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1.適任者がいない
11月19日告示の立憲民主党の代表選ですけれども、
11月16日、立憲民主党の泉健太政調会長は代表選について、「誰かがこの党を引っ張らなければいけない。立候補を決意した」と述べ、出馬する意向を表明しました。
その他には、小川淳也・元総務政務官、西村智奈美・元厚生労働副大臣、大串博志役員室長が出馬を検討していると報じられていますけれども、正直、枝野氏と比べると大分知名度は落ちます。
立憲民主を創設した枝野氏は、民主党政権で官房長官などを歴任し、「枝野1強」と呼ばれるトップダウン型の党運営で存在感を示してきました。それに比べ、泉政調会長を含めた4氏は、いずれも要職経験に乏しいことは事実です。
党重鎮は「来年夏の参院選を勝利に導く強い代表を選ばなければならないが、適任者がいない」と人材不足を懸念し、別の若手からも、代表選の出馬に必要な推薦人の20人が「間尺に合わない」との指摘もあるようです。
これについて、選挙コンサルタントで政治アナリストの大濱崎卓真氏は「立憲民主の代表選出馬要件は国会議員の推薦人20人ですが、この要件は自民党総裁選と同じです。党所属国会議員の数は約2.5倍も異なるにもかかわらず同じ要件では、出馬調整だけで代表選の構図だけでなく得票まで見えてしまいます。広く関心を集めることは難しいでしょう」と指摘しています。
立憲民主所属議員は、衆院97人、参院43人の計140人ですけれども、もし出馬表明した泉政調会長含め4氏がそれぞれ20人をかき集めて立候補したとしても、それだけで80人になります。となると、代表戦本選は、残り60名の議員票と党員サポーター票を奪い合う訳で、確かに出馬に漕ぎつけた時点で、大体の結論が見えてくることは否定できません。
2.告示に向けて動き出す党内グループ
それでも、19日の告示に向けて党内の各グループは動き始めています。
11月12日、最大勢力27人を擁する旧社会党系の「サンクチュアリ」は、国会内で会合を開き、結束して行動することを改めて確認。近藤昭一会長は記者団に「リベラルな政治を具現化していく候補者を応援していきたい」と、共産との連携を含む枝野路線を継承すべきだとの認識を示しました。
サンクチュアリでは小川淳也元総務政務官が出馬に意欲を見せており、記者団に「安定感や刷新感といった、魅力がトータルに有権者に伝わるように努力したい」と語っていますけれども、小川氏本人は平成29う年の旧立民結党時のメンバーではなく、生え抜きを擁立すべきだとの意見もあるようです。
そして、旧国民民主党出身の泉政調会長を20人の議員が支える「新政権研究会」は、11日に会合を開き、泉氏の出馬を求める声が出ていたそうで、泉政調会長はその声に応えた形です。
また、江田憲司代表代行が率いる所属議員20名の「ブリッジの会」は同じく11日に会合を開き、若手議員から「旧民主党のイメージを脱却できる代表を選ぶべきだ」と訴える声もあったようです。
更に、菅直人元首相が率いる16名の「国のかたち研究会」は12日に国会内で対応を協議。多様性を訴えてきた立民には女性候補の待望論があり、衆院当選6回の西村智奈美元厚生労働副大臣を推す声が出ています。
どの候補も所属グループの後押しだけでは出馬できるかできないかギリギリの状況です。もっとも、立民のグループは、自民党の派閥と異なり、複数のグループに所属することもあって統制が緩いそうで、情勢は流動的と見られています。
3.悪夢の民主党政権
出馬に意欲を見せている小川淳也元総務政務官は、安定感や刷新感が大事だと訴えていますけれども、メディアは相変わらず「昔の名前」を挙げています。
11月3日、毎日新聞は代表選に《意欲を示す》《推す声が出ている》《有資格者》などとして、泉健太政調会長、小川淳也・元総務政務官、玄葉光一郎・元外相、長妻昭・元厚労相、馬淵澄夫・元国交相、逢坂誠二・元首相補佐官、岡田克也・元民主党代表を挙げています。
同じく3日、日刊スポーツは、立候補が取り沙汰されている議員として、泉、小川、馬淵、玄葉、岡田、蓮舫の各氏を挙げ、産経新聞は11月5日に泉、小川、馬淵、玄葉、長妻、大串氏を候補として取り上げました。
これら候補者を見て思うのは、やはり民主党じゃないか、です。
この面子をみればどうしたって、「悪夢の民主党政権」を思い出さざるを得ません。
勿論、立民自身もそれを分かっているのでしょう。それゆえに刷新などという言葉が出てくるわけです。刷新というのであれば、それこそ「民主党の影」を匂わす重鎮議員を悉く閑職に押しやり、国会で質問にも立たせないくらいでないと難しいのではないかと思わなくもありませんけれども、まぁ立憲民主自体が、小池百合子都知事の排除発言から生まれた政党ですからね。たちまち自己矛盾に陥ってしまいます。
手があるとすれば、民主党の影を引きずる重鎮議員は自ら引いて黒子に徹し、中堅・若手議員のサポートに回るくらいしかないように思います。
けれども、仮にそうしたとして、次に問題になるのは、矢面に立つことになる中堅・若手議員です。
4.関心の外にある立憲民主党
10月13日、BSフジLIVE「プライムニュース」に出演した泉健太政調会長は同じく出演した自民党の高市早苗政調会長とコロナ対策、経済政策、安全保障めぐり議論を交わしましたけれども、筆者は、高市政調会長の無双っぷりが発揮されたという印象を受けました。ツイッターなどを見ていると、他にも同じような印象を受けた方も少なからずいるようです。
つまり、立憲民主の中堅、若手議員の方が国会質問の前面に立つようになると、同じようなことにならないとも限らないということです。
立憲には「クイズ小西」とネットで揶揄される、国会質問でくだらないクイズばかり出す方もいらっしゃいますけれども、あんなことをしていれば、それこそ「いつもの立憲民主」かと思われ、いくら中堅・若手にへと刷新したとしても、その効果は直ぐに失せてしまうでしょう。
冒頭取り上げた、政治アナリストの大濱崎卓真氏は、「先日の自民党総裁選は、4名の候補者が独自のカラーを出し派閥横断的な動きがあったことから国民の関心を招き、衆院選までのメディアジャックを含め党勢への良い影響もありました。立憲民主党も、この代表選を党勢拡大の機会にするためには、実に幅広いウイングによる党内議論の活性化を実現する必要があります」と立民の代表戦についての課題を指摘していますけれども、その通りだと思います。
立憲民主党の関係者は「Twitterを見ると、立候補者が共産党との共闘を今後どうするか注目したいとする投稿は散見されます。しかし、全体的には盛り上がっていません。おそらく政治に高い関心を持っている人しかツイートしてないのでしょう」と述べているそうです。
既に一般の人からの関心の外にある立憲民主党。その前途は多難だと言わざるを得ないと思いますね。
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