東京五輪閉幕と評価

今日はこの話題です。
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1.東京五輪閉幕


8月8日、東京五輪の閉会式が国立競技場で行われました。聖火が消えて約2時間15分の"最後の宴"が幕を閉じると、ネットでは「終わっちゃった」、「終わってしまった」、「ちょい寂しい」と早くも"五輪ロス"の声が上がりました。

開幕前には武漢ウイルスの感染拡大で開催反対や延期を求める世論が高まったのですけれども、「正直こんなにオリンピック盛り上がれるとは思ってなかった」「なんだかんだ言ってもやっぱりスポーツ見ると感動したわ」といった感想もありました。

JNNの世論調査によると、「開催してよかった」は25%、「どちらかといえば開催してよかった」は36%で、両者をあわせると61%。「どちらかといえば開催すべきでなかった」は24%、「開催すべきでなかった」は14%でした。一方で、オリンピックが感染拡大につながったと思うかという質問に対しては、「つながった」「ある程度つながった」をあわせると60%に達しました。

8月6日、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は、東京五輪の閉幕を前に都内で大会を総括する記者会見を開き、。「スポーツが人々を結びつける大きな例示になった……選手は大会が開催されたことに本当に感謝している」と述べ、大会は成功したとの認識を示しました。

バッハ会長は、殆どの会場が無観客と決まった際は「魂のない五輪になるのではないかと危惧した」と振り返り、大会の成功ぶりは「個人的な期待をはるかに上回った……会場の素晴らしさに誰もが感謝しており、ボランティアの親しみやすさは模範となる。交通も非の打ちどころがない」と称賛しました。

まぁ。IOCの会長ですから、多分にリップサービスの部分もあったかもしれませんけれども、各国の選手たちからは日本側のホスピタリティに感謝と賞賛の声を残していましたから、満更でもなかったように思います。


2.東京に戻ってきたい


パンデミック下で行われた東京五輪ですけれども、運営に対する評価だけでなく、今後の五輪に対するある種のモデルケースになった可能性もありあります。

8月8日、世界陸連のセバスチャン・コー会長は、都内のメーンプレスセンターで記者会見し、「再び観戦を楽しめる状況になったら、東京に戻ってきたい。この施設を使い、人々が見損ねたものをお目にかけたい……通常でも大会の運営は難しいのに、この条件下で開催されたのは奇跡にほかならない。選手に格別な舞台を用意してくれた東京には多大な恩義がある」と感謝と恩返しの言葉を口にしました。関係者によれば4年後の2025年に東京世界陸上の開催が期待されるとのことです。

アメリカのNBCでテレビ中継を行う際に使用するデータを収集・提供する専門家であり、ライターでもあるデイビッド・モンティ氏は、今回の東京五輪について、日本行きの飛行機に乗るまで、本当に開催されるとは思っていなかったと振り返りつつも、武漢ウイルスがオリンピックを実行するのは本当に難しいことで、日本がここまで無事に大会を進めているのは、素晴らしいと賞賛しています。

また、インドの新聞『Indian Express』で記者を務めるミハイル・ヴァサブダ氏は、東京五輪が行われることについて、インド国民の多くは不安を感じていたと述懐していました。

というのも、インドのニュースの多くはアメリカやイギリスから流通している関係で、両国のマスメディアが五輪に対するネガティブな情報を多く伝えていたこともその要因として挙げています。

その一方で、インド国内では日本の組織力は世界一だというイメージがあり、パンデミックの中で実際に五輪を開催できる国は日本しかないと考えていたのだそうです。

そして、今回の東京五輪を踏まえた上で次回のパリ五輪を開催するとしたら、求められるハードルはかなり高いと指摘。会場からの移動について、移動のバスは全てタイムテーブル通りに運行していて、会場についてもスムーズに目的地へたどり着けるような準備がされているなど運営はほぼ完璧で、パリでも同じような運営ができるか分からないとし、日本のボランティア「おもてなし」は本当に素晴らしいとコメントしています。


3.緊急事態宣言下の劇的な大会


今回の東京五輪については、イギリスのBBCが「緊急事態宣言下の劇的な大会 記憶に残るのは」という記事を挙げています。次に一部抜粋します。
ほかに類を見ない今回の大会にも、宵闇が訪れている。オリンピック関係者は荷物をまとめて、この街を離れようとしている。とすればなおのこと、現代において最も開会の是非が問われた大会の一つだった東京五輪が、今後どのように記憶されていくのかが、今後あらためて問われるようになる。

もちろん、どのオリンピックもほかとは違う。しかし「東京2020」は本当に、前例のない大会だった。この17日間で確かに、劇的なスポーツのドラマが相次ぎ展開された。しかしそれでもこの大会は今後もずっと、「コロナ五輪」、「COVID五輪」として記憶される。今のパンデミック下の初のオリンピックで、緊急事態宣言下で開かれる初のオリンピックで、そして無観客で行われた初のオリンピックだった。

これだけの難問を前に、この大会がそもそも閉会までこぎつけ、そればかりか実に多くの特別な瞬間を提供したことは、ある意味で小さい奇跡だったと捉える人もいるだろう。あるいは、スポーツの不屈の精神、そして開催国のたくましさを強力に示すシンボルとなったと評価する人もいるだろう。賭けは成功したのだと。

しかし同時に、主催者側の判断や思惑にこれほど厳しい目が集まったのも、過去にあまり例がない。とりわけ国際オリンピック委員会(IOC)については、複数の大きな疑問が浮上した。あくまでも今大会を実施するのだと突き進んだIOCの判断が、果たして賢明なものだったのか、十分に検討され評価されるまで、まだしばらく時間がかかるだろう。

【中略】

もちろん実際の東京大会は、大きな危機からの復興の象徴というより、別の大きな危機にその在り方を決定づけられるものとなってしまった。

しかし究極的には、パンデミックほどのとてつもない事態でさえ、オリンピックを否定することはできなかった。そのことにほっとする人も、がっかりする人もいるはずだ。そして、東京五輪の開催が正しかったのかどうかは、今後ずっと議論されていくだろう。しかし、今のように不安に満ちた時代でも、スポーツ選手は今まで通り、あふれる元気で大勢を励ましてくれる存在であり続けた。それは確かなことに思える。
BBCは東京五輪の是非については、今後議論され、その評価が定まるまでしばらくかかるだろうと述べています。筆者もそう思います。なにより印象に残ったのは「東京大会は、大きな危機からの復興の象徴というより、別の大きな危機にその在り方を決定づけられた」という部分です。

勿論、五輪はオリンピック憲章に従って行われるべきものですけれども、それ以外に、パンデミックも五輪に枠を掛けたということです。

このパンデミック下で行う五輪という意味では、今回の東京五輪が最初で最後になるのかどうかはまだ誰にも分かりません。

ただ、今後の五輪もパンデミック下で行われるとするならば、今回の東京五輪はそのマスターケースになるのではないかと思います。


4.東京五輪の経験を参考にしつつ北京式のコロナ対策を組み合わせる


半年後に北京冬季五輪を控えた中国は、東京五輪には30人あまりの視察団を派遣して入念に調査するなど、東京五輪をモデルに対策を進めています。

7月30日、北京冬季五輪の施設建設担当者は記者会見で、「東京五輪の経験を参考にしつつ、北京式のコロナ対策を組み合わせる。そのためには、隔離用の通路や壁、臨時の隔離所などを新たに建設する必要がある……工事そのものは難しくなく、間に合う」と強調しています。

8月6日、国営新華社通信は「無観客開催は大きな功績だった」と評価する記事を配信し、五輪開催中に日本で感染拡大が深刻になったものの、開催地を大きな泡で包むように囲い、選手やコーチ・関係者を隔離して外部の人達と接触を遮断する「バブル方式」により選手や関係者の感染率は「一貫して低水準に留まった」と指摘。有観客だったならば、観客と関係者との接触が避けられず、感染力が強いデルタ株を前に「制御不能」になっていたとの見方を示しています。

ただ、北京五輪の組織委員会は、海外や中国国内の観客を受け入れるかどうかなどについてまだ表明しておらず、チケットも販売していません。

これらは、東京五輪や国内外のコロナ感染状況を踏まえて検討を進める見通しのようなのですけれども、今、中国ではデルタ株の拡大が続いており、感染状況によっては、北京五輪の開催準備にも影響を与える可能性があるのではないかと見られています。

それに今の水害とて復旧を考えれば半年やそこらで完全回復できるとも思えませんし、それ以前に、現在進行形で「ジェノサイド」をしていると批判を受けている国で、五輪を行う意味はあるのかという声もあります。

いくら中国共産党政府が国威発揚のために五輪を行いたいと思っても、受け入れる現地の状況や、選手団を派遣する参加国の協力は必要不可欠です。

果たしてそれだけの準備を行い、最後まで運営することが出来るのか。

なにやら「天」がその答えを出してきそうな気がしますね。


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