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1.尖閣近海での物資投下訓練
2月17日、沖縄県の尖閣諸島の近海で、アメリカ軍が兵士を輸送機から降下させる訓練を計画し、海に物資を投下したとみられることが分かったと報じられています。
日本政府関係者らによると、アメリカ軍の輸送機が、上空から武器・弾薬などの物資を補給する単独訓練を行ったそうで、訓練直前にアメリカ軍から自衛隊に対し、兵士を輸送機から降下させる訓練を計画していると通告があったのですけれども、実際には兵士は降下させなかったものの、訓練の一環として物資を投下したとみられていますようです。訓練はアメリカ軍が尖閣の防衛や奪還に出動する有事を想定し、補給能力の強化を図ったものとみられています。
アメリカ軍が尖閣諸島の近海で実際の作戦を想定したとみられる訓練を行うのは極めて異例で、日本の防衛関係者の間では、アメリカ軍がこの地域への関与を強めようとする動きだと受け止められています。
これについて、4月22日、加藤官房長官は「米軍は日米安保条約の目的達成のため、必要な訓練を適宜実施している。尖閣をめぐる問題で、米国は日本側に立ち、連携する立場にある。日米間で引き続き連携し、日米同盟の抑止力、対処力を高めていきたい」とコメントしています。いうまでもなく中国に対する牽制です。
訓練当日、中国軍の戦闘機が尖閣諸島の上空に近づき航空自衛隊の戦闘機がスクランブルしていたほか、周辺にいた中国海軍の艦艇も尖閣諸島に接近する動きを見せたそうですけれども、軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「訓練で、バイデン政権が本気で尖閣をめぐる問題に関与し、『中国に対峙する意思がある』と見えるかたちで示したことは評価できる。仮に、訓練海域が尖閣にかなり近く、中国当局の船からも見える範囲だったならば、中国側を相当刺激し、威嚇する効果もあっただろう。同時に、尖閣は日本固有の領土である以上、日本こそ尖閣防衛訓練を堂々と行い、対中抑止力を高めるべきだ」とコメントしています。
2.駆け引きに使われた尖閣沖訓練
2ヶ月の前の訓練を今になって報じられたのは偶然ではありません。
評論家の上念司氏は、先日の日米首脳会談で尖閣が日米安保の適用範囲内だと明言したあとにこの訓練を公開したことの政治的意図をよく考えるべきだと述べていますけれども、その通りだと思います。
2月のアメリカ軍の尖閣沖訓練については、実は3月5日に一度、読売が報じています。
件の記事は「米軍が尖閣沖で先月訓練計画…有事想定、悪天候で見送り」というもので、この時は、尖閣諸島での有事を想定し、尖閣諸島の防衛や奪還のため、島に上陸した部隊や周辺海域に派遣された艦艇への物資補給に関する訓練の実施を計画していたとしながらも、悪天候のため見送られたと報じていたのですね。
それが実際には訓練していた。しかもその日、中国軍の戦闘機が尖閣諸島の上空に近づき、空自がスクランブル。中国海軍の艦艇も尖閣に接近していたというのですから、中国側も日本側もこの日にアメリカ軍が訓練を行ったことを知っているはずです。
にも拘わらず「悪天候で見送り」だなどと報じさせた。これは中国に対して、配慮を示すと同時に、自分のカードを残した。それを今回訓練していたとリークして、切って見せた。要は駆け引きの一種だったではないかと思います。
3.中国は1歩ずつ侵略
4月22日、岸防衛相は自民党議員の会合で講演し、尖閣諸島周辺での中国海警局の船の活動など中国の動きに言及したうえで、「中国は、目立たないところで1歩ずつ侵略し、最終的には全部変わっている状況をつくろうとしている。そうしたことを許さない……台湾が赤くなったら、大変な状況の変化が起きるかもしれない」と危機感を示し、台湾海峡の問題は、平和的に解決されるべきだとの認識を強調しました。
「目立たないところで1歩ずつ侵略し、最終的には全部変わっている」というのは、サラミスライス戦略とサイレントインベージョンをそまんま指摘したともいえ、これが現役閣僚の口から出たというのは大きなことだと思います。
そんな折、タイミングを合わせるかのように、20日、警視庁公安部が中国共産党員でシステムエンジニアの30代の男を私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで書類送検しました。
これは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)など国内約200の企業や研究機関へのサイバー攻撃に関与した疑いによるもので、警察当局は中国が軍の組織的な指示で高度なサイバー攻撃を仕掛けていたとみて、攻撃を受けた組織に注意喚起しています。
これについて、警察庁の松本光弘長官は定例記者会見で、は男や関係者の供述など多くの証拠から、国内約200の企業などへの一連のサイバー攻撃が「Tick(ティック)」と呼ばれる集団によって実行されたと指摘。背景にある組織として、青島市を拠点とする軍の戦略支援部隊「61419部隊」が関与した可能性が高いと説明した上で、「攻撃の背景組織の特定に至ったのは非常に意義深いと考える」と述べました。
松本長官は、サイバー攻撃への対応は国の安全保障上も重要な課題と述べ、官民の情報共有や、政府内や外国の治安機関との連携を図り、被害防止や攻撃の実態解明、取り締まりを進める考えを示していますけれども、先日のLINEからの個人情報漏洩疑惑など、サイバー次元では、日本はとっくに攻撃されているという認識を持つ必要があると思いますね。
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