ワクチンの一本足から脱却せよ

今日はこの話題です。
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1.イベルメクチンの治験開始


7月1日、愛知県に本社を置く興和株式会社は、武漢ウイルス感染症患者を対象に、イベルメクチンを投与する第3相臨床試験を実施すると発表しました。

第3相臨床試験とは、数百から数万という多数の患者を対象に、治験薬を投与して、詳細な情報を収集し、治験薬の有効性を調査する試験です。

第3相臨床試験では、治療現場での使用を想定しているため、薬剤が治療対象としている疾患だけではなく、様々な合併症を持つ患者にも投与を行なったり、半年から1年に渡る長期試験を実施したり、「盲検法」によって既に有効性が確認され市販されている薬剤と治療効果を比較したり、といった試験も行なわれます。

イベルメクチンの企業治験は日本では初のことで、イベルメクチンの開発者である北里大学の大村智博士が興和に直接依頼し実現しました。

興和は、臨床試験を開始する主な目的として次の3点を挙げています。
・イベルメクチンは寄生虫感染症治療薬として臨床の現場で約 30 年使用されており、長期間に亘り安全性が確認されている薬剤です。
・ 規制当局の承認を得た臨床試験により、有効性ならびに安全性が確認された薬剤を、いち早く国民の皆様に提供することで、新型コロナウイルス感染症治療に少しでも貢献し、国民の健康を守っていくことが製薬会社の使命と考えております。
・さらに、治療薬が誕生することにより国民の皆様が健康になり、停滞していた経済活動が再開されることで、日本経済の活性化が図られるものと考えております。
今回の臨床試験で興和は、北里大、愛知医科大学、東京都医師会の協力を得て、主に軽症患者800~1000人を対象に行うとしています。詳細な治験内容は医薬品医療機器総合機構(PDMA)と相談中で興和の三輪芳弘社長は「できるだけ早く始めたい」とコメントしています。

臨床試験は年内に終わる予定で、その後は厚生労働省に承認申請をし、順調にいけば1年ほどで認可が下りることになるようです。


2.国民の命を守ることが製薬会社の使命


イベルメクチンは、大村博士がアメリカの製薬会社であるメルク社と共同開発した抗寄生虫薬です。

熱帯地方に生息する体長1~5mmほどの昆虫「ブユ」に刺されると、回旋糸状虫が人に寄生します。この寄生虫が体内で増殖すれば、かゆみ、発疹、ときに瘢痕が生じ、失明につながる眼の症状が引き起こされるオンコセルカ症を発症したり、足が象のように大きく膨れ上がるリンパ系フィラリア症(象皮病)にも罹患したりします。

1987年から使用されてきたイベルメクチンは、これらの病気の特効薬となりました。イベルメクチンはアフリカなどで病に苦しむ多くの人々を救い、その功績により、大村博士は2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

そのイベルメクチンが、武漢ウイルスの感染者数も、死亡者数も劇的に減らす効果があるという臨床試験結果が世界で続々と発表される中、ようやく日本でも臨床試験が始まった訳です。

興和での臨床試験について、大村博士は「イベルメクチンの新型コロナ患者への治験が、いよいよ日本でも本格的に始動することになりました。何より重要なのは、科学的根拠やデータを提示すること。その結果により、皆さんに新型コロナの治療薬となり得るかどうか、判断してもらえればと思います……イベルメクチンは本来は、抗寄生虫薬です。それが新型コロナの治療薬として承認されるには、臨床試験を行う必要があります。そのため北里大では花木秀明教授たちが中心となり、特別編成のチームを作って昨年から治験を行ってきたのです。若い研究者たちはみな真面目で、正義感に溢れています。でも治験を専門的にやってきたわけではないので人手が足りず、募金を受けていたものの資金も不足状態に陥りました。そこで以前からともに仕事をしていた興和に相談したところ、新型コロナ感染症の治療に少しでも貢献したい、国民の命を守ることが製薬会社の使命だと、引き受けてくれたのです」と経緯を説明しています。


3.イベルメクチンは政治の問題


イベルメクチンは、現在日本でも、すでに一部の病院で武漢ウイルス感染症の治療薬として使われています。2020年5月発行の厚労省の「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き(第2版)」には、日本国内で入手できる薬剤の適応外使用として、「これらの薬剤は、いずれも有効性・安全性が確立していないため、研究としての適切な手続きを行った上で使用することが原則である」と断った上で、イベルメクチンもその一つに挙げています。

これについて大村博士は「イベルメクチンを新型コロナの治療に使える事実を知らない医師も多いと聞きました。特例承認を望む声もありますが、日本政府はまったく動く気配はない。日本の政府は、たとえ石橋を叩いても渡るかどうかを考え続けるような体質ですから、決断はできないでしょうね。本来であれば日本が世界に先駆けて実施し、突破口になってもいいはずなんです。でも、日本はそういう政治はできない。政府は、ワクチン行政も完全に失敗しましたよね。ワクチンを準備するというのは国家としては安全保障上の問題であって、兵器や戦闘機を用意しておくのと同じなんですよ。いざという時にワクチンを自国で、短時間で作れる態勢を整えておくべきだったのに、それもやりませんでした。そのうえオリンピックに向けて、国民にただ自宅待機だけを求める。国民を家に閉じ込めるだけの政治は、無策としかいいようがありません。本来の政治の役割とは、何が国民のためになるかを判断することなのではないでしょうか」と指摘しています。

確かに、適応外使用であれば、仮に副作用が出たとしても、国の救済対象ではないとしらばっくれることも出来るかもしれませんけれども、イベルメクチンは既に何十年も使われ続け、南アフリカを中心に 2019年は約4億人が投与を受けた実績のある薬です。

これについて大村博士は「イベルメクチンは、今までアフリカなどを中心に37億回も使われてきましたが、副作用はほとんど報告されていません。なぜ副作用が起きないかといえば、服用量が少ないからです。一般的な抗生物質は、1回約200㍉㌘の錠剤をたとえば朝と夜の1日2回、数日にわたり飲むよう指示されます。現在、イベルメクチンは疥癬の治療にも使われていますが、標準体形の成人なら12㍉㌘をたった1度飲めばいいだけなのです。どんな薬でも、量を多く飲めば肝臓などの負担になり、副作用が出やすくなります」とその安全性を説明しています。

もはや人流抑制にあまり効果がなくなってしまった非常事態宣言をバカスカ出すくらいなら、「イベルメクチンを武漢ウイルス治療薬として認める」と特例承認する手もあってよいのではないかと思えてきます。

一方、イベルメクチンは武漢ウイルスに対して効果がないと主張する人達もいます。その理由の一つは、世界保健機関(WHO)がイベルメクチンについて否定的な立場でいることです。

WHOは「証拠が非常に不確実」とか「いかなる患者にも使用すべきではない」などとの声明を発表し、製薬会社や大学による数千人単位の大規模な臨床試験がまだ実施されていないことをその理由としています。

これについても、大村博士は「現在、公表されている治験の結果は、患者にイベルメクチンを投与した医療現場の臨床をもとにしたものが殆どです。だから、一つ一つの治験の対象人数が少ないのは確かです。でも、それを全体として見れば、すでに相当数の人に治験が行われていることになる。そのうえ有能かつ経験豊富なFLCCCやBIRDの医師たちが、臨床試験を科学的にメタ解析した結果、効果があると明言したのです。それでもWHOは認めない、というわけです……そのWHOは5月、インド弁護士会から警告書を通知されています。WHOの指針に従い、インドでイベルメクチンの投与をしなかった州の感染者が、劇的に増えたからです」と述べ「イベルメクチンに関してはもう科学の問題ではなく、政治の問題になってしまっているのです」と指摘しています。


4.イベルメクチンの承認に関する質問主意書


その政治の問題ですけれども、イベルメクチンの承認について、今年3月、立憲民主の松原仁議員が質問主意書を提出しています。その質問主意書と答弁は次の通り。
令和三年二月二十六日提出
質問第五九号

イベルメクチンの承認に関する質問主意書
提出者  松原 仁




イベルメクチンの承認に関する質問主意書


 いまもなお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの収束の見通しは立っておらず、我が国においても感染拡大が続いており、昨年の緊急事態宣言時より重症者数、死亡者数とも高い水準で推移している。
 同感染症ワクチンの接種が開始されたものの、同感染症に対する治療薬の登場を切望する向きは、医療現場はもとより、社会全体に存在している。その中で、平成二十七年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授と米国Merck社の共同研究で創製された抗寄生虫薬である「ストロメクトール錠三ミリグラム」(一般名称「イベルメクチン」)は、同感染症治療薬候補としての期待を持たれている。イベルメクチンは、医師主導治験(第二相臨床試験相当)が、有効性および安全性を検討するプラセボ対照ランダム化二重盲検(評価者、患者)多施設共同並行群間比較試験で行われている。
 イベルメクチンについては、大村智記念研究所が公表しているところによると、世界二十七か国で治験が行われているという。
 東京都医師会の尾崎会長は、本年二月九日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、新型コロナウイルス感染者の重症化を予防する狙いで、海外で重症化を防ぐ効果が示されている抗寄生虫薬「イベルメクチン」等の薬剤を緊急使用することを提言している。
 「イベルメクチン」は世界保健機関の「必須医薬品リスト」に含まれており、発展途上国でも入手しやすく、ほぼ四十年の使用、及び数十億回の投与において観察された副作用は軽度でまれであるとして、安全性も確認されている薬剤である。
 そこで、次のとおり質問する。

一 政府として、ストロメクトール錠三ミリグラム(一般名称「イベルメクチン」)の承認申請に向けて、いかなる支援を行っているか。また、行っていないとしたら、どのような理由からか。
二 ストロメクトール錠三ミリグラムについて、今後、厚生労働省薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品第二部会において審議される際に、海外における治験資料は考慮されるか。また、考慮されない場合は、どのような理由からか。
三 ストロメクトール錠三ミリグラムの有効性の判断指標を示されたい。

 右質問する

令和三年三月九日受領
答弁第五九号

  内閣衆質二〇四第五九号
  令和三年三月九日
内閣総理大臣 菅 義偉


    衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員松原仁君提出イベルメクチンの承認に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。




衆議院議員松原仁君提出イベルメクチンの承認に関する質問に対する答弁書


一について

 お尋ねの「承認申請に向け」た「支援」の具体的に指し示す範囲が明らかではないが、御指摘の「イベルメクチン」(以下「イベルメクチン」という。)については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業の「COVID-十九対策北里プロジェクト; イベルメクチンのCOVID-十九に対する適応追加を目指した医師主導治験」において、新型コロナウイルス感染症の患者に対するイベルメクチンの有効性及び安全性を検討するための医師主導治験が行われているところである。

二について

 お尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは困難であるが、一般論として、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「法」という。)第十四条第一項の規定による承認又は同条第十三項の規定による承認事項の一部変更承認(以下「承認等」という。)に当たっては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「機構」という。)において、承認等を申請した企業から提出される臨床試験の結果等についての法第十四条の二第一項の規定に基づく審査(以下「審査」という。)が行われた上で、薬事・食品衛生審議会において、当該審査の結果に基づき、承認等の可否について議論されることとなる。

三について

 お尋ねの「有効性の判断指標」の意味するところが必ずしも明らかではないが、医薬品の有効性及び安全性については、法第十四条第二項第三号の規定にのっとり、承認等の申請に係る効能又は効果を有すると認められないこと、当該申請に係る効能又は効果に比して著しく有害な作用を有することにより、医薬品として使用価値がないと認められること等の該当性について、機構において審査が行われ、薬事・食品衛生審議会における議論を経て厚生労働大臣が判断することとなる。
松原議員がわりと具体的な質問をしているのに対し、政府は議論するとか議論にも基づいて判断するとかで正直答えになっていません。


5.ワクチンの一本足から脱却せよ


他国での治験をみてみれば、途上国を中心に約80件もの臨床試験が報告されています。

筆者も6月20日のエントリー「武漢ウイルス治療薬を開発せよ」で、それらの一部を取り上げています。

大村博士が有能かつ経験豊富と評価しているFLCCCは、当初武漢ウイルス患者の複数の初期報告に応えて、初期の武漢ウイルスパンデミックの「緊急」条件下で、アメリカの救急救命の医師らによってワーキンググループとして結成された団体です。

FLCCCは、多くの臨床試験のメタ解析を行い、イベルメクチンを予防として投与すれば85%、初期治療で76%、後期治療で46%に効果があり、致死率の改善も70%に上ったことを明らかにしています。

同じく大村博士が評価し、イギリスの医師や研究者などで構成されるBIRDも、メタ解析の結果、イベルメクチンの投与により、死亡リスクが平均68%(27%~86%)減少する可能性があり、曝露量が多い人の予防に関しても、感染リスクを平均86%(79%~91%)減少させる可能性がある
と報告しています。

大村博士は、「今まで約25ヶ国の政府や自治体が使用を認めて投与した後、多くの人の症状が改善したとの結果がはっきり数字として出ています。今年の4月頃から感染爆発が起きたインドでは、いくつかの州政府は独自に治療基準を改訂し、イベルメクチンの使用を始めて効果を挙げました。その他にもチェコやスロバキア、ペルーやメキシコなども治療を採用しています」とその効果を強調しています。

大村博士は、「私は別にイベルメクチンで商売をしたいわけでも、やみくもに早く日本で治験を終えて承認してほしいと言っているわけでもありません。ただ、何が本当に正しいかを見極めてほしいと願っているだけなのです……予防はワクチン、そして感染したらイベルメクチンなどの治療薬を使う。その両輪があって、初めてこの感染症に立ち向かうことができるのです」と述べていますけれども、ワクチン一本槍より、イベルメクチンなどの治療薬も併用できたほうがよいことはいうまでもありません。

ファイザーやモデルナのmRNA​ワクチンを特例承認して使っている現状を考えれば、イベルメクチン含め、現在、適応外使用としている薬剤の特例承認もあってよいのではないかと思いますし、これは政治の力で後押しを考えてしかるべきではないかと思いますね。

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