ロシアは負け始めたか

今日はこの話題です。
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1.ロシアは負け始めた


8月11日、イギリスのウォレス英国防相は、デンマークのコペンハーゲンで開かれた国際援助国会議で記者団に対し、ウクライナ侵攻を続けるロシアについて、戦争が始まって5ヶ月以上が経過し、プーチンは西側諸国がウクライナを支援することに飽きるという賭けに負けたとし、その代わり、「ウクライナへの支援意欲は高まっている」と欧米諸国がウクライナへの継続的な軍事援助を約束するコメントを発表しました。

ウォレス国防相は、今回の新たなコミットメントについて、「プーチンのウクライナにおける野心」と呼ぶものを阻止するために、国際社会が確固たるものであることを示したとし、その決意が実を結んだと語りました。

ウォレス国防相はロシア軍について、「これまで失敗してきたし、今後もウクライナの占領に成功することはないだろう……彼らの侵略は挫折し、常に南と東の一部だけに集中している程度に再修正されている」として、攻勢は頓挫して「負け始めている」と述べています。


2.サキ軍用飛行場の大爆発


8月9日、ロシアが2014年に編入したウクライナ南部クリミア半島ノボフェドロフカ付近のサキ軍用飛行場で爆発が起きました。

西側当局者は、この爆発でロシア黒海艦隊の海軍航空戦闘機の半数以上が使用不能になったとみており、黒海艦隊は「沿岸防衛艦隊」以上の機能を果たせず、南部オデッサへの陸海空軍共同の攻撃が難航しているとして上で、全体的に戦争は「作戦停止に近い状態」としています。

17日には、ウクライナ国防省情報総局が、サキ軍用飛行場から、少なくとも戦闘機24機とヘリコプター14機を撤収したとSNSに投稿。軍用飛行場などで起きた爆発を受けた措置だとしています。

爆発の原因は明らかになっていないのですけれども、ロシアは、防火規則の違反によって、倉庫の弾薬が爆発したと説明し、ウクライナも、基地を攻撃したとは発表しておらず、ウクライナのオレクシイ・レズニコフ国防相も、ロシア兵の煙草の不始末が原因だろうとしています。

煙草の不始末で、戦闘機の半数以上が使用不要になる爆発なんて、火薬庫の横で喫煙でもしていたのかといいたくなりますし、いくら軍規が乱れていても、ここまで酷くはないだろうと思います。何か隠している可能性はあると思います。

実際、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙は、ウクライナ軍高官の証言として、ウクライナ軍の指揮下で活動しているパルチザンが爆発に関与したとし、ウクライナ軍は露軍に占領された地域の住民向けに工作活動の手法などを紹介して抵抗運動が広がっていると報じています。

また、アメリカの政策研究機関「戦争研究所」は事故だとするロシア側の説明に疑念を示し、ウクライナ側の破壊工作や、ウクライナ軍による攻撃だった可能性は「排除できない」との見解を示しています。


3.戦禍に見舞われるクリミヤ


また、ウクライナ軍は南部ヘルソン州で、要衝の橋を攻撃して通行できなくしたと発表するなど、ロシア軍の補給路を狙ったとみられる攻撃を続けるなどしていますけれども、17日、ウクライナ国防省情報総局の報道担当者は、テレビ放映された演説で「近い将来、全ての前線で非常に活発な動きがあるだろう……特定の期日にとらわれるものではないが、ウクライナの独立記念日は考慮に入れなければならない」と言明しました。

ウクライナの独立記念日は8月24日ですから、発言通りに捉えれば、ここからウクライナ軍の反攻が始まるということになります。

爆発"事故"が起きたサキ軍用飛行場は、ウクライナ沿岸部の封鎖を主導してきたロシア黒海艦隊が駐留するクリミヤ半島のセヴァストポリ港の北約50キロ、半島中部のノボフェドロフカ付近にあります。

ロシア当局は7月、セヴァストポリで行われた海軍記念日の式典がウクライナのドローン攻撃を受けたと発表し、8月16日にもクリミア北東部マイスケの弾薬庫が爆発していますけれども、要するに、戦禍がクリミア半島に及んできた訳です。

ウクライナ軍の攻撃能力はクリミア半島には決して届かないだろうというのが、これまでの見方だったのですけれども、8月に入ってから、クリミアで相次いだ爆発を多くのロシア人観光客が目撃し、その後ロシアに逃げ帰っているそうです。

西側当局者は、こうしたことがロシア政府に心理的な影響を与えていると見ています。

当局者によると、ロシアの黒海艦隊は現在、沿岸警備にあたる小規模な艦艇部隊と大差のない規模まで縮小しており、ウクライナの攻撃を警戒して慎重な動きを強いられているそうです。

また、ロシア軍がウクライナ南西部の主要港オデッサ港を攻撃する能力や、攻撃する可能性は、短期的にはほとんどないだろうと述べています。

更に、イギリス国防省は、この時期に他の海域で活発化するロシア軍の活動とは対照的に、黒海艦隊は概して「極めて防戦的」な態勢をとり、その警戒活動はクリミア沿岸から目視できる範囲に留まっているとしています。


4.プーチンは核使用を躊躇している


ウクライナ軍によるサキ軍用飛行場攻撃について、日本国際戦略問題研究所長の津田慶治氏は、「ロ軍は安全規則違反による爆発であり、死亡は1人、航空機は損傷していないと声明しているが、衛星写真では8機のSU24とSU30が完全に破壊され、多数が損傷しているし、ウ軍は操縦士や技術者ら60人が死亡、100人が負傷したとの分析を明らかにした。相当に大きな損害であったことになる。なぜ、ロ軍はウ軍の攻撃ではなく、自軍の過失というのか不思議であるが、メドベーシェフ前大統領が『クリミア半島への攻撃は、即審判を受ける結果になる』と発言し、この意味は限定的核兵器使用をすることだ。しかし、これを使用すると、世界的な批判とNATO軍からの核報復を覚悟する必要があり、プーチンは核使用を躊躇しているようである」と指摘しています。

つまり、プーチン大統領は核戦争になるのを避けようとしているというのですね。

この文脈で考えると、ウクライナ側もクリミヤを軍が攻撃したと言わないのは、自分が核戦争の引き金を引いたと言われたくないから、という見方もできるかと思います。

ただ、ウクライナのゼレンスキー大統領は、「戦争はロシアのクリミア半島占領から始まった。半島の解放で終わらなければならない」と述べていることを考えると、クリミア半島奪還を始める公算は高いと思います。

これにロシアはどう対応するのか。

8月15日、ロシアの軍事情報を追跡する「ベラルーシアン・ハジュン」プロジェクトは、ウクライナ国境からおよそ40キロに位置するベラルーシのジアブロウカ飛行場に兵器が集められていることがわかったとテレグラムに投稿しています。

「ベラルーシアン・ハジュン」は「飛行場の状況の分析により、ベラルーシからウクライナ領土へのロケット攻撃の可能性があるだけでなく、ロシアが今後数週間のうちにウクライナへの大規模なミサイル攻撃をおこなう準備を進めているらしい兆候が見てとれる」と指摘しています。

「ベラルーシアン・ハジュン」は、アメリカの宇宙技術企業マクサー・テクノロジーズの衛星画像を使った分析を行った結果、ジアブロウカ飛行場には、超長距離地対空ミサイル「S-400トリウームフ」10~14基、近距離対空防御システム「パーンツィリ-S1」2基、「KASTA-2E2」および「48Y6 Podlet」のレーダーシステム3基があるとし、この飛行場には少なくとも15~60発のS-400地対空ミサイルの保管にも使われ、さらに多くがロシア航空宇宙軍から届けられる見込みだと述べています。

7月28日に最後に大規模な攻撃がおこなわれて以来、ベラルーシからはウクライナに向けて1発のロケットも発射されていないそうなのですけれども、もし、このジアブロウカ飛行場に超長距離地対空ミサイルを集めているのだとすれば、ロシアは、ウクライナのキエフに対し、ミサイル攻撃という奇襲を行い、少なくともウクライナの防空システムを破壊した後、キエフを大規模空爆することで、一気に戦局の打開を図ろうとしているのではないかという気がします。

勿論、それで戦局がどう変わるのか分かりませんけれども、大きな変化が近づいているのかもしれませんね。



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