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1.低迷するバイデンの支持率
アメリカのバイデン大統領の支持率が低迷を続けています。
ギャラップの世論調査によると、1月の政権発足時には57%あった支持率は、10月以降は42%と、就任10ヶ月ではトランプ前大統領の37%に次ぐ歴代ワースト2位を記録しました。
バイデン大統領の支持率は8月にアフガニスタンからの駐留米軍撤収で混乱を招いたことを契機に急落。アメリカン大学のジョー・キャンベル教授は、「国民は約6%の物価上昇に苦しみ、コロナ禍も続いている。アメリカ一国では解決できないのに『大統領は効果的に対応していない』と思っている」と述べています。
キニピアック大が10月に行った世論調査でも、バイデン大統領の支持率が38%と不支持の53%を大きく下回り、中でも、移民政策は支持が25%だったのに対し、不支持は67%に上り、アフガン撤収についても、駐留米軍を「一部のみ撤収すべきだった」が50%、「一部でも撤収すべきでなかった」が15%。「すべて撤収すべきだった」は28%にとどまっています。
また武漢ウイルス対応でも支持が48%、不支持が50%となっています。
バイデン大統領が福祉の拡充や気候変動対策を重視して手掛けた大型歳出法案「ビルド・バック・ベター」は、11月19日に下院を通過したものの、民主党内の対立の結果、規模は半減。予算は1兆7500億ドル(約198兆円)にとどまりました。
バイデン大統領は11月23日に、エネルギー価格の高騰に対応するため、石油備蓄を放出すると発表。物価高の要因の一つである品不足や出荷遅延などサプライチェーンの問題に取り組んでいることを強くアピールしました。
実際、4リッター(1ガロン)辺りのガソリン平均価格は11月15日から29日までの間に3.40ドルから3.38ドルとわずかに下がり、民主議会キャンペーン委員会がそれを誇ってみせましたけれども、バイデン大統領就任から2日後の1月22日に4リッター(1ガロン)のガソリンの平均価格は2.40ドルで、それが11月20日までに3.42ドルに上昇していたことを考えると全く自慢できるものではありません。
来年の中間選挙までに劇的な改善でもない限り、来年の中間選挙で厳しい結果になることは避けられないでしょう。
2.二期目を目指すと宣言したバイデン
それでもバイデン大統領は2期目に意欲を見せています。
11月21日、ワシントンポストは「Biden and aides tell allies he is running in 2024 Democrats have become anxious. 」という記事を掲載しました。
記事では、バイデン大統領の友人で元上院議員のクリス・ドッド氏が「私が聞いた話では、彼は再選を計画しているということだけだ……私は彼がそうであることを嬉しく思う」と述べたことを紹介し、更に最近、出馬意欲を改めて支援者に伝えたと報じています。
これについて、11月22日、ホワイトハウスのサキ報道官は、記者から「週末に、バイデン大統領が2024年の再選に向けて出馬することを同盟国に伝えているという報道がありました。 確認できますか? 彼は2024年に出馬するつもりなのでしょうか? スタッフにそう言っているのでしょうか?」と問われ「彼はそう言っています。 それが彼の意思です」と答えています。
件のワシントン・ポストの記事では、バイデン大統領が2024年の大統領選に出馬の意欲を示したことについて、「多くの民主党員の間で、バイデンは年齢的にも人気的にも再選を目指さないのではないかという思い込みを和らげることも目的としているが、同時に、カマラ・ハリス副大統領や他の大統領候補者にとっては、事実上、動きを封じる狙いがある」と分析しています。
ただ、2024年には82歳になるバイデン大統領について、10月にハーバード大学が行った世論調査では、58%が「高齢過ぎる」と回答しています。
2024年まで2年以上ある今の段階で、バイデン大統領が次期大統領選挙に出馬すると宣言した狙いが、民主党内の不安を和らげ、カマラ・ハリス副大統領や他の大統領候補者の動きを封じるためなのだとすると、それは裏を返せば、民主党には有力な次期大統領候補がいないことを意味しています。
3.存在感薄れるハリス
支持率が低いのはカマラ・ハリス大統領も変わりません。
11月7日、USAトゥデイとサフォーク大学が実施した世論調査では、バイデン大統領の支持率が38%だったのに対し、ハリス副大統領の支持率はなんと28%。不支持率は51%に上り、政権発足から1年も経っていないのに関わらず、前代未聞の低さです。
ハリス副大統領は就任当初は女性初、黒人初の副大統領として注目されたのですけれども、目立った成果は示せていません。責任者に任命された不法移民対策では、メキシコ国境をすぐに訪問しなかったことを共和党から批判されただけでなく、グアテマラを訪問した際に「アメリカに来ないで」と言い放ち、移民に寛容な左派らや民主党内からも不興を買いました。
複数のアメリカメディアは、ホワイトハウス内でバイデン大統領のチームとハリス副大統領のチームに確執が生じていると報じています。
CNNは、バイデン大統領のチームがハリス副大統領と側近の仕事ぶりを評価せず「お手上げの状態だ」とし、周辺の証言から「ハリス氏は準備不足で、脇に追いやられている」と報道。一方でハリス副大統領のチームも、重要な意思決定から「副大統領が外されている」と不満を募らせ、ハリス副大統領本人も、自分の活動が制約されていると周辺に漏らしていると報じています。
またハリス副大統領の上級顧問兼首席報道官を務めるシモーヌ・サンダース氏が年内で退任することが発表され、更にハリス氏の広報部長も12月に退任することも明らかになっています。
まるで泥船から逃げ出すネズミのようです。
4.ダブルアウト計画
そんな中、アメリカで話題になっているのが「ダブルアウト計画」です。
これは、バイデン大統領もハリス副大統領もどちらもホワイトハウスから追い出すという計画です。
この説を述べているのは保守派でラジオ司会者のウェイン・ルート氏です。
ルート氏はこれまで、色んな予測をしていて、武漢ウイルスのワクチン接種を強制させるとか、国境危機が起こるとか、自分の予測は99%正しいと吹聴しています。
「ヒラリー大統領を迎える用意をして下さい」という文書を発表し、次のプロセスで民主党はヒラリー・クリントン氏を大統領に担ぎ上げるだろうとの予測をしています。
1)どうにかしてハリス副大統領を辞めさせるこの「ダブルアウト計画」のポイントは、合衆国憲法の何処にも違反していないことです。無論、2024年の大統領選挙でも、バイデン大統領やハリス副大統領より全然戦えます。
2) バイデン大統領が新たな副大統領としてヒラリー氏を指名する
3) 議会が承認してヒラリー氏が副大統領になる
4)バイデン大統領が辞任するか辞任させられる
5)繰り上がりでヒラリー氏が大統領になる
6)2024年の大統領選はトランプ氏vsヒラリー氏が再び対決
7)接戦になるが最終的にヒラリー氏が勝つ
これについて張陽チャンネルの張陽氏は「完璧な計画」と評し、最近になってアメリカの左派マスコミがバイデン大統領やハリス副大統領を叩き始めたこととも符合すると述べています。
ルート氏によるとハリス副大統領は、民主党から辞任するまで追い詰められるだろうと予測しているそうなのですけれども、これは自ら辞職する以外にハリス副大統領を引きずり下ろすのは難しいからではないかと思われます。
合衆国憲法第2条第4節には、弾劾規定として「大統領並びに副大統領、文官は国家反逆罪をはじめ収賄、重犯罪や軽罪により弾劾訴追され有罪判決が下れば、解任される」となっていて、第1条第2節第5項では下院が「弾劾の権限を専有する」と規定しています。そして第1条第3節第6項で、「上院はすべての弾劾を審判する権限を専有する……合衆国大統領が審判される場合には、最高裁判所長官が議長となる。何人といえども、出席議員の3分の2の同意がなければ、有罪の判決を受けることはない」となっています。
つまり、下院が弾劾の罪状について大陪審の役割を果たして調査・起訴し、上院が審判する仕組みなのですけれども、もしもハリス副大統領を弾劾するとしても、一体何の罪状で弾劾するのかという問題があります。まさか「何もしなかったこと」を罪に問うわけにもいかないでしょう。
万一、起訴できたとしても、上院出席議員の3分の2の同意を得るのもハードルが高い。上院での共和党と民主党の議席は50議席と同数ですから、民主党がヒラリー氏を担ぎ上げる計画を阻止しようと共和党議員が反対すれば成立しないからです。
となると、やはり、マスコミを使ってあることないことを叩きまくってプレッシャーを掛け、自ら辞任するように仕向けるしかありません。
果たして、ハリス副大統領がどこまで図太く副大統領の椅子にしがみ付くのか分かりませんけれども、このダブルアウト計画は確かに在り得る話です。ただ、中間選挙で民主党がボロ負けしてしまえば、バイデン大統領がヒラリー氏を指名しても議会承認を得ることも難しくなります。となると中間選挙前にヒラリー氏を副大統領に押し込むしかなくなります。
民主党の「ダブルアウト計画」。その実現含めて注目です。
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