大水害をよそにチベット視察した習近平

今日はこの話題です。
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1.チベット視察


7月23日、中国国営新華社通信は、習近平国家主席がチベット自治区を視察したと報じました。

今年は、人民解放軍がチベットに進攻、併合してから70年に当たり、習近平主席のチベット訪問は、2012年の総書記就任後初で、現職の総書記による訪問は1990年の江沢民氏以来となります。

習近平主席は7月21日にチベット自治区ニンティの空港に到着し、農村振興などの状況を視察。翌22日にはニンティ駅に行き、6月に運行を開始した川蔵線鉄道と、四川省成都とチベットのラサを結ぶラサ・ニンティ鉄道の建設状況について報告を受け、鉄道でラサに移動。世界遺産のポタラ宮などを訪問しました。

習近平主席は「チベットの質の高い開発を促進することは、すべての開発が民族の団結と進歩を促進し、生計を改善し、人々を団結させ、すべての民族グループの利益、安全、幸福の感覚を高めることであるという原則に基づくべきだ」と語ったそうですけれども、今回の訪問について、アナリストは、中央政府がチベットの経済成長と安定性を高め、次の開発ラウンドで地元住民の生活を改善することに重点を置いていることを示していると述べています。

そのほか、チベット訪問で共産党統治の成果を誇示し、国家の統一を守る姿勢を強調する狙いや、人権や宗教、少数民族問題で対中批判を強めるアメリカを意識したのではないかという見方も出ています。


2.人災が疑われるトンネル水没


けれども、そもそも人権や少数民族問題を気にするのであれば、現在ただいま豪雨水害に遭っている被災地への対応が最優先されるべきだと思います。こんなときに水害を避け、のうのうとチベットを視察する神経が分かりません。

7月23日、中国河南省政府は、記録的な大雨による死者が56人に増え、5人が行方不明になっていると発表しました。

冠水した街の状況などネット等で拡散していますけれども、中でも鄭州市の鄭州駅近くの幹線道路にあるトンネルは完全に水没しました。

出口付近から車を捨てて脱出した人が語ったところによると、20日の夕方、大渋滞となっていたトンネル内に水がたまり始め、わずか20分ほどで車が見えなくなったそうです。当時、鄭州市の1時間雨量は200ミリを超え、観測史上最大を記録していました。

トンネルの全長は4.3キロで6車線ですから、渋滞だと計算上はトンネル内に1000台から5000台近く車が入ることになります。

ネットにはトンネル入口の動画がアップされ、約100台以上の車が道路に積み上げられている様子が移っています。既に道路の洪水は引いたものの、トンネル内の水は依然として引いておらず、水没したままの車両が多くあると見られています。

警察はすでにトンネルを封鎖し、近づかせないよう警備しているそうですけれども、封鎖するのであれば、豪雨で街が冠水することが予想された段階で行うべきでした。

一部では、夜になると、何台もの長いトレーラーが遺体をトンネルから運び出していて、6000体の遺体があるとまで噂されているそうです。

当局は今回の豪雨を1000年に一度とか5000年に一度とか強調しているようですけれども、水利専門家の王維洛氏は、毎秒600立方メートルの洪水の内、525立方メートルが貯水池からの放水であり、今回の洪水は自然発生ではなく、貯水池から水を放出したからだと指摘しているそうです。

国営放送の中国中央電視台(CCTV)によると、上流の常荘貯水池は20日午後7時の時点で131.31mの最高水位を記録し最大流出量は毎秒525立方メートルに達していたとしています。

もし、王維洛氏の指摘通り、貯水池からの放出が原因だったとしたら、自然災害ではなく人災ということになります。当局の責任は免れないでしょうね。


3.中国の夢では誤魔化せない


中国は昨年も酷い水害に見舞われましたけれども、このとき習近平主席は、被災地を視察しています。

もっとも、この時の視察は、いわゆる「北戴河会議」が終わった直後のタイミングであり、中国共産党内では「長老らから中国政治における治水の特別な意味を諭されたに違いない」とか、「自らというより共産党の内部から圧力を受けての行動だろう」という風に受け止められていたと言われています。

このとき、習近平主席は安徽省の被災地を視察したのですけれども、その時習近平主席は、黄河の治水に成功した伝説の聖王で夏王朝の創始者とされる「禹」に触れ自然災害と戦ってきた数千年の歴史を強調しました。

昨年、伝説の禹王まで出して治水の重要性を口にしていたのに、今回の水害です。確かに1000年に一度だか5000年に一度だかの豪雨に見舞われ、治水工事など1年やそこらで出来るものではないであろうことはそうかもしれません。

けれども、鄭州市の冠水が貯水池からの放出による人災なのだとしたら、未然に防げた可能性もある訳です。

習近平主席は、中国の夢などとぶち上げ、自身で中華皇帝然として振舞おうとしていますけれども、すくなくとも、治水においては聖王「禹」に遠く及ばないことが明らかになったともいえると思います。

26日には大型で強い台風6号が上海に接近・上陸していますけれども、台風による水害も懸念されています。

天災に人災が重なる中国。習近平主席が人民に「中国の夢」を見させて誤魔化すにも限界があるのではないかと思いますね。


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