林外相の外交姿勢の問題点

今日はこの話題です。
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1.日韓関係をこのまま放置できない


林外相が地雷になる雰囲気を漂わせてきました。

11月25日、林外相は、就任後初めての報道各社とのインタビューで、日韓関係について「日韓関係は旧朝鮮半島出身労働者問題、また慰安婦問題などにより、非常に厳しい状況にあるわけですが、このまま放置することはできないと」と述べました。

そして、先般の日米韓の次官協議では、日韓の対立の末、共同記者会見が中止となった件については、協議の直前に韓国の警察トップが竹島を訪問した事が「到底受け入れられなかった」とし、韓国側に対して「健全な関係に戻すべく、適切な対応を求めたい」との考えを明らかにしました。

ただ、岸田総理との外交面での役割分担について、「まさに政府一体であり、総理とともに、しっかりとやっていきたい」と述べているところを見ると、完全にフリーハンドを持っている訳ではないようです。

それでも、この発言に党内から批判の声が上がりました。

佐藤正久外交部会長は「放置できないからと言って、日本側から擦り寄るとか、落とし所を見つける等の悪弊を繰り返してはいけない。将来に禍根を残す。
問題解決の責任は韓国側との基本認識が大事」と至極当然のツイートをしています。

日本の対韓世論は一昔からはもう全然変わっています。旧態依然の認識で譲歩しようものなら、国民からの大きな反発を招くことは避けられないでしょう。



2.日本は信義を重んじるべきだ


更に、林外相の対中訪問についても物議を醸しています。

党内から慎重論が噴出していることなどを受け、必死になって「何も決まってない」と言い訳しています。

冒頭で取り上げた報道各社とのインタビューでも、日中関係について「新型コロナの影響もあり国民交流が非常に低調になってきている……先日の日中首脳電話会談でも、日中国交正常化50周年の来年を契機に、経済・国民交流を後押ししていくことで一致している」と述べた上で、中国の王毅外相から中国訪問の要請を受けたことについて、「具体的な検討をおこなっているわけではなく、現時点では何も決まっていません」と言い繕っています。

日本の慎重論の高まりについて、中国も気にし始めたようで、25日、中国外務省の報道官は記者会見で「スポーツを政治問題化するもので、オリンピック精神に対する冒涜だ……中国は東京オリンピックの開催を全力で支持した。日本は信義を重んじるべきだ」と牽制しています。

やはり、これも林外相がテレビ番組で訪中要請を受けたことを口にしたのが原因です。

ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、林外相が訪中要請を受け「招請を受けたので、調整はしていく」、「ただ待っているのではなく、米中両方と話ができるのが日本の強みだ」などと発言したことを取り上げ、大臣自ら公表したとなれば、もはや訪中は確定したも同然とみていいと指摘。公表していなければ、訪中が実現しなくても、余計な波風は立たないが、公表した後になってからやめるとなったら、相手は「それなら、なぜ、わざわざ表沙汰にしたのか。オレの顔に泥を塗るつもりか」と怒るに決まっている、とその理由を述べています。確かにその通りです。


3.適切な判断が出来るかどうかが肝心


26日、林外相は定例記者会見を行っていますけれども、案の定、これら中韓に対する、一連の発言について質問が飛びました。

該当部分を抜粋すると次の通りです。
日韓関係(竹島上陸への対応)
【産経新聞 千葉記者】竹島の件なんですけれども、韓国の警察庁長官の上陸を受けて、自民党の外交部会などでチームを立ち上げて、国際司法裁判所への提訴ですとか、経済制裁など、対抗策を検討するということなんですけれども、ICJへの提訴も含めて、政府としては対抗策をどのように検討されておるかをお願いします。

【林外務大臣】一昨日に、自民党の「領土に関する特別委員会・外交部会・外交調査会」合同会議において、今お話あったようなご意見があったということは承知をしております。
 一つひとつについて、政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で、申し上げますと、今般の竹島上陸事案については、竹島が歴史的事実に照らしても、かつ、国際法上も明らかに日本の固有の領土であるということに鑑みますと、到底受入れられず、韓国政府に対して、強く抗議をしたところでございます。
 日本としては、竹島問題を含む様々な問題についての日本の一貫した立場に基づきまして、引き続き、韓国側に適切な対応を強く求めていくと、こうした考え方に変わりはないということでございます。

【中略】

北京冬季オリンピック/パラリンピック
【テレビ朝日 澤井記者】欧米を中心に検討されている北京五輪への外交的ボイコットの流れや、それを受けて自民党の保守層を中心に、大臣ご自身への中国訪問に関して慎重論が起きていることについて、昨日、中国の外務省の報道官が、「スポーツを政治問題化するもので、オリンピック精神に対する冒涜だ。また中国は東京五輪の開催を全力で支持してきたんだから、信義を重んじるべきだ」など述べていますけど、このことへの受け止めと、改めて日本の北京五輪への対応について教えてください。

【林外務大臣】ご指摘の中国外交部報道官の発言については承知をしておりますが、これらの発言の一つひとつにコメントすることは差し控えたいと思っております。北京冬季大会への日本政府の対応については、今後、適切な時期に、諸般の事情を総合的に勘案して判断をいたしますが、現時点では何ら決まっておりません。いずれにしても、日本としては、北京冬季大会がオリンピック及びパラリンピックの理念に則って、平和の祭典として開催されると、こういうことを期待をしております。
コメントを差し控えたい。適切な対応を求めていく。適切な時期に判断する。具体的なことには一切踏み込まず、当たり障りのない回答に終始しています。

けれども、何事にも締め切りというのはあるものです。適切な時期はやがてやってきます。肝心なのはその時に「適切な判断」が出来るかどうかです。


4.低重心とは受け身の外交


林外相は報道各社とのインタビューで、外交上のスローガンを問われ「普遍的価値を守り抜く、日本の平和と安定を守り抜く、国際社会を主導するという三つの覚悟を持って外交を展開する。先輩方が積み上げた成果を土台に、対応力の高い低重心の姿勢で進め、更なる日本外交のフロンティアを切り開いていきたい」と述べています。

林外相は「対応力の高い低重心の姿勢」などと恰好つけていっていますけれども、これは要するに「受け身の外交」だということです。様子見して勝ち馬に乗る。そこには主体性などなく、基本的に韓国の外交と変わりません。これでどうやって「国際社会を主導する」ことができるのか。

先に紹介した長谷川幸洋氏は、中国の狙いは日米同盟の分断であり、日本が仲介者と言った時点で、日米同盟は分断され、それこそが中国の思惑そのものだと指摘。そして「日本は米国の同盟国だ。日本が米中と等距離を置いて、仲介者になれるわけがない。そんな思惑をにじませたからには、米国は当然、警戒する。仲介者どころか、二股外交の先駆者である韓国のように、米国と中国の双方から信頼を失うだろう」として林外相は根本的に勘違いしていると批判しています。

これはその通りです。

この批判は長谷川氏だけではありません。24日、自民党の二階俊博元幹事長は東京都内での講演で「日本の一番大事なパートナーはアメリカだ」と述べ、来年に訪米し、その後には中国にも訪問したい意向を示しました。

二階氏は、岸田政権への評価について「今は出発したばかりだから、しっかり健闘を祈る」と述べる一方で「国民の声を聴いて、まっしぐらにそれに答えること。聞いたことを実行しなければ、聞いたことにならない」と釘を刺しています。

健闘を祈るとは、突き放したかのようであり、またこのままだと先は長くないと見越しているかのような発言にも聞こえてしまいますけれども、案外党内でも、そんな見方が広がっているのかもしれません。

もし、岸田総理が長期政権を目指しているのであれば、来年夏の参院選での勝利は絶対条件ですし、その前提として、これからの国会運営をきちんと行う必要があります。

そんなときに、またぞろ林外相が、問題発言をしようものなら、それらも覚束なくなります。

党内の反発に、地雷と化しつつある外相。岸田政権は早くも茨の道に迷いこんでいるのかもしれませんね。


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