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1.受験生の不安受け止めた
12月27日、岸田総理は、24日、文科省が国公私立大の個別入試における武漢ウイルス感染症対策のガイドラインを改定し、「オミクロン株」感染者の濃厚接触者は症状の有無にかかわらず受験を認めないとした対応について「受験生に不安が広がっていることを承知しており、こうした不安を重く受け止めた。一両日中に具体的な方策を示せると考えている」と是正する考えを示しました。
文科省は政府がオミクロン株感染者の濃厚接触者に14日間の宿泊施設での待機を要請することに対応したとし、コロナの影響により受験できなかった受験生のために、追試や日程の振り替えなどを各大学に求めており「引き続き配慮を検討してほしい」としていました。
この方針に対し、受験生や保護者からインターネット上で不安の声が上がっており、岸田総理は26日に、受験機会確保のために別室での受験を含めて検討するよう文科省に指示を出していました。
受験生の不安受け止めた、なんていうとちょっと格好よく聞こえるかもしれませんけれども、裏を返せば、こうした不安の声が上がることすら分からなかったとも言えます。
まぁ、直さないよりはマシでしょうけれども、先見力がないというか、国民はそこに不安を覚えてしまいます。
2.別室受験認める文科省
岸田総理の指示を受けた文科省は早速見直しに着手。12月27日、末松文科相は臨時記者会見を行い、陰性・無症状であれば別室受験を認める方針を明らかにしました。
末松文科相は「通知発出後にさまざまな意見が寄せられる中で、オミクロン株の感染拡大が危惧される中においても1人でも多くの受験生が適切に試験を受けられるようにすることが必要であると考えた」と説明。
オミクロン株に濃厚接触した受験生の受験機会確保のために配慮できないか、通知発出翌日の12月25日に省内の担当部局に至急の検討を指示したと明かし、オミクロン株への感染が確定した患者の濃厚接触者である受験生についても「PCR検査が陰性」「試験当日無症状」「公共交通機関を利用しない」という、他の感染株の濃厚接触者と同様の条件を基本とした別室受験により、受験を可能とする方針をとると表明。方針の詳細については、大学入試センターの専門家の意見、関係省庁との協議も踏まえて、早急に再度の通知を発出したいと述べました。
そして、今後の受験シーズに向けては「受験生の皆さんには、今後本格的な入試日程を迎えることになるが、体調管理はもとより基本的な感染対策を徹底していただきたい。また、受験生の家族や学校の先生方も日ごろからの感染対策を行っていただき、受験生を支えていただくとともに、各大学には感染症のガイドラインに則して試験実施の準備に引き続き万全の対応をお願い申し上げたい」と述べ、24日発出の通知により、受験生や大学等に混乱が生じたことについては、「担当部署においてもう少し時間をかけて検討を行い、意思決定のプロセスを図るべきではなかったかと思っている。少し不十分なところがあったということを認識している」と陳謝しました。
3.水際対策緩和
12月27日、後藤厚労相は。武漢ウイルスの「オミクロン株」への対応で強化をしている水際対策の"緩和"を発表しました。
後藤厚生相は「航空機の同乗者全員を濃厚接触者とする緊急的な取り扱いは本日で終了し、あす28日以降は従来の株と同様に患者の前後2列の乗客と家族、同行者を航空機内の濃厚接触者の範囲とすることと致します」と述べ、これまでオミクロン株感染者と同じ飛行機に乗っていた全員が濃厚接触者とするやり方から、患者の前後2列の乗客と家族、同行者を濃厚接触者に指定する対応に戻すことになりました。
あるいは、これも文科省の対応とリンクしたものかもしれません。
いくら、別室受験にするといっても、教室や試験官の準備等々を考えるとあまりに沢山の受験者がその対象となってしまうと対応できなくなることも考えられます。
そこで、最初から水際対策を緩和することで濃厚接触者の絶対数を減らしてしまえば、そのリスクも減らせる訳ですからね。
4.今のところ何もない
それにしても、岸田政権の迷走ぶりが目立ちます。
オミクロン株への対応をめぐっては、11月29日に国土交通省が水際対策として国際線の新規予約停止を航空会社に要請。しかし、海外にいる邦人が帰国できないとして「憲法違反」などと批判が沸き起こると、首相は12月2日になって「一部に混乱を招いた」と撤回したことを明らかになりました。
また、ワクチンの3回目のブースト接種についても、12月6日に岸田総理が「できる限り前倒しする」と表明したその翌日に後藤厚労相が「現状で全国民を対象に接種間隔の前倒しを一律に行うことは困難」と説明するなど食い違いが出ています。
この先走る言動から軌道修正を余儀なくされるケースに、自民党内には「一体、誰がハンドリングしているのか」と先行きを危ぶむ声が漏れはじめたそうですけれども、当然です。
更に、10月の総選挙で落選した石原伸晃前衆院議員を内閣官房参与に起用したものの、石原氏が代表の政党支部が国の緊急雇用安定助成金60万円を受給していたことに批判が高まると、12月10日にわずか1週間で参与を辞任。18歳以下の子供を対象にした現金5万円とクーポン5万円分配布という政府の支援策をめぐっても、自治体が希望すれば全額現金給付も容認する考えに転じるなど、迷走を重ねています。
ある閣僚経験者は「右往左往するのは、今になって始まったことではない。岸田氏は昔から人の話を聞くことは得意だが、何かを決めることは不得意だ。そういう人物が首相という最高責任者になり、自分で最終決定を下さなければならないわけだから、毎日かなりの重圧と戦っているんだろう……安倍氏には国家観があった。菅義偉氏には実行力。岸田氏には今のところ何もない。これからも軌道修正しながら政権運営していくことになると思うが、それを来年夏の参院選を前に自民党議員や国民がどう感じるか。周りでサポートする人間がしっかりしないと、どうにもならないかもしれない」などと漏らしたそうです。
「聞く力」はあっても「決める力」はない。それは結論が見えないからなのだろうと思います。これをやればこうなる、というのが分からない。だから決められない。
筆者は11月12日のエントリー「聞く力と見通す力」で「聞く力」は「結果を見通す力」とセットになっていないといけないと述べたことがありますけれども、結果を見通す力がなければ、結局出してはひっこめるのを繰り返すだけになってしまいます。
もし、本当に岸田総理に「結果を見通す力」が足りないのであれば、それを補うために結果を見通せる人を側近にして助言させるべきではないかと思いますね。
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