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1.英豪加も外交ボイコット
イギリスとカナダも北京五輪「外交的ボイコット」 人権に懸念
北京冬季五輪への外交ボイコットが広がり始めています。
12月8日、オーストラリアのモリソン首相は、ウイグル自治区の人権侵害や他の多くの問題」を提起したにもかかわらず、中国側は取り合わなかったとし、「オーストラリア政府当局者が五輪のために中国に行かないのは驚きではない」と語り、北京冬季五輪に選手団以外の政府関係者を派遣しない方針を示しました。
また、イギリスのジョンソン首相も議会下院で、来年開かれる北京オリンピックに閣僚や政府関係者を派遣しないことを明らかにしたうえで「事実上の外交的ボイコットになるだろう」と述べ、人権問題について「イギリス政府は、中国に対しこうした問題を提起することにためらいはない。私自身、習近平国家主席と前回会談したときに提起した」と強調しました。
更に、同じく8日、カナダのトルドー首相も首都オタワで記者会見し「ここ数か月にわたって北京オリンピックとパラリンピックの問題について同盟国などと協議してきた。われわれは、中国政府による人権侵害が相次いでいることに強い懸念を抱いている」と、政府関係者を派遣しない考えを表明しました。
先に外交ボイコットを表明したアメリカに続いて、英豪加の3ヶ国も外交ボイコットを宣言しました。民主主義サミットを前に踏み絵を踏んで見せた形です。
2.気にかけているのは選手の参加だ
一方、米英豪加の外交ボイコットをうけることになったIOC(国際オリンピック委員会)ですけれども、8日、オンラインで理事会を開いています。
バッハ会長は外交ボイコットについて、「IOCとして常に気にかけているのは選手の参加だ。今回、外交的ボイコットを表明している国も選手は参加すると強調している。政治はそれ以外のことで、政治的中立の原則が適用される」と外交ボイコットは各国の政治判断であり、IOCにとって大事なのは選手の参加だと意にも介さない風な発言をしています。
なぜそこまで強気なのか。
この理事会では、夏の東京五輪についての報告があり、東京五輪は全世界で延べ30億人を超える人がテレビやインターネットを通じて視聴したなどとする調査結果や、選手からは大会の開催を高く評価されていることなどが紹介されました。
バッハ会長は理事会後の会見で「東京大会が安全に開催され大成功だったという評価で一致した。新型コロナの陽性率が極めて低く抑えられたことは対策が効果的だったことを物語っている」と述べました。
IOCが気にかけるのが選手であり、大会が安全に開催されることが大事なのだというのであれば、現在行方不明の女子テニスの彭帥選手のことも気にかけてしかるべきですし、武漢ウイルスの陽性率もオミクロン株の蔓延等々でどうなるか分かりません。
参加選手が行方不明になったり、選手村で武漢ウイルスのクラスターでも発生しようものなら、それこそ責任問題になります。
人権は、選手も一般人も等しくあるはずです。IOCが選手のことだけ気にして、その他の人などどうでもよいと考えているのならば、IOCの人権意識は非常に偏ったものであることになります
12月7日、ワシントン・ポスト紙は「ジェノサイド五輪」と命名する社説を掲載しました。
社説によると、「アメリカのボイコットは始まりにすぎない……同盟国は後に続くべきだ」と強調。派遣される選手団には「弾圧の犠牲者と連帯して非難の声をあげる必要がある」とし、メディアには「紙面や放送時間を費やし、凄惨な虐待の真実を伝えるべきだ」と強調。更にスポンサー企業には「習政権が人道に対する犯罪を封印することに手を貸すことに恥を知るべきだ」と厳しく指摘し、世界中の国や企業、市民が「大会を『ジェノサイド五輪』と呼ばねばならない」と呼びかけています。
「ジェノサイド五輪」は「平和の祭典」とは真逆です。こんな呼ばれ方をするだけで不名誉なことなのですけれども、その辺り、IOCは気にしないのでしょうか。
3.日和見は許されない
当然ながら米英豪加の外交ボイコットに中国は反発。
8日、中国外務省の汪文斌副報道局長は記者会見でオーストラリアのボイコットについて「強烈な不満と断固とした反対を表明する……オーストラリアは個別の国にただ追随している……冬季五輪は政治的パフォーマンスの舞台ではない」と批判。中国はオーストラリア政府当局者を招待していないと述べた上で「彼らが来ようが来まいが誰も気に留めない」と強がって見せました。
招待していないから気にも留めないのなら、反発する必要すらありません。面子を重んじる中国にしてみれば、顔に泥を塗られたと受け取っているのでしょう。
翌9日には、汪報道官は五輪は政治的なパフォーマンスの舞台ではないとし、「誤った行為の代償を払うことになるだろう」と凄んでみせました。
一方、ボイコットを検討していないと宣言した韓国については、「高く評価する。韓国は2018年平昌冬季五輪開催国であり2024年江原道冬季ユース五輪を開催する。中韓両国は相手国が開催する五輪を支持してきた……両国の友好協力関係と五輪ファミリーらしい風貌の表現」と持ち上げています。
実に分かり易い態度です。今はまだボイコットを宣言したのは米英豪加の4ヶ国に過ぎませんけれども、ここまで見栄を切ってしまったら、いざもっと多くの国がボイコットしたらどうするのでしょう。
まったく何もしなければ、舐められるとばかり、何かするしかないと思いますけれども、どこまで出来るのかは分かりません。
日本とていつまでも日和見は許されません。民主主義サミットでもそうですけれども、内外でのボイコット圧力は強まっていくと思いますね。
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