すという試みは、自分に利益をもたらすことなく、他人の利益を傷つけるものだ」と習近平主席の主張を支持しています。

そして返す刀で、アメリカに対し「世界を無理やり分裂と対立に巻き込み、その悪質な行為を自由民主主義の擁護とルールの保護というレッテルで覆い隠した。これらの行為はすべて、ワシントンの覇権主義への渇望を証明している……覇権主義は、自由、民主主義、公正さ、正義とは相容れない。ワシントンの偽善は、人類文明のすべての健全な政治的概念の擁護者であると主張しながら、覇権を押し付けようとすることにある」と批判しています。

この批判文など、主語をワシントンではなく、北京に変えたほうが余程しっくりきます。まさに「自己紹介、乙」です。

習近平主席は、基調講演で人為的な障壁構築やデカップリングは経済法則と市場ルールに背き、自他共に損害を与えると述べていますけれども、そもそも国当局は、外国の銀行が中国でビジネスを行うことに障壁を設けています。

2020年12月と2021年1月に中国共産党は、外国の銀行が海外から中国に送金する金額に制限を設ける規制を一括して導入しました。 また、3月31日に発効した別のルールでは、外資系銀行に融資を減らし、債券などの投資を売却するよう求めています。

これらルールは、世界の銀行の幹部や、それらの銀行からの融資に依存している中国の外資系企業に衝撃を与え この新ルールによって、外国企業が成長に必要な資金を中国の国有銀行システムに依存するようになるのではないかと恐れさせているそうです。

ピーターソン国際経済研究所の貿易専門家であるゲイリー・フフバウアー氏によると、「アメリカ、EU、英国、カナダ、オーストラリアに拠点を置く外資系企業は危機感を持っており、 多くの企業が中国での拡張計画を延期、更にいくつかの企業は、生産の一部を海外に移しているそうです。

昨年7月のエントリー「アメリカの反撃と徹底抗戦する中国」で筆者は、中国が「経済内循環」を唱え、内需で経済を回そうと準備し始めたと述べましたけれども、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、中国共産党当局は「内需循環」のスローガンの下、産業の自立とリバランスを盛んに唱えているが、中国経済の回復の構造は相変わらずで、外部依存度は依然として高く、成長は外需市場に牽引され、内需市場の主な成長は不動産の投資意欲からまだ解放されていないと指摘しています。

また、中国共産党商務部が2020年1月15日に発表したデータによると、対外貿易に関係する雇用数は約1億8千万人あり、もしも輸出がなくなれば、これらの産業に関連する企業が閉鎖されて失業の大量発生が起こると懸念されることから、外需はまだまだ必要との見方は強いようです。

こうした背景をみれば、中国が欧米諸国がデカップリングに動き出しているのを警戒するのも分からないではありません。と同時に、外需を失わないために、「一帯一路の新戦略」によって、周辺国の取り込みに一層力を入れてくることが考えられます。

近いうちにアジアを舞台とした「陣取りゲーム」が行われる可能性を考えると、ASEANなどのアジア諸国を西側に繋ぎとめるべく、日本は経済成長の停滞から一刻も早く脱却して、日本市場を大成長させなければならないのではないかと思いますね。



  twitterのフリーアイコン素材 (1).jpeg  SNS人物アイコン 3.jpeg  カサのピクトアイコン5 (1).jpeg  津波の無料アイコン3.jpeg  ビルのアイコン素材 その2.jpeg  

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック