ブログランキングに参加しています。よろしければ応援クリックお願いします。
1.アフガニスタンに降り立つ空自輸送機
8月23日、岸防衛大臣は、アフガニスタンに残る国際機関の日本人職員、それに大使館で働くアフガニスタン人のスタッフなどを国外に退避させるため、自衛隊機による輸送を命令しました。
自衛隊法に基づいて、在外邦人などの輸送任務で外国人を退避させるのはこれが初めてとなります。
派遣されるのは、鳥取県の航空自衛隊美保基地に所属するC2輸送機1機と愛知県の航空自衛隊小牧基地に所属するC130輸送機2機。
C2輸送機は25日に現地カブール空港に到着し、誘導などに当たる隊員を送り届けました。予定では、退避を希望する人が空港にいればパキスタンのイスラマバードまで輸送するとのことだったのですけれども、退避希望者は空港に到着できておらず、輸送は行われませんでした。
防衛省によると、今回は、航空自衛隊と陸上自衛隊から合わせて数百人規模の隊員が派遣され、自衛隊法に基づき、自身や他の隊員、輸送対象者などの身を守る場合に限って、武器の使用が認められています。
自衛隊は、早ければ今週後半にも退避を希望する人の輸送を始めたいとしています。
2.退避のボトルネック
邦人退避について、政府はイスラマバードを拠点にし、カブールの空港との間をピストン輸送することを計画していて、防衛省は、カブール空港に現地調整所を設置するとのこと。
自衛隊は空港での外務省職員による本人確認などの検査等のサポートに加え、輸送機までの誘導などを担う予定なのですけれども、あくまでも、空港内でのことです。
退避の主な対象は、国際機関で働く「若干名」の日本人のほか、大使館と国際協力機構(JICA)の現地スタッフらで、計数百人規模とみられているのですけれども、今回の自衛隊派遣は、自衛隊法第84条の4(在外邦人等の輸送)に基づいたものであり、空港外での避難民の救出や警護、輸送を想定していません。したがって、退避を希望する人は自力で空港まで移動する必要があります。
今回の輸送作戦について、自民党の佐藤正久参院議員は、この「退避者の自力での空港までの移動」がボトルネックになるとし、空港周辺にタリバンが検問所を設けているため、輸送対象の邦人や現地職員が安全に検問所を通過する必要があると述べています。
その為には、現地入りした情報収集チームの大使館員等が、輸送対象の現地職員及び検問所のタリバン側と調整作業を行うことになると指摘しています。
更に、佐藤議員は、アメリカ軍によるカブール空港の安全確保が絶対条件であり、アメリカ軍が撤収すれば、自衛隊機活用の退避作戦は不可能になるとした上で、今回の退避作戦の鍵は、外務省や自衛隊の情報収集チームの活動に寄る部分が多いと述べています。
3.タリバンの声明
その退避する邦人の安全確保についてですけれども、日本メディアから、自衛隊機と退避する日本人らの安全を保障できますかと問われた、「タリバン」のムハンマド・ナイーム報道官報道官は「我々にとって何の問題もない。各国民が退去、帰国するための機会を与えている……外国軍はできるだけ早く撤退した方が良い。アメリカ軍と外国軍が決めた撤退期限は8月31日だ。我々は自衛隊が撤退期限を超えて活動するとは想定していない」と答え、自衛隊の輸送機による在留邦人や日本大使館で働く現地職員らの国外退避を認める考えを明らかにしました。
そして、更に、ナイーム報道官は日本政府と大使館を通じて連絡を取っていることを明らかにし、今後、日本との関係強化を望む考えも示しました。
けれども、タリバンの別の報道官は少し違ったニュアンスで応えています。
FNNの取材に応じたタリバンのムジャヒド報道官は「われわれは、日本人のアフガニスタンからの退避を望んでいない。われわれは日本人を保護する。しかし、自衛隊は退去してほしい」と、現地の日本人などに退避しないよう呼びかけたうえで、「友好的で良い外交関係でいたい」と主張しています。
ネットでは「人質じゃないか」という声も上がっているようですけれども、確かに体のいい人質です。
空港に向かう途中の検問で引っ掛けられて、そのまま人質になってしまう可能性は否定できません。
4.キレたイギリス
このように身辺の危機に瀕しているのは邦人だけではありませんけれども、こんな事態になったのは、性急に撤退を決めたアメリカのバイデン政権の失策によるものと言わざるを得ません。
アメリカのオンライン紙「ウエスタンジャーナル」によると、今回のアメリカ軍のアフガン撤退について、バイデン大統領は、同盟国であるイギリスに撤退方法や撤退ペースを伝えなかったのだそうです。
そして、カブールが陥落した後、イギリスのジョンソン首相が月曜日の朝から、カブール陥落について話し合うためにバイデン大統領を電話で呼んでいたのですが、バイデン大統領はこれに出ず、2人が最終的に話したのは火曜日の午後10時近くだったそうです。
いくら自国民の避難が優先になるとはいえ、この緊急時に同盟国を丸一日半もほったらかしとは、流石に配慮がなさすぎです。
これが本当であれば、おそらく日本にも何にも連絡がなかったものと思われます。
ウエスタンジャーナル紙は、イギリスという同盟国を無視していたことが事実であれば、彼らには怒りと裏切りを感じる権利がある、と厳しく批判し、「バイデン氏の失敗は、イギリスがアメリカを公式に批判する原因となり、同盟国からの信頼を損ねたことは間違いない」と論評していますけれども、その通りです。
5.世界に禍根を残すバイデン
もしタリバンが各国の民間人を拘束して人質として身代金を要求したらどうするのか。あるいは、人質を見せしめに何人か殺害して、アメリカのせいだといって、アメリカの信頼を落としめ、同盟関係を揺さぶってきたら……。
もっと怖いのは、タリバンの背後にいると噂される中国がこの"人質"を政治的に使ってくることです。
たとえば、タリバンに現地のアメリカ人を拘束して、アメリカに身代金ではなく、武漢ウイルスの起源調査報告は研究所起源説を否定して自然発生だと結論付けるように要求しろとか、デカップリング政策を止めろとか、カナダで拘束されているファーウェイCFO開放しろとかを要求すれば、莫大な支援をする、などと裏で手を結んでいるようなケースです。
中国はなんでもありですからね。札束をチラつかせてタリバンを意のままに操ろうと考えても少しもおかしくありません。そういう水面下でのアメリカとの交渉をタリバンにさせる。
注目されていた武漢ウイルス起源調査報告も、確たる証拠はないと煮え切らない内容のようですし、もし、バイデン大統領が折れて、人命と引き換えに武漢ウイルスの起源を封印してしまったのだとしたら、今後、有効な対策は打てなくなります。今後、COVID-26やCOVID-32のパンデミックが起きる危険も出てきます。
アメリカの信頼に傷をつけ、同盟関係を揺さぶり、のみならず、武漢ウイルスの責任の所在をも有耶無耶になってしまうのだとすると、バイデン大統領のアフガン撤退の失態は、世界に大きな禍根を残すことになるかもしれませんね。
この記事へのコメント
つまり日本やイギリスよりも中国と韓国に情報のネット・人脈のパイプがあると判ります。
日本はアメリカを信じすぎないように、中国・韓国に気をつけた方が良いですね。