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1.TPP加入を叫び始めた韓国
12月8日、韓国の文在寅大統領はソウルでの「貿易の日」式典で、環太平洋経済連携協定(TPP)への加入を「引き続き検討していく」と述べました。聯合ニュースによると、文大統領がTPP加入に言及したのは初めてのことです。
これを受け、13日、韓国政府は対外経済関係の閣僚会議で、「アジア太平洋地域内の経済秩序の変化が活発化しており、加入論議を政府部署間だけにとどめることは難しい……加入を本格的に推進するため、多様な利害関係者との社会的論議を基に、関連手続きを開始する」とTPPへの加盟申請の手続きを開始すると表明しました。
そして15日に外信記者懇談会で、洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官は「2019年から加盟に対する必要性を議論し準備してきた。加盟に向け加盟国と非公式に接触してきた。文在寅政権中に正式に加盟申請書を提出するという立場」と述べ、TPP加盟申請を現政権の任期中にすることが目標だと明らかにしました。
更に、洪楠基副首相は、「TPPは開放度が高く規範水準も高い。韓国の経済体質をアップグレードするモメンタムにできるという考え」と話し、日本の水産物輸入規制のようなTPP争点事案に対し洪副首相は「福島産水産物問題は日本が提起できるものだが協議過程で議論されないだろうかと思う」とも述べています。
2.媚中の為のTPP
TPP発足当初、韓国は参加に消極的でした。けれども、なぜここにきて急に加盟"申請"するという話になったのか。
これついて龍谷大の李相哲教授は「文氏は朝鮮戦争の終戦宣言をレガシーにするため全精力を注いでおり、そのためにTPPや五輪で中国に足並みをそろえている。来年は中韓国交樹立30周年であることからも、退任まで〝媚中〟の傾向は加速するだろう」と指摘しています。
なんと、中国の御機嫌を取るために、慌てて追随して申請したというのですね。
確かに、中国は、韓国の輸出入額の4分の1近くを占める最大の貿易相手国ですから、中国の動きにある程度合わせるというのは理解できなくもありません。
けれども、媚中だからTPPに加入したいと申請しても、すんなり出来る筈もありません。
国内では、高水準の市場開放が求められるTPPに反対の声が挙がっています。
13日、韓国の農業団体は政府発表に対し「輸入農産物が増加すると、国内農業の生産基盤崩壊につながりかねない」と強く反発しています。
それ以前に、TPPに加盟申請しても、既存の加盟国全体の同意を受けなければ加盟できません。しかも、今現在、イギリス、中国、台湾がすでに加盟申請を終えており、手続きはさらに遅くなるだろうとも言われています。一部には、実際の加盟進行までは2~3年はかかるのではないかという観測もあります。
また、肝心の中国でさえTPPに加盟できるとも限らないのです。
3.協議したことはなく予定もない
この韓国の動きについて、日本の姿勢は一貫しています。
12月14日、松野博一官房長官は定例記者会見で、「CPTTPは市場アクセスの面でも、電子商取引や知的財産、政府調達、国有企業等のルールの面でも高いレベルの内容……こうした高いレベルを完全に満たす用意ができているか、まずは見極める必要がある……我が国としては、新規加入に関心を示す国の動向を注視しつつ、戦略的観点や国民の理解を踏まえて対応していきたい」と述べ、韓国のTPP加入推進に関しては「韓国とは今まで協議したことがなく、また現時点で予定もない」と突き放しました。
この韓国がTPPの高いレベルのルールが守れるかについては、前から同じことをいっています。
丁度1年前の昨年12月8日、当時の加藤勝信官房長官が「様々な国・地域による関心表明は歓迎したい」と述べる一方で、「高いレベルを満たす用意ができているかについては、しっかりと見極める必要がある」と指摘しています。
違いがあるとすれば、昨年が「関心表明は歓迎」としていたのが今年は「韓国と協議したことがなく、また現時点で予定もない」と更に冷たくあしらっていることくらいです。
どちらにせよ韓国がルールを守れないのなら、話にならんと言っている訳です。
韓国は信用ならないと思っているのは日本だけではありません。
4.貸しても返さない国と高いレベルのルール
11月15日、韓国文化体育観光部のファン・ヒ長官は、フランスのロズリン・バシュロナルケン文化長官と会談し、フランスに「直指心体要節」の貸与を依頼しました。
すると、バシュロナルケン長官から「韓国に送れば、差し押えされることが懸念される」と答えたことが明らかになっています。
「直指心体要節」とは、1377年、忠清北道清州の興徳寺で発刊された世界最古の金属活字本です。1886年に初代駐韓フランス公使として赴任したコラン・ド・プランシーが、1890年代初頭、国内で収集し、フランスに持ち込みました。
それが1911年のパリオークションに出品され、骨董品コレクターのアンリ・ベベル氏が購入。ベベル氏は1952年にフランス国立図書館に寄贈しています。この「直指心体要節」は、2001年にユネスコ世界記録遺産に登録されています。
実は、2018年にも、韓国は「直指心体要節」の貸与を要請しています。
2018年12月、韓国の国立中央博物館は、高麗建国1100周年を記念して「大高麗展」を開催しようとしました。その展示物として「直指心体要節」の貸与をフランスに要求したのですね。
けれども、この時フランスは韓国に対し「一時差し押さえ免除」の法律を要求して、法律が制定されなければ、貸出せないと拒否しました。
この法律は、20世紀末以降、他国の美術館が開催する展覧会に出品した美術品等が、その所有権を主張する第三者によって差し押さえられる事件が頻発したため、各国の国営美術館が差し押さえされそうな美術品や文化財などの貸与を渋るようになったことを受け、先進国を中心に制定されました。
日本も2011年に「海外美術品公開促進法」として制定されています。
韓国にはまだこの法律がなく、フランスはこれを制定しない限り貸さないといった訳です。
これはフランスが韓国に貸したら最後、韓国の個人や団体が所有権を有するとして、韓国の個人や団体が韓国の裁判所に、差押さえ命令を求める裁判を起こすのではないかと思われているということです。
海外との文化交流を進めるだけでも、こうした法律を作っているのです。ましてやCPTPPともなれば、もっと高度な取り決めや法律をつくって、それらを守らなければなりません。
まぁ、韓国がTTPに加入できるとは思いませんけれども、韓国がいう日韓関係の改善云々も、TTPに入れるくらいに約束を守ってからだと突き放すくらいでちょうどよいのかもしれませんね。
この記事へのコメント
Naga
韓国の場合このような法律ができても何かの屁理屈で守られない可能性があるので、フランスには気を付けてもらいたい。