

1.WHO報告書
3月30日、世界保健機関(WHO)は武漢ウイルスの発生源に関する調査報告書を発表しました。
WHOの国際調査団は専門家34人(中国17人、国外17人)で構成され、武漢ウイルス感染が始まった武漢で1月14日~2月10日にかけて、華南海鮮卸売市場や中国科学院武漢ウイルス研究所などを訪れ、調査しました。
報告書では、いかに武漢ウイルスがヒトへ感染していったかについて、「(1)動物から中間宿主を経由して感染」、「(2)動物からの直接感染」、「(3)冷凍食品による外部からの持ち込み」、「(4)武漢ウイルス研究所からの流出」という四つの仮説についてそれぞれの妥当性を検証しています。
報告書は(1)を「可能性が高い~非常に高い」と分類して最有力視。(2)は、コウモリとの接触が多い人からコウモリのコロナウイルスに対する抗体が見つかっていることなどを理由に「可能性はある~高い」として2番目と位置づけています。
そして、中国が強く主張していた(3)については、輸入した冷凍製品の包装の外面からウイルスが見つかった例があることから、低温に耐える可能性は排除できない一方、冷凍食品そのものが発生源になったという証拠はないため「可能性はある」に止まりました。
そして、アメリカが主張した(4)については、ウイルスが確認された2019年12月以前に、類似のウイルスを扱っていた研究所がないことなどを理由に「極めて可能性が低い」としています。
もっとも報告書は、「これからなされるべき複雑な研究の表面をこすったに過ぎない」とされ、発生源特定には数年、数十年はかかるとの見方もあるようです。
2.中国は生データ提供を拒否した
けれども、このWHO報告書に早くも批判が集まっています。
3月30日、日本、アメリカ、韓国、イギリス、オーストラリア、カナダ、チェコ、デンマーク、エストニア、イスラエル、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、スロベニアの14ヶ国は「調査実施が大幅に遅れ、完全なオリジナルのデータおよび検体へのアクセスが欠如していた」と懸念を示す共同声明を発表し、武漢ウイルスの起源に関するさらなる綿密で透明性の高い全方位的な調査の継続を要求しました。
その批判の主なものは、中国が、武漢ウイルス感染拡大から約1年も、WHOの本格的な現地調査を認めず、感染者の生データを提供するのを大部分で拒んできたというものです。
実際、調査に参加した専門家は、中国は「感染拡大初期の患者の生データ提供を拒否した」と証言しています。
これについて、ニューヨーク・タイムズは「報告書で使われたデータは、すべて中国の科学者から提供されたもの……中国政府は、ある程度のアクセスと協力を認めながらも、調査を自分たちの都合のいいように曲げようとする姿勢を繰り返している」と批判。国際調査団は中国の公式見解を鵜呑みにし、研究所職員の主張を十分に調査していないのではないか」との声も伝えています。
また、報告で「可能性が低い」とした武漢ウイルス研究所からの流出についても、アメリカのフレッド・ハッチンソン癌研究センターの進化生物学者、ジェシー・ブルーム氏は「報告書には流出の可能性を否定する理由は見当たらない」とコメントしています。
今回の報告書については当のWHOのテドロス事務局長でさえ、門家チームが生データにアクセスするのに苦労したとし、「専門家を交えた追加ミッションを行うなど、さらなる調査が必要……WHOに懸念がある限り、全ての仮説がテーブルの上に残っている。このことを明確にお伝えしたい」と述べ、報告書が最終のものではないと明言しています。
3.COVID-19は中国共産党による生物攻撃だ
武漢ウイルスの発生は動物由来を最有力とする見方については、複数のアメリカのメディアが批判しています。
3月26日、アメリカ疾病対策センター(CDC)前所長のロバート・レッドフィールド氏はCNNのインタビューで、「もし私が推測するなら、このウイルスは9、10月のどこかの時点において武漢で感染が始まった……これは私個人の感触だ。あくまで意見に過ぎない。今の私は意見を持つことを許されている……他の人はこの説を信じていない。それは構わない。最終的には科学が解明するだろう……研究所で扱われている呼吸器病原体が職員に感染するのは珍しいことではない」とも述べています。
メディアの中にはもっと激しい批判もあります。
4月1日、右派ニュースサイトの「GATEWAY PUNDIT」は「Yes, COVID-19 Was a Biological Attack by the Chinese Communist Party – Lawrence Sellin, Ph.D.(そう。COVID-19は中国共産党による生物攻撃だ)」という、米軍の生物武器専門のローレンス・セリン博士の寄稿を掲載しています。
記事では「何よりもまず、中華人民共和国では、軍事研究センターと民間研究センターの間に違いがないことを誰もが理解することが重要だ」と前置きし、中国共産党の軍民融合活動は、海外で活動する中国人科学者をネットワークの一部として統合することだ、と指摘。
中国共産党の軍民統合ウイルス研究は、人民解放軍(PLA)の少将でウイルス学者のウェイ・チェン博士が生物工学研究所の所長を務め、中国の生物兵器プログラムの責任者と推定されている軍事医療科学アカデミーが主導していると述べています。
そして、中国の内部告発者である閻麗夢博士が、COVID-19ウイルスのバックボーンであるコウモリコロナウイルスZC45および/またはZXC21は、重慶の第三軍医大学の監督下で特性化され、遺伝子操作されたと主張していることは重要だとした上で、初期の流行の震源地が人民解放軍中部戦区の総合病院であったのは偶然ではなく、それは湖北工程技術研究センター武漢ウイルス学研究所のP-3レベルの研究室から1マイル以内のところにあると述べています。
なんでも、この情報は、武漢武昌区衛生局が発表した、発生初期に病院から1マイルほど離れた住宅地で感染が最も集中したというデータとも一致し、さらに武漢ウイルス感染の疑いのある患者が助けを求めるために設けられたSNS(新浪微博)のチャンネルからのデータと時間的にも場所的にも一致しているというのですね。
更に、2020年5月にアメリカ科学アカデミーが、現在進行中の武漢ウイルスパンデミックに関する情報交換のために、中国とアメリカの科学者による一連の電話会議を開始したことを興味深いとし、その電話会議に参加した中国人は、武漢ウイルス研究所の高甫(ガオフー)、譚文杰(タン・ウェンジェ)、石正麗の3人であり、これは中国軍の事実上の説明会とも言えると指摘しています。
4.ウイルスをばら撒いたら制御不能になった
閻麗夢博士については、昨年9月14日のエントリー「麗夢の告発とアナザー911」で取り上げたことがありますけれども、博士は武漢ウイルスを人工物だとする告発を続けています。
路徳社によると、閻麗夢博士は4月1日に「NewsMax/National Report」の取材を受け「パンデミック初期から、中共政府とWHOは中共ウイルスの真相隠蔽に関与しており、中共はデータを偽造し、ウイルスに関する嘘な情報を流すことで世界を混乱させた。中共ウイルスは中共が実験室で改造した超限戦的生物兵器であり、感染爆発を引き起こした原因は実験室からの漏洩ではなく、群集実験のために中共ウイルスをばら撒いたところ、ウイルスが制御不能となり、武漢で大規模な感染を引き起こしたためである。その後、中共はわざと中共ウイルスを世界に広めた。これこそが、中共が長い期間計画していた生物兵器計画の一環である」と述べたそうです。
俄かには信じ難い証言です。群集実験のためにウイルスをばら撒くなどとは、およそ人のやることではありません。
5.SARS-CoV-2のゲノムの特徴は実験室での高度な改変を示唆している
閻麗夢博士は、武漢ウイルスは作られたものだとする論文をいくつか発表していますけれども、こちらの藤田歯科医院のブログに興味深い記事があります。それは昨年9月22日付の「Yan先生の論文についての考察。About Dr.Li-Meng Yan」というもので、論文には武漢ウイルス遺伝子の改変方法が記されているそうです。
この藤田歯科医院のブログの著者であると思われる歯科医師の藤田裕氏は、唾液免疫遺伝子の研究にて歯学博士号を取得、他のブログ記事では「かつては分子生物学の研究者だった」と述べています。
藤田氏によると、件の閻麗夢博士の論文に記されているウイルス作成方法の図が「かなり具体的過ぎてやばい」シロモノだそうで、「この特徴ある部位こそ抗原の検査サンプルにすべきなんだけど、無論、世界的に公にできないから、それとは異なるありきたりな遺伝子情報を、PCR検査などのサンプルにしていたずらに擬陽性が多くなる現象を引き起こす」と指摘しています。
これが本当であれば、今のPCR検査はかなりアテにならないもので、悪戯に隔離患者を増やしているだけ、ということになります。
また、藤田氏は別のブログ記事「米国のワクチン製造会社が、製造をギブアップしたのは、利を捨て真をとった」では、武漢ウイルスワクチンについて、「インサートされたコロナの遺伝子の正確さが担保出来ていないこと」または「非常に不安定なRNAワクチンは、正確にマニュアル通りの温度管理が出来ないと即座に内部崩壊してしまい接種しても意味がないこと」を取り上げ、科学的にも技術的にも、信頼出来るシロモノではない、とまで言っているのですね。
藤田氏のいうとおりなら、もっと精度の高いPCR検査なり、ワクチンなりを作るには、武漢ウイルスが"人工物"であることを突き止め、その正確なデータを公表しない限り、かなり困難であるということを意味します。
もしかしたら武漢ウイルス禍は、ワクチンがあったとしても簡単には収束しないのかもしれません。

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