

1.下げ止まった内閣支持率
3月26~28日にかけて、日本経済新聞社とテレビ東京は世論調査を実施しました。菅義偉内閣の支持率は2月の前回調査から横ばいの45%で、「支持しない」と答えた不支持率は46%と、2月の前回調査の48%からは微減。1月の前々回調査では7ポイント差があったことを考えるとやや持ち直しつつある感じです。
一方、政府が武漢ウイルス対応の緊急事態宣言を3月21日で全面解除したことについては「妥当だ」と回答した人は30%、「遅すぎた」は13%であるのに対し、52%が「早すぎた」と答えています。
また、政府の武漢ウイルス対応については「評価する」が38%で2月から5ポイント低下。「評価しない」は55%で5ポイント上昇と「第4波」への懸念が調査に反映されたとみられています。
これについてある自民党ベテラン議員は「一旦、下げ止まったが、感染者が増えればまた支持率は下がる」と、支持率の下落に歯止めがかかったことに安堵する声があるものの、楽観できない状況であることで見方は一致しているようです。

2.感染状況と連動する内閣支持率
武漢ウイルス感染者と内閣支持率については、NHKが菅内閣が発足してからの7回の世論調査の結果と武漢ウイルスの全国の感染者数を重ね、「第3波の感染者数の高まりにともない自分や家族が感染する不安を感じる人が増えると、反比例するように政府のコロナ対応を評価する人が減り、引きずられて内閣支持率も落ちる。逆に年が明けて感染者数が山を越え不安が頭打ちになると政府の対応を評価する人は上向き、3月には発足以来続いた支持率の下落傾向に歯止めがかかった」と分析しています。
確かに、支持率と感染状況は連動しているように見えます。
今年は解散総選挙の年ですけれども、3月26日に新年度予算が成立した後、菅総理は衆院解散・総選挙について問われ、「いつあってもおかしくないとは思っていない。コロナ対策、やるべきことをしっかりやる必要があると思っている」と答えています。
今年の予算では武漢ウイルス対策で5兆円の予備費あてていますけれども、下手をしたらそれでも足りなくなる、あるいは緊急措置が必要になる事態があることを想定しているのかもしれません。

3.安倍前総理の再々登板説
それでも衆院任期満了に伴う解散総選挙はどこかで確実に行われることになります。
衆院任期満了となる10月までに予定されている大きなイベントとしては次の通りです。
6月16日 通常国会閉会解散総選挙はこれらのイベントを挟んだどこかの時期を狙って行われることになると思いますけれども、去年の感染状況を見る限り、武漢ウイルスは季節に関係なく拡がることが明らかですから、ウイルス対策の手を止める訳にはいきません。
7月4日 東京都議選
7月23日‐8月8日 東京オリンピック
9月末 自民党総裁任期
10月末 衆院任期満了
といっても、現時点では有効な手は殆どなく、緊急事態宣言を出しては解除するのを繰り返すのが関の山でしょう。
これに関連して、支持率と感染状況は連動していると指摘したNHKは、「ワクチンへの期待がふくらんだことが政府の対応への評価を高め、支持率の下げ止まりをもたらした」と分析しています。
その意味では、仮にワクチンに効果があるとして、いつまでに多くの国民に接種させることが出来るかがカギになっているとも言えます。
一部で囁かれている安倍前総理の再々登板があるとすれば、9月の自民党総裁選で菅総理が立候補せずに、安倍前総理が立候補するケースになるかと思いますけれども、それでも感染収束にある程度目途がつかないと厳しいように思います。
4.ワクチンが握る解散総選挙
武漢ウイルスワクチンの接種が進むイギリスでは最新の統計で、3月27日に新たに42万3852人が1回目のワクチンを接種し、全体の接種者は3015万1287人。2回目を受けた人は全体では352万7481人となっています。
イギリスの人口が約6665万人ですから実に半数近く、割合にして約45%がワクチンを接種したことになります。
最近、イギリスの国家統計局(ONS)はイギリス各地から代表的な血液サンプルを集め、国民全体に占める抗体保有者の割合を推定する調査を行いました。
その結果、イングランドの55%、ウェールズの51%、北アイルランドの49%、スコットランドの43%の人々が、3月14日までに抗体を得ているとみられることが判明しました。このパーセンテージはワクチン接種した人の割合と近い数字です。
抗体の保有率と感染具合の相関関係はこれから追跡されていくのでしょうけれども、今後イギリスで感染拡大が抑えられていくようであれば、変異種は別としてワクチンもそれなりに期待できるかもしれません。
ある意味、解散総選挙はワクチンが握っているのかもしれませんね。
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