アメリカの北京五輪外交ボイコット

今日はこの話題です。
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1.アメリカの北京五輪外交ボイコット


12月6日、アメリカのバイデン政権は中国冬季五輪の外交的ボイコットを発表しました。

サキ報道官によるこの日の会見内容はこちらで公開されていますけれども、この中で、外交的ボイコットについて「人権のために立ち上がることはアメリカ人のDNAに組み込まれています。 私たちは、人権を促進するという基本的なコミットメントを持っています。 そして、私たちは自分たちの立場を強く感じており、中国やその他の国で人権を促進するための行動を取り続けるつもりです」と述べています。かなり強い表現だと思います。

また、サキ報道官は記者から中国がボイコットに対して「確固たる対抗措置」といっているがと問われると「取引ではありません」と斬ってすてています。

その後のやりとりは次の通りです。
Q 他の同盟国にもこの外交的ボイコットに参加してもらおうとしているのですか?

MS. スティーブ、私たちの決断を彼らに伝えましたが、当然ながら彼らの決断に委ねます。

Q なぜアメリカの選手をオリンピックから引き抜かないのですか?

MS. PSAKI: この瞬間のためにトレーニングや準備をしてきた選手たちにペナルティを課すことは、正しいステップだとは思いませんでした。 そして、米国の公式代表団を派遣しないことで、明確なメッセージを送ることができると考えました。
同盟国には彼らの判断を委ね、完全ボイコットでなくとも外交的ボイコットで十分だ、としています。


2.競技とは関係ない


こうした中、日本でも、自民党の山谷・元拉致問題担当大臣ら保守系グループ「日本の尊厳と国益を護る会」の議員グループが、総理官邸で岸田総理と会談し「中国による人権侵害を一切容認しない立場を鮮明にすべきだ」と訴え、中国側から人権状況の改善について納得できる説明がない場合は「外交的ボイコット」を断行し、各国にも参加を呼びかけるよう申し入れしました。

これに対し、岸田総理大臣は「アメリカやヨーロッパがどうするかではなく、日本の主体的な判断として態度を決めたい。オリンピックの意義や日本の国益などを考えて判断したい」と述べるに止めました。

一方、山谷氏は記者団に対し「人権侵害が深刻な中国の現状に鑑み、態度を示す必要があり、総理の決断を期待したい」と促しています。

また、安倍元総理も、7日のBSフジ番組で、「外交的ボイコット」について「競技とは関係ない。そこは分けて考えないといけない……首脳や外相、大臣が行くのはある種、国の一つの意思表示になる」と語り、岸田総理が「国益の観点から判断する」と述べた点については「政府の立場としてはその通りだと思うが、おそらく、だいぶ判断しておられると想像している」と暗に牽制しています。


3.閣僚派遣見送り検討


外交的ボイコットについて、松野博一官房長官は記者会見で「適切な時期に諸般の事情を総合的に勘案して自ら判断する。現時点では何ら決まっていない……わが国としては北京冬季大会が五輪およびパラリンピックの理念にのっとり、平和の祭典として開催されることを期待している」と述べ、アメリカから同調を求められたかどうかは明らかにしませんでした。

また、林外相も「今後、適切な時期に諸般の事情を総合的に勘案して判断するが、現時点では何ら決まっていない。大会が五輪とパラリンピックの理念にのっとり、平和の祭典として開催されることを期待している」と述べ、アメリカが外交的ボイコットを発表したことについても「各国の対応についてコメントすることは差し控えたい」と口を噤んでいます。

外務省関係者によると、アメリカ政府からは外交使節団の派遣見送りを決めたとの通知があったそうですけれども、それだけで終わるとも思えません。何等かの圧力はあったと考えてよいのではないかと思います。

というのも、他国に先駆けて「外交的ボイコット」を宣言することそのものが、他国への圧力になるからです。ましてや同盟国なら猶更です。

更には今月9~10日、バイデン政権は、世界約110の国・地域の指導者らを招いた初の「民主主義サミット」をオンライン形式で開催します。その直前に「外交的ボイコット」を発表したということは、「民主主義サミット」が「外交的ボイコット」の根回しあるいは意思確認の場になるということです。実に分かり易いタイミングです。

既に一部の報道では、北京冬季五輪への閣僚の派遣を見送る方向で検討しているとも伝えられています。

政府内では、閣僚ではないスポーツ庁の室伏広治長官や日本オリンピック委員会の山下泰裕会長を派遣する案が浮上しているそうなのですけれども、これは、閣僚どころか政府関係者ではない人を派遣すれば、事実上の「外交的ボイコット」になるということなのだと思われます。

果たしてそれで済むのかどうか。

まだ一波乱あるような気がします。


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