加熱する自民党総裁選

今日はこの話題です。
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1.安倍内閣引き継ぐ


8月26日、高市早苗前総務相は「今日がキックオフだと思っている。精一杯、多くの同志に政策をお伝えし、また賛同をお願いしたい」と述べ、自民党総裁選に出馬する意向をあらためて示しました。

高市氏はどのような政策を訴えたいかとの問いに「リスクの最小化」と答え、武漢ウイルス感染症などのリスクに対応するよう、「さらなる改善策、これからの備えとしてやっておくべき対策についてもお伝えしたい」との述べ、地方の医療体制の充実や、治療薬の国産体制を整備するため、「政府が一定の設備投資をして生産を急ぐべき」との考えを示し、「一刻も早い補正予算の編成が必要だと考えている」と語りました。

また、経済を立て直すことが社会保障を確保する道でもあるとし、全世代が安心感を持てるようになれば消費マインドの回復・税収増にもつながるとの認識を示し「危機管理投資、成長投資の必要性を訴えたい」と述べています。

そして、安倍前内閣のやり残し案件として、2%のインフレ目標達成や機微情報が中国に流失するのを阻止するための法整備を例に挙げ、「しっかりと引き継いでいきたい」と語りました。

高市氏はこの日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、7月下旬まで安倍前総理に総裁選出馬を求め続けたものの、「菅首相に悪い」と断られた逸話を紹介し、課題となる20人の推薦人の確保については、「たくさんの同僚議員から『頑張れ』と励ましがある。これからの努力だ」と述べるにとどめていますから本当に出馬できるのかどうかはまだ分かりません。


2.自民党に声が届いていないと国民が感じている


一方、出馬を正式に表明したのは、岸田前政調会長です。

26日、岸田氏は国会内で記者会見し、「このたびの自民党総裁選に立候補すると決意した」と述べ、党総裁選に出馬すると正式に表明しました。

岸田氏は「国民政党であったはずの自民党に声が届いていないと国民が感じている……自民党が国民の声を聞き、幅広い選択肢を示すことができると示し、日本の民主主義を守るために立候補する」と語り、国民の信頼を回復するために「党のガバナンス改革をしっかりと進めていく」と訴えました。

武漢ウイルス対策については「危機管理の要諦は最悪の事態の想定だ。『たぶんよくなるだろう』ではコロナに打ち勝つことはできない」と指摘。人流抑制や病床確保、ワクチン接種の推進などとあわせて、早期に「経済対策をとりまとめる」と説明しました。

そして、経済政策については「成長と分配の好循環による日本型の資本主義を構築すべきだ」と唱え、中間層の拡大に向けて「『令和版所得倍増』を目指す」と述べました。


3.政権与党でコロナ対応に責任を持っている方は出馬すべきではない


岸田氏以外に総裁選出馬に意欲を見せているのが下村博文政調会長です。

27日、下村氏は「推薦人は既に20人以上の協力をもらえる予定だ。より多くの方の賛同を得て出馬したい」と述べ、出馬に意欲を示しました。

けれども、下村氏の所属する細田派の反応はいま一つです。

細田派会長の細田元幹事長は菅総理支持を明言。また、参院細田派会長の世耕弘成参院幹事長は、下村氏が党の新型コロナ対策本部長であることから「政権与党でコロナ対応に責任を持っている方は出馬すべきではない」とばっさり。

下村氏は30日に菅総理と会談したのですけれども、その際、武漢ウイルス対策のための新たな経済対策をめぐり、総裁選に立候補するならば政調会長として任せる考えはないことを伝えられたようです。結局下村氏は、自らが所属する派閥の幹部に「経済対策を政調会長としてしっかりやれと総理から言われた。経済対策をしっかりやりたい」と、総裁選への立候補を断念する考えを伝えたと報じられています。

下村氏以外では、ここにきて石破氏が総裁選出馬に色目を使い始めるなど、公示まで虚々実々の駆け引きが行われるのではないかと思われます。


4.党壊れるかも


今回の総裁選は議員票と同数の地方票が加わる「フルスペック」で行われますけれども、現在、自民党の国会議員は、衆参合わせて計383人。派閥別に見ると、菅総理を支持する派閥は、細田派が96人、麻生派は53人、二階派は47人で、合計すると196人。

対する岸田派は46人、それ以外では石原派10人、石破派17人となっていますから国会議員票では菅総理が圧倒しています。

けれども、総裁選が終わればすぐに総選挙が待っています。それを考えると話は簡単ではありません。

8月28日、毎日新聞と社会調査研究センターが実施した全国世論調査では、菅内閣の支持率は前回7月の30%から4ポイント下落し、26%を記録。不支持率も66%と4ポイント上昇しました。

また、先日自民党が行った世論調査「選挙情勢調査」では、来る衆議院選挙で自民党は、40議席から70議席を失うという衝撃的な結果が出たと言われています。

従って、当然の事ながら次期総裁には「選挙で勝てる顔」であることが求められます。それがこの結果です。菅総理のままでは衆院選大敗となる可能性があります。

ある代議士は「岸田さんは人気がない、大して知名度もない。とはいえ、菅さんよりはマシでしょう。岸田さんが党総裁となり首相に就任すれば、"ご祝儀相場"が期待できます。新しい首相は有権者に期待されるはずです。支持率が急落している菅首相がいなくなったということで、自民党の“自浄作用”が評価されるかもしれません。総選挙を考えれば、岸田さんの方がいいと思います」とまで述べているのですね。

そこへきて、先日の二階幹事長を含む党役員刷新の話です。実際に二階幹事長が交代となれば、党内の不満はある程度解消するとは思いますけれども、菅内閣の支持率がどこまで戻るのかはまだ分かりません。

その意味では、より民意に近い全国の党員・党友による投票で配分が決まる「党員票」がどの候補を支持するのかが大きく意味を持つことになります。

26日、二階派の在京議員懇談会が行われたのですけれども、会長の二階幹事長が欠席の中、二階氏が派としての首相支持を独断で決めたことへの批判や、「丁寧な手続きを踏むべきだ」などと怒号が飛び交ったそうです。

事実、選挙基盤が弱い若手議員らは、今の内閣支持率では、菅総理に「衆院選の顔」は務まらないと反発。26日には、当選3回を中心とした衆院議員15人が集まり、国民に求められる党や総裁のあり方を取りまとめ、党内で議論していくことを確認しています。

そうしたことから、最大派閥の細田派、第2派閥の麻生派、竹下派は、いずれも会長が菅総理支持の姿勢を示しているものの、派としての態度は決まっていません。

ある派閥幹部は「皆、生き死にが懸かっており、簡単には決められない」、「自主投票になる可能性もある」と述べ、別の派閥幹部も「首相支持で派内を固めても党員投票の結果次第では勝ち馬に乗ろうと造反する議員が出かねない」と零しています。

ただ、逆にいえば、ある候補者が、党員投票で圧倒的な支持を集めることが出来れば、勝ち馬に乗ろうと国会議員票が雪崩をうって、一気に大逆転の目が出てくるともいえます。

その意味では、各候補者は総裁選を通じて、自身の政策をきちんと説明してどこまで党員の支持を集めることが出来るかがポイントになってきます。

安倍前総理は、周囲に「党が壊れるかもしれない」と漏らしたそうですけれども、派閥が固めた候補に入れず大量造反するという波乱が起きるのかどうか。

ただ、これも、菅総理が総選挙前に党人事刷新を行って、内閣支持率が大幅に回復したりすれば、急遽解散を打って、総裁選そのものを先送りする可能性もないとはいえません。

刻々と変わる状況。一寸先は闇。目が離せません。


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