

1.五輪は人流の抑制に一役買っている
7月6日、東京都の小池都知事は定例記者会見で、武漢ウイルス感染拡大抑制について「非常に厳しい状況」と述べた上で、7日からの3連休やお盆休みに向けて「この間も、感染防止対策に協力をいただきたい。結局、それって身を守ることであり、人ごとではなくて自分ごと。何度も、繰り返しております」と呼び掛けました。
その一方、「五輪は人流の抑制に一役買っている」と述べ、テレビ局の記者に向けて「ステイホーム比率と視聴率の関係とか、むしろ研究し、教えていただきたい」と求め、人出の増加についても「どういう形でどういう世代の人がというのを確認していきたい。ミクロとマクロで見ていく必要がある」と詳しく分析したいとしました。
また、ウイルス対策では、デルタ株の感染力の高さを強調し、「法律上、『お願い』という形になります」と言及しながら、都民への対策の要請内容を列挙。発熱やせき、下痢などがある人に向けて「公共交通機関の利用をしない。利用を避けていただくことが必要」と呼び掛けたり、スーパーや百貨店に入店する人数の制限、職場でのテレワークの徹底などを求めたりしています。
では、実際の人流はどうなったかというと、都が前日5日に開いた武漢ウイルスのモニタリング会議では、直近7日間平均の夜間滞留人口が前週比3.6%減と微減となり、週の後半には増加に転じたことが説明されたそうです。
これについて、都医学総合研究所社会健康医学研究センターの西田淳志センター長は「前回の緊急事態宣言時並みにまで人流を減らせていない。デルタ株の強い感染力を考えると、ステイホーム率を徹底して高めなければ」とコメントしていますけれども、緊急事態宣言に慣れてしまって効果がないと言われている現状ならば、先週比マイナス3.6%減というのも、まぁ、そんなものではないかと思ってしまいます。
2.強い警戒感を持って帰省に臨む
緊急事態宣言発出で政府や当該都府県の首長は、不要不急の外出や帰省は控えるようにと訴えていますけれども、こちらはどうなるかはまだ分かりません。
あまりにも国民に我慢を「お願い」するばかりに見えるからです。
ネットでは、帰省はやめてという政府の呼びかけに対するコピペが秀逸だとして次のような"返し"が拡散しています。
国民1「中止の考えはない。強い警戒感を持って帰省に臨む」一目で、五輪を中止しろと批判されたときに政府が答えた文句を、帰省に使ったものだと分かります。そこには東京五輪は開催して、帰省は中止しろというのはダブルスタンダードではないのかという批判が込められているようにも思います。
国民2「バブル方式で帰省する。感染拡大の恐れはないと認識している」
国民3「帰省を中止することは一番簡単なこと、楽なことだ。帰省に挑戦するのが国民の役割だ」
国民4「安心安全な帰省に向けて全力で取り組む」
国民5「コロナに打ち勝った証として帰省する」
国民6「(帰省は)今更やめられないという結論になった」
国民7「『帰省するな』ではなく、『どうやったら帰省できるか』を皆さんで考えて、どうにかできるようにしてほしいと思います」
国民8「もしこの状況で帰省がなくなってしまったら、大げさに言ったら死ぬかもしれない。それくらい喪失感が大きい。それだけ命かけて帰省する為に僕だけじゃなく帰省を目指す国民はやってきている」
国民9「家族に感動を与えたい。帰省はコロナ禍収束の希望の光」
国民10「我々は帰省の力を信じて今までやってきた。別の地平から見てきた言葉をそのまま言ってもなかなか通じづらいのではないか」
国民11「(帰省中止要請は)自主的な研究の成果の発表ということだと思う。そういう形で受け止めさせていただく」
国民12「言葉が過ぎる。帰省中止を決める立場にない」
国民13「帰省が感染拡大につながったエビデンスはない。中止の選択肢はない」
国民14「(帰省について)政府は反発するだろうが、時間が経てば忘れるだろう」
国民15「帰省することで、緊急事態宣言下でも帰省できるということを世界に示したい」
国民16「帰省について限定的、統一的な定義は困難」
国民17「実家を訪問するという認識。帰省するという認識ではない」
国民18「帰省に反対するのは反日的な人たち」
国民19「帰省しないのはより悲しいこと。COVID-19に負けたということは世界に知らしめたくない」
国民20「菅首相が中止を求めても、帰省は実現される」
国民21「実際帰省したら、帰省に反対していた国民もやっぱり帰省して良かったと言い出すに違いない。」
国民22「予見できないアルマゲドンでもない限り帰省できる」
国民23「菅義偉首相や東京都の小池百合子知事を含め、オールジャパンで対応すれば何とか帰省できると思う」
国民24「安全、安心な帰省を実現することにより、希望と勇気を政府の皆さまに届けられると考えている」
国民25「(帰省の意義について)コロナ禍で分断された家族の間に絆を取り戻す大きな意義がある」
3.もはや感染を防ぐことはできなくなった
7月30日、アメリカ疾病対策センター(CDC)は、武漢ウイルスの変異株「デルタ株」に感染した場合、ワクチン接種者の体内でも未接種者とほぼ同量のウイルスを生み出すことを示す研究結果を公表しました。
研究では、マサチューセッツ州バーンスタブル郡で7月3~17日に発生したクラスター感染のうち、73.8%(469人中346人)がワクチン接種完了者だったと報告。また、感染者のうち133人のゲノム配列を検証したところ、9割がデルタ株に感染していたと報告されています。
これを受けて、CDCのロシェル・ワレンスキー所長は「ウイルス量が多いことは感染リスクが高いことを示しており、ほかの変異株と異なり、ワクチン接種完了者であってもデルタ株に感染した場合にはウイルスを伝染させることが懸念される」との声明を出し、今回の発見に基づいて、ワクチン接種完了者が知らないうちにウイルスを他者に拡散させることのないよう、7月27日にマスク着用推奨のガイドラインを変更したとしています。
また、CDCは週報の中でも、ワクチン接種が重症化と死亡を防ぐ最重要の戦略とした上で、感染率が高くない地区でもワクチン接種の有無にかかわらず、屋内でのマスク徹底などの感染予防策の拡大を検討すべきとしています。
ワレンスキー所長は「我々のワクチンは素晴らしくうまくいっている」と強調した上で、デルタ株に対するワクチン効果については「引き続きデルタによく効いている。重症化や死亡に関しては防止できる。だが、もはや感染を防ぐことはできなくなった……もしも家にワクチンを接種していない人や、接種できない人、免疫抑制状態にある人、やや弱っている人、危険が高い併存疾患を持つ人がいる場合、屋内の公共の場でマスクを着用してほしい」と呼びかけ、フロリダやルイジアナなど南部の州では症例数が飛躍的に増えているが、まだピークには達していないとの見方を示しています。
4.人間が自然淘汰される
ワクチンを打っても、重症化こそしないももの、感染そのものを防ぐことは出来ず、更にウイルス放出量はワクチンを打っていない人と変わらないということは、状況的には、ワクチンなんかなくても元々重症化しにくいものの、周りは感染させてしまう、いわゆる若年層と同じになったことを意味します。
日本ではまず高齢者を中心に積極的にワクチン接種を進めた結果、重症化させないという意味では目覚ましい成果を上げていますけれども、これはつまるところ、武漢ウイルスに対して、高齢者を若年層に変えたということです。
これはこれで非常に意味あることだと思います。
けれども、全年代を対武漢ウイルス若年化に成功したとはいえ、感染はするし感染もさせる。となると、感染が収束するためには、極端な話、全国民が感染するまで感染拡大は終わらないことになります。
これではまるで、感染を収束させるというより、人間の方が自然淘汰され、どれだけ生き残れるのかといった感じです。
こんな言い方は不謹慎かもしれませんけれども、逆にいえばそこまで腹を括ってしまえば、日本人的な対応方法も見えてくるような気もしてきます。
諸行無常。
この世は常ならず。
この世への執着を捨て、人事を尽くして天命を待つ。
そこまで開き直ることが出来れば、少なくとも、世間に"おちつき"は戻ってくるような気がします。
そういう観点から今の日本をみれば、執着にまみれ、人事も尽くしてはいないのではないか。
ワクチンが打てるの打てないの、病床が逼迫するのしないの、若者が出歩くだの、路上飲みが悪いだの、執着だらけ。
対策にしても、ワクチンと人流抑制のお願いばかりで、他にやっていること、やれることがあるのか全然見えてこない。これで人事を尽くしていると言えるのか。
ならば、もう個々人が執着を捨て、自身が今与えられた立場で出来る限りのことをやって、そこから先は天にお任せする。
そして、いつ天命が来ても良いように準備をしておく。
そこまでやって初めて、この武漢ウイルスに対する突破口が見えてくるのではないかという気がしますね。
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