一帯一路参加協定を破棄したオーストラリア

今日はこの話題です。
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1.一帯一路参加協定を破棄したオーストラリア


4月21日、オーストラリアのペイン外相は、連邦政府が国内の州及び準州と外国政府との協定を「1000件以上」精査した結果、ビクトリア州が中国と交わした2件、イラン、シリアとそれぞれ交わした1件の計4件を破棄したことを明らかにしました。

ビクトリア州が中国と交わした2件は、中国の国家発展改革委員会とのもので、2018年の一帯一路に関する覚書と翌2019年の協定です。

残りの2件は、シリアと結んだ1999年の高等教育での協力に関する議定書と、2004年にイランと結んだ職業訓練の覚書です。

ペイン外相は「これらの4つの取り決めは、豪州の外交方針と一致しないか、我々の外交関係に反するものである」と述べ、23日に出演したラジオ番組で協定破棄の決定に言及し、特定の国を念頭に置いた措置ではないと説明する一方、「オーストラリアは国益のために動いており、その点では非常に慎重に熟慮していると思う」と政府の方針を擁護し、中国が報復するとは思っていないと語っています。

まぁ中国が念頭のあるのは間違いないところでしょう。

オーストラリアは2020年3月、地方自治体が外国政府と結んだ協定について、連邦政府の外交方針と相いれない場合は外相が無効にできると定める外国関係法を制定しました。

連邦制を取るオーストラリアでは、外交は連邦政府の専権事項とされているにも関わらず、野党の労働党が政権をとるビクトリア州は独自に中国と一帯一路に関する覚書を交わしたことで、モリソン首相は公然と不快感を表明していました。


2.すぐに報復しない中国


このオーストラリアの決定に対し、中国は反発。中国外務省の汪文斌(ワン・ウェンビン)副報道局長は、オーストラリアの決定を「後退」とし、「中国はオーストラリア側に厳しい表明を提出し、決定を取り消すように促した。さもないと、中国は厳しい方法で反撃することになるだろう……オーストラリア政府が中国とオーストラリアの関係を改善することに誠実さを持っていないことを示している。それは二国間関係にさらなる損害をもたらすに違いなく、それ自体を傷つけることになるだけだ」と批判しました。

けれども、すぐさま報復するかといえば、そうでもなく、その権利を留保するとしています。

これについて、華東師範大学のオーストラリア研究センターのチェン・ホン教授兼所長は、「この国内法を使用することにより、オーストラリアは基本的に貿易と投資において中国に対して最初の大規模な攻撃を仕掛けた……オーストラリア当局は、この動きの結果を十分に認識しているが、それを進めた…これは、オーストラリアが中国との緊張を緩和するのではなく、さらに拡大する意図を明確に示している」とし、「中国は、交易条件と投資の観点から、オーストラリアの対中行動に公式に対応していない……中国は確実にそれに応じて対応するだろう」と述べています。

中国は世界貿易網を広げる目的で、「一帯一路」構想の下で各国の鉄道や道路、港に資金援助を行っています。中国はオーストラリアにとって最大の貿易相手国であり、かつて、オーストラリアへの留学生に占める出身国の割合は中国が最も高い比率を占めていました。

ところが、昨年4月、オーストラリアが中国を武漢ウイルスの発生源として調査するよう強く求めたことで、貿易面での関係が悪化。更に、オーストラリアが外国投資法の厳格化や、ファーウェイによる5G構築を禁止するなどデカップリングを進めています。


3.日本の一歩先を進むオーストラリア


こうしたオーストリアの措置に対し、中国政府はオーストラリア産の木材や牛肉、石炭の一部の輸入を制限。ワインに関しても「ダンピング」の疑いがあるとして、5年間にわたり最大218%の制裁関税を課す方針を出しています。

ただ報復といっても、中国には、資源に関して気軽に全面禁輸できない弱みがあります。例えば鉄鉱石です。

中国は鉄鉱石の60%をオーストラリアから輸入しています。

昨年のオーストラリア産の鉄鉱石輸入は7億1300万トン。続いてブラジル産の2億3570万トンです。

今年1月19日、英豪資源大手のリオ・ティントは2020年のオーストラリア産鉄鉱石の出荷量が19年比1%増の3億3060万㌧だったと発表しました。これは、中国が武漢ウイルス対策としてインフラ投資などの景気刺激策を実施したことで需要が堅調だったからです。

ゴールドマン・サックスは、中国が鉄鉱石輸入を全面的にやめた場合、オーストラリアの成長率は2%ポイント下押しすると試算しているそうなのですけれども、もしそうするのなら、代替輸入先を考えなければなりません。

昨年は、オーストラリア、ブラジル以外にインド産鉄鉱石の輸入が拡大。2019年の2380万トンから4480万トンへと急拡大しています。また、中国はアフリカなどからの調達も考えているようです。

それでも、鉄鉱石輸入の過半を占めるオーストラリア産を全て代替できる調達先を直ぐに見つけることは非常に難しいのではないかと思います。

対中強硬という意味では、オーストラリアは日本より一歩先を進んでいると思いますけれども、中国がオーストラリアに対し、何を報復として使い、何を報復として使えないかを注視・分析することで、日本の対応策にも活かせる部分があるのではないかと思いますね。



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