防衛力強化加速会議と宇宙作戦隊

今日はこの話題です。
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1.防衛力強化加速会議


11月12日、防衛省は、国家安全保障戦略や防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の戦略三文書の改定に向け「防衛力強化加速会議」を設置し、初会合を開催しました。

これについて岸信夫防衛相は記者会見で次のように述べています。
岸田総理からは、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防の改定に取り組み、その際、いわゆる「敵基地攻撃能力」の保有も含め、あらゆる選択肢を検討すること。わが国の領土、領海、領空、そして、国民の生命と財産を断固として守り抜くため、防衛力の強化に取り組むこと。日米ガイドラインの下、自衛隊の役割を強化し、抑止力を高めること。インド太平洋地域の安定化に寄与すること。沖縄をはじめとする地元の負担軽減を実現することなどの御指示を頂きました。

【中略】

このため、本日、私を議長とする「防衛力強化加速会議」を立ち上げ、第1回の会議を開催いたします。安全保障の現実を直視し、わが国の防衛を全うするため真に必要なものは何なのか、いわゆる「敵基地攻撃能力」の保有も含め、あらゆる選択肢について私の下で議論してまいります。さらに、令和3年度から防衛力を強化できるように、現在議論されている経済対策においても、令和4年度予算とともに、いわばパッケージとして、現下の安全保障環境に対応するために必要な事業をしっかりと確保すべく、防衛省として努力してまいります。
このように、岸田総理の指示で設置されたこの防衛力強化加速会議は、岸防衛相をトップに防衛省局長級幹部や各自衛隊の幕僚長らで構成され、あらゆる選択肢を検討するとしています。


2.第2宇宙作戦隊


11月14日、岸防衛相は山口県防府市の航空自衛隊防府北基地を視察しました。

岸防衛相は、基地での訓示で「われわれの活動のフィールドが宇宙、サイバー、電磁波といった新領域に拡大する中、宇宙空間の安定的な利用の確保が極めて重要だ」と述べ、「第2宇宙作戦隊」を2022年度中に、この防府北基地に新設する方針を表明しました。

「宇宙作戦隊」とは日本の人工衛星を守るため、不審な人工衛星や宇宙ごみを監視する体制の整備を目的とした組織で、2020年5月18日、府中基地に大臣直轄の約20人の部隊として発足しました。

宇宙作戦隊は将来、100人規模にする方針だそうで、今年度は、部隊の指揮や訓練を行う「宇宙作戦指揮所運用隊」と「宇宙作戦隊」からなる「宇宙作戦群」を府中基地に新編するとのことです。

そして来年度には府中基地の作戦隊を「第1宇宙作戦隊」に改編し、防府北基地に新設される第2宇宙作戦隊を含む「宇宙作戦群」を拡充する方針を立てています。

視察後、岸防衛相は、記者団に対し「宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域と陸海空という従来の領域の組み合わせが死活的に重要だ。わが国の防衛を全うするため、積極的に宇宙領域における能力強化に取り組んでいく」と述べていますけれども、宇宙や電磁波の分野は、安全保障の「新領域」と呼ばれ、中国やロシアが急速にその能力を向上させていると言われています。

当然ながら、日本もそれに応じた強化が必要になることは言うまでもありません。

既に、山口県の山陽小野田市では2023年度の運用開始を目指し、宇宙監視用レーダーを建設中で、宇宙作戦隊が活用する見通しです。

更に、防衛省は、22年度予算の概算要求で宇宙関連経費として840億円を計上しています。

防衛すべき領域が宇宙にまで広がっている今、防衛費1%枠など足枷にしかなりません。

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3.日米捜索救助訓練


11月11日、岸田総理はアメリカ・インド太平洋軍のアキリーノ司令官と首相官邸で会談しました。両氏は中国による一方的な現状変更の試みに対する「深刻な懸念」を共有し、核・ミサイル開発を進める北朝鮮についても意見交換。日米同盟の抑止力・対処力強化に向け、連携する方針も確認しています。

またこの日、アキリーノ司令官は、林芳正外相、岸信夫防衛相とも会談し、中国の一方的な現状変更の試みに対する「深刻な懸念」を共有したと伝えられています。

そしてこの日、空自は、沖縄県の宮古島、石垣島北方で、アメリカ空軍の特殊作戦機2機と捜索救助訓練を9日に実施したことを発表しています。

訓練について、空自トップの井筒俊司航空幕僚長は「空自の戦術技量と日米の共同対処能力の向上が目的だ」と語っていますけれども、岸田総理のアキリーノ司令官の会談の日に合わせての発表ですから、政府と軍が一体となって対応するというメッセージにもなります。

空自によると、アメリカ軍の特殊作戦機は「CV22オスプレイ」と、輸送機「MC130J」。空自からは、那覇基地を拠点とする航空救難団の救難捜索機「U125A」と、救難ヘリコプター「UH60J」が参加しました。

今回の訓練について、軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「訓練は、中国軍の離島上陸や戦闘を想定したもので、『CV22オスプレイ』『MC130J』は特殊部隊を送り込む目的に使われる。敵のレーダー回避のため、谷間などでも小回りが利き、ジグザグ飛行も可能だ。どんな高度からも兵員を降下でき、機動力にたけている。空自の救難機は、状況偵察や米特殊部隊支援が目的と想定される。従来の海上自衛隊中心の訓練ではなく、離島周辺で航空訓練が実施されたことは、事態の緊迫を示しているのではないか」と指摘していますけれども、護衛艦を使った軍事演習などではなく、特殊作戦機による捜索救助訓練ですから、やはり、小規模の上陸作戦を想定しているものと思われます。

11月16日のエントリー「中国の毒蛙戦略」で、中国が南シナ海の東沙諸島などの台湾の離島を占領した場合が想定されていることを取り上げましたけれども、あるいは、台湾有事の際には、東沙諸島だけでなく、尖閣も同時に進攻することで、台湾介入の力を削ぐことも考えているのかもしれません。

日本の防衛力強化は宇宙・サイバー・電磁波という新たな領域を含め、危急の課題であることは間違いありません。


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