

1.中国でデルタ株感染拡大
8月2日、中国は武漢ウイルスの流行がここ数か月で最大規模となっていることを受け、数百万人を対象に外出制限を課しました。感染封じ込め策として、大規模検査や移動制限も実施されています。
中国の20以上の都市と10以上の省で、「デルタ株」の感染が急拡大しており、北京など主要都市は現在、住民数百万人に検査を実施している他、複数の居住区を封鎖し、濃厚接触者を隔離しています。
公式発表によると、湖南市、省株洲市では2日から3週間の厳格なロックダウンが導入され、住民120万人以上が自宅待機を命じられました。
また、株洲近くの観光地である張家界では先月、劇場で集団感染が発生し、観客を通じて全国各地にウイルスが拡散したと見られています。
保健当局によると、2日には人気の観光地、海南や、先日洪水に見舞われた河南でも感染が確認されたとのことです。
当局は、南京や張家界から移動した人の追跡を急いでおり、旅行者には感染が確認された地域を訪れないよう要請しています。
更に、ロックダウンは北京の昌平区でも行われ、先週、4万1000人に外出制限令が出されています。
2.中国人民の国外渡航制限
中国当局は、国内のロックダウンだけでなく、水際でのブロックも進めています。
7月30日、中国政府の国家移民管理局は、「パスポート発行の審査を厳格にし、不要不急の出国事由については発行しない」と国民の国外渡航の制限を強化する方針を発表しました。中国政府はすでに旅券発行を大幅に制限していて、今年上半期の発行数は33万5000件で、コロナ流行前の2019年同期の2%水準です。
一方、「留学や就業、商務などの理由がある場合は審査を経て発行する」としています。
これについて、ネット上では「パスポートが失効してアメリカにいる家族と会えない」など不満の声が上がっています。
更に、会見では、東南アジアなどからの不法入国を厳格に取り締まる方針も示され、今年上半期には、不法入国などを含む「国境管理刑事事件」で前年同期比で2.7倍の約2万1000人を拘束したそうです。
武漢ウイルス変異株が原因とはいえ、中国政府が、アメリカが進めている対中デカップリングを散々批判しておきながら、パスポート発行しないで自ら人的デカップリングを進めるとは皮肉なものです。
3.広州国際健康ステーション
更に中国政府は、変異株が外国から入ってくるのを阻止しようと躍起になっています。
当局は、広東省の国際空港近くで巨大な隔離施設「広州国際健康ステーション」の建設に着手しました。
建設場所は、中国南部の中核空港である広州白雲国際空港から西へ約20キロメートル、車で30分ほどの農村地帯で、敷地面積は25万平方メートル、隔離用のホテル式客室5000室、スタッフ2000人の宿舎、医療棟などからなります。
今年6月下旬に着工し、昼夜工事が進められ、早ければ9月中にも一部が稼働の見込みと伝えられています。
ただ、入国者をホテルで隔離する場合、換気設備の不備により客室間で空気が流れ込む例が報告されていました。また隔離が長期化するにつれ、人員の手配や食事の提供、医療機関との連携などの非効率が課題となってきたことから、最新設備を備えた専門施設の建設を決めたとのことで、広州市のほか、香港に隣接した深圳市にも同様の施設を建設する計画があるようです。
けれども、先日の洪水被害地で、排水溝が排水できない見せかけだったと一部で噂になったりしていますけれども、パチ物、手抜きが横行するかの国で、折角導入した最新設備がどこまで機能するのか一抹の不安があります。
それに、こんな状態で、来年2月の北京五輪が満足にできるのかという問題もあります。
今回の中国政府が取った事実上の「鎖国」ですけれども、北京五輪まであと半年ちょっとしかありません。
それまでに封じ込めが出来ないと冗談抜きで開催地変更もあり得るかもしれません。この現状に中国当局は相当焦っているのかもしれませんね。
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