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1.第101代総理大臣
11月10日、第206回特別国会が召集され、衆参両議院で首班指名選挙が行われ、岸田総理が共に過半数の票を得て第101代の総理大臣に選出されました。
岸田総理大臣は直ちに閣僚人事に着手し、第二次岸田内閣を発足させました。内閣は、自民党幹事長に茂木・元外務大臣を起用したことから、外相に林芳正元文部科学相を起用しましたけれども、ほかの閣僚は、内閣を発足させて1か月あまりしかたっていないことを踏まえ再任となりました。
岸田総理はこの日の夜に記者会見を行い、冒頭で「先の総選挙では岸田政権にわが国のかじ取りを引き続き担うようにとの民意が示された。国民の信頼と共感を得ながら丁寧で寛容な政治を進めていく以外に国民からの信任を保つ道はない」と述べた上で、直ちに取り組む政策として、武漢ウイルスへの対応や経済対策、「新しい資本主義」の実現を挙げました。
具体的には、来月にも召集する臨時国会で、武漢ウイルス対策と経済対策を含んだ今年度の補正予算案を成立させる方針としています。
2.二つの最優先政策
岸田総理が最優先と位置付けた武漢ウイルス対策と経済対策についてですけれども、武漢ウイルス対策については12日に「第6波」に備える対策の全体像を公表。無料でPCR検査を受けられる環境を整え、経口治療薬の年内の実用化をめざす模様です。
経済対策については、18歳以下の子どもを対象にした給付を表明。非正規雇用など経済的な困窮世帯や武漢ウイルス禍で苦しむ学生には10万円を支給する方針を示しました。また、事業者には持続化給付金並みの支援を11月から22年3月までの5カ月分まとめて給付するとのことです。
更に、賃上げした企業への優遇税制の拡充を打ち出し、「労使の代表と向き合い賃上げを促す」とも述べました。
21年度補正予算案はでの一般会計の追加歳出は30兆円を超える見通しで、年内に22年度予算案も編成するとしています。
3.聞く力と見通す力
岸田総理は会見で「国民の信頼と共感を得ながら丁寧で寛容な政治を進めていく」ことが国民の信任を保つ道だと述べていますけれども、イトモス研究所所長の小倉健一氏は、岸田総理が演説などで使ってきた言葉は"借り物"だらけであると述べています。
たとえば、岸田総理のいう「信頼と共感」は、昨年の党総裁選で争った石破茂元幹事長が掲げていた「納得と共感」としていると指摘しています。
更に、「デジタルインフラの整備を進め、信頼性ある自由なデータ流通、を実現するため国際的なルールづくりに積極的な役割を果たしていく」というのも安倍元総理が2019年のG20大阪サミットのデジタル経済に関する首脳イベントで、「DFFT、すなわち信頼たるルールの下でデータの自由な流通を促進しなければならない」と演説したのと同じだというのですね。
また、小倉氏は、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る公文書改竄問題に対する岸田総理の説明が揺れたことや、総裁選で掲げていた「金融所得課税の強化」は総理就任後になって当面見直さない考えを示すなどの「ブレ」があることも挙げています。
岸田総理は、10月8日の所信表明演説で「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」という諺を二度言及し、信頼と共感の政治を丁寧に進めていくことをアピールしています。
確かに、時間をかけてみんなの合意を取ってから進めるやり方は、途中で躓くことも少ないと思います。けれども、それ以上に大事なのは、どこに向かっていくのか、というゴールです。
いくら遠くまでいけるといっても、ゴールが定まらなければただの"迷走"ですし、たとえ、まっすぐ進めたとしても、その先が崖下であれば取返しがつかなくなることだってあります。
また、みんなの合意を取るというやり方は、良い面もある反面、責任の所在が曖昧になる危険も孕んでいます。仮に、なにかの政策で大失敗したとしても、「みんなの意見を聞いて、みんなで決めたことだから、仕方ないよね」という具合に責任逃れの口実にならないとも限らないということです。
もちろん、岸田総理がそうだというわけではありませんけれども、この政策をすることでどういう社会が実現するのか、新しい資本主義とは何なのか、といった「結果に対するビジョン」が今一つ浮かんできません。
国民の信頼と共感を得るためには、政策をつくるまでプロセスのみならず、実行した後の見通しまでも示す必要があるのではないかと思います。
プロセスは丁寧にやります。でも結果については知らないでは、国民は困ってしまいます。
確かに、「聞く力」それ自体はひとつの特質であり大事なものであると思いますけれども、とりわけ政治においては、それと同じくらい「結果を見通す力」も大事だと思います。
「聞く力」は「結果を見通す力」とセットになっていないといけない。岸田総理には、頭の中にある「結果してこうなる」というイメージをもっと発信していただきたいと思いますね。
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