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1.米軍アフガンから撤退
9月1日、アメリカのバイデン大統領は、国民に向けて演説し、アフガニスタンからのアメリカ軍の撤退について撤退は「正しい決断だった」と述べました。
バイデン大統領「"永遠の戦争"をこれ以上続けたくなかった。出口を引き延ばしたくなかった……戦争はもはや、国民の利益になってはいなかった」と述べ、8月31日の撤退期限についても、トランプ政権の撤退判断の流れの上での判断だったことを改めて強調し、「アメリカ人の命を救うために設定した期限だ」と強調しました。
そして、アメリカ人らの退避作戦を「類いまれな成功だった」とし、もっと早く退避ができたのではないかとの指摘について、「6月7月の、戦闘の最中の避難は非常に困難で危険だった」と反論。
アフガン人への人道支援や女性の権利確保のための働きかけを続けると強調しました。
バイデン大統領は退避について「類いまれな成功だった」と述べていますけれども、実際のところはどうなのか。
8月30日、アメリカ中央軍のマッケンジー司令官はオンラインで記者会見し、アフガニスタンの首都カブールの国際空港で展開していた退避作戦が完了したと表明しました。
マッケンジー司令官は「今夜のアメリカ軍撤退は、退避作戦の終了とともに、01年9月11日直後にアフガニスタンで始まった20年近くに及ぶ我々の任務の完了を意味する」と指摘。アメリカ軍によるアフガニスタン戦争を振り返り、「決して簡単な任務ではなかった」と強調。2461人のアメリカ兵や市民が死亡し、2万人が負傷したと語りました。
そして、カブール空港で展開した退避作戦の結果について、アフガニスタン政権崩壊前日の14日以降、アメリカ軍は7万9千人を国外に搬送。その内訳は、6000人がアメリカ市民、73000人がアフガニスタン人や外国人で、同盟国による搬送を合わせると、123000人超を搬送したとのことです。
ただ、ブリンケン国務長官によると、アフガニスタン国内には、200人未満の出国を希望するアメリカ市民が残されていることを明らかにしています。
アメリカメディアは「取り残されたアメリカ人は事実上タリバンの人質になる」と指摘し、野党共和党議員からは「バイデン氏は辞任すべきだ」、「アメリカ軍最高司令官として不適格だ」と批判が噴出。与党民主党からも対応を疑問視する声が出ています。
実際、NBC放送が8月14日から17日に世論調査を行っているのですけれども、バイデン大統領の支持率は49%と、初めて50%台を割り込みました。
そして、ロイター通信と世論調査機関"イプソス"による8月16日の調査でも、これまでの最低値である46%を記録。更に、ギャラップの調査でも、8月には49%まで支持率が落ち込んだことが明らかになっています。
もっとも、各種世論調査では「アフガン撤退」自体に対しては約3分の2(66%)が支持しているところを見ると、バイデン大統領に対する支持率の低さはやはり、「撤退の過程で起こった混乱の責任はバイデン大統領にある」と見られているということだと思われます。
これでは、トランプ大統領のせいだと言い訳できないでしょうね。
2.ケリー訪中の裏
9月1日、アメリカのジョン・ケリー大統領特使が中国・天津を訪れました。
ケリー特使は、中国の気候変動対策を率いる解振華氏との協議を行う予定で、ウォールストリート・ジャーナルによると、ケリー特使は国外の石炭火力発電所建設に対する公的資金支援の停止を公約するよう中国側に要請するとみられると報じられています。
ケリー特使は4月にも上海で解振華氏と会談し、地球温暖化対策で協力していくなどとした共同声明を出しているのですけれども、張陽チャンネルの張陽氏は水面下では既に中国は火力発電所建設を停止すると約束しているのに加え、オンラインでもできるような内容であるにも関わらず、わざわざ今の時期に訪中するのはおかしいと指摘しています。
そして、張陽は推測であると前置きした上で、今回のケリー氏の訪中は「台湾海峡および南シナ海での緊張緩和」と「アフガン問題で中国の協力を得るよう交渉する」目的があるのではないかと述べています。
張陽氏は特に2番目の目的がメインであるとし、タリバンの人質になりかねないと危惧されるアフガンに取り残されたアメリカ人を救うために中国と裏で取引するのではないかと述べています。
例えば、アフガンに取り残されたアメリカ人を中国に移送してから解放して見せる。そうすることで、中国は自身のイメージ回復を図り、バイデン政権は人質解放という成果を手に入れる。
そのためにバイデン政権はなんでも譲歩するのではないかというのですね。
確かに武漢ウイルスの起源調査は、よくわからないという報告を出しましたし、8月25日には、国内半導体企業にファーウェイ向け車載半導体の輸出許可を出していますけれども、その交渉のために先にカードを切ってみせたと考えると辻褄があうような気がします。
もし、この通りだとすると、中国は強気に交換条件を出してくるものと予想されます。
たとえば、カナダで拘束されているファーウェCFOの孟晩舟被告を解放しろ、とか経済制裁を緩和しろとか、果ては台湾進攻しても介入するな、とかまであるかもしれません。
8月27日のエントリー「世界を揺るがすバイデンの失態」で、筆者は、中国が"人質"を政治的に使ってくるのではないかと述べたことがありますけれども、もう既にそれが始まっているかもしれないということです。
もし、張陽氏の推測が正しいとすれば、トランプ時代から続いたアメリカの対中政策は崩壊する可能性があります。のみならず、国益のためには同盟国すら見捨てかねないなどとアメリカの信頼性を大きく傷つけることとなります。
一つの失敗が、とんでもない事態に繋がる可能性が出てきました。
やはりバイデン氏の失態は、世界にとんでもない被害を与えることなるのかもしれません。
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