厚労省のオミクロン対応ワクチンは効果があるか

今日はこの話題です。
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1.オミクロン株対応ワクチン前倒し


9月2日、厚生労働省は専門家分科会で、武漢ウイルスのオミクロン株に対応したワクチンの接種について、対象を2回目までを終えた12歳以上のすべての人としたうえで、早ければ今月半ばにも高齢者や医療従事者などから開始する方針を固めました。

現在行われている4回目接種の対象となっている高齢者や医療従事者などのうち、まだ接種を受けていない人から、オミクロン株に対応したワクチンに切り替えて、早ければ今月半ばにも始めるとしています。

加藤厚労相は、記者会見で「これまで10月半ばに接種開始予定としてきたが、製薬企業と交渉を進めた結果、欧米に遅れることなく、わが国でも9月半ばすぎから国内配送を開始できる見込みとなった。今月6日に自治体に対する説明会を開始する。引き続き、自治体と緊密に連携して準備を進めていく」と述べ、現在も高い感染レベルが続いているとして、重症化リスクが高い人は、オミクロン株に対応したワクチンの接種を待たずに、必要なワクチンを接種するよう呼びかけました。

オミクロン株に対応したワクチンについては、ファイザーとモデルナが厚生労働省に薬事承認を申請していて、承認されれば、今月半ばにも各自治体へ配送される見通しとのことで、厚生労働省は、準備が整った自治体から来月半ばをめどに、対象をすべての年代に拡大していくとしています。


2.四回目接種キャンセル急増


8月31日、岸田総理は、武漢ウイルス感染による10日間の隔離を終え、対面による記者会見を行いましたけれども、その冒頭で、ワクチンについて次のように述べています。
おはようございます。
 国民の皆様にも御心配いただきましたが、本日から対面での公務を再開し、全身全霊、全力投球で仕事に取り組んでまいります。
 この間、官邸の医療スタッフを始め、多くの方のサポートを頂きました。お陰様で、オンラインで公務を進めつつ、体調も完全に回復をいたしました。
 皆様の御協力と御理解に感謝を申し上げます。
 今回、コロナに感染して強く感じたことは、ワクチンの有用性です。ワクチンの4回目接種を済ませていたことで、軽い症状で済みました。自らの実体験も踏まえ、皆様には、引き続きワクチン接種に御協力をお願いするとともに、10月から開始予定のオミクロン株対応の新たなワクチンの接種について、その開始を更に前倒しすることといたします。
このように岸田総理は、4回目のワクチン接種によって症状が軽く済んだとした上で、オミクロン株対応ワクチンの前倒しに触れています。

今回、そのオミクロン株対応ワクチンの接種開始が9月半ばに前倒しになったのも、これを受けてのものだと思われます。

ただ、4回目のワクチン接種についてですけれども、現在、予約キャンセルが急増しているのだそうです。

その理由は、少し待てばオミクロン株対応ワクチンが出てくるからです。

現在、既存のワクチンに対する4回目の接種条件は、3回目のワクチン接種から5ヶ月後となっています。もちろん、オミクロン対応の新ワクチンの接種条件についてまだ明らかになっていなかったと思いますけれども、従来型から大きく変わるとも思えません。

従って、今、4回目接種として従来型ワクチンを打ってしまったら、今月半ばからのオミクロン株対応ワクチンを接種できなくなることになります。

それならば、オミクロン株対応ワクチンが出てくるまで待とうとなるのは普通の反応だと思います。


3.二種類あるオミクロン対応ワクチン


もっとも、オミクロン株対応ワクチンを待つのがよい、という考えには、そのワクチンが効くという大前提があります。

9月半ば以降に用意される、オミクロン株対応ワクチンは、従来株に由来する成分とオミクロン株の一つ「BA.1」の2種類を組み合わせた「2価ワクチン」と呼ばれるものです。

8月8日に行われた厚生省ワクチン分科会の資料によると、オミクロン株対応ワクチンはファイザー製とモデルナ製の2種類で、更に、「BA.1対応型」又は「BA.4/5対応型」の2種類を開発しているとあります。

ここでいうBA.1とかBA4/5とかいうのは、オミクロン株の中でも更に変異した亜種を指し、現在は、大半がBA5に置き換わっているとされています。

今回、厚労省がオミクロン対応型ワクチンはどちらになるかというと、「BA.1対応型」であり、その理由として、件の資料では次のように記されています。

現在、わが国でも主な流行株はオミクロン株となっていることから、利用可能なオミクロン株対応ワクチンによる接種になるべく早く切り替えることが妥当であると考えられ、まずは、いち早く利用可能となる「BA.1対応型」を選択すべきである。また、BA.2.75といった新たな株も国内外で確認されるなど、ウイルスの変異は今後も継続して起こるものと予想されるため、さらに新たなワクチン株を用いたワクチンの利用可能性についても継続して検討する必要がある。

このように、スピード重視でBA.1対応型を選んだというのですね。

では、そのスピード重視で選んだというBA.1対応型がどれくらいオミクロン株に効くのかというと資料(P.6)には、「オミクロン株(BA.1)に対する中和抗体価」として、従来武漢型との比較表を載せています。

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それによると、「4回目接種従来型ワクチンの接種後の抗体価」に対して、ファイザー、モデルナ共に、おおよそ1.5~3倍程度抗体価が上がるとなっています。

では、BA1ではなく、BA4、BA5に対してどうかというと、同じ表に「オミクロン株(BA.4/5)に対する中和抗体価の上昇」という欄に記載されています。

けれども、その欄には「オミクロン株(BA.1)に対する中和抗体価の上昇より低い」とだけ記載されていて、数値が入っていないのですね。

数値データがないのかというと、資料の最後のページに「ヒト血清抗体を用いた抗原性評価(その2)」として、「ワクチン接種者・ブレイクスルー感染者の血清を用いた各シュードウイルスの中和活性を比較した結果」が記載されています。

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それによると、従来型ワクチン(ファイザー:BNT162b2)の3回目接種後28日経過した人ではBA.1に対して1000倍程度に薄めても、ウイルス量が半分になる(PVNT50)のに対し、BA4/5では360倍に薄めてウイルス量が半分になる結果となっています。

つまり、従来型ワクチンでは、BA4/BA5の三分の一程度の効果しかない訳です。

この傾向はBA.1に感染した人(表C,D)でも同様で、BA.1感染後17日未満ではBA4/5に対して二分の一(545/1048)程度、感染後28日以降では三分の一以下(1064/3563)になっています。

BA.1に感染した人はBA.1対応のワクチンを接種した人と同程度の抗体を持っているすると、仮にBA.1対応のワクチンを接種しても、BA4/5には三分の一の効果しかないことになります。

ここで前述の「オミクロン株(BA.1)に対する中和抗体価」の表[資料(P.6)]に戻ると、BA.1対応ワクチンは従来型のそれより、1.5~3倍程度抗体価が上がるとなっていますけれども、BA4/5はその三分の一しか効かないとなると、抗体価の上昇は0.5~1.0程度と、"行って来い"になって、結局は従来型と殆ど変わらないかそれ以下ということになります。

この表で、「オミクロン株(BA.4/5)に対する中和抗体価の上昇」の欄が「オミクロン株(BA.1)に対する中和抗体価の上昇より低い」と数値で記載していないのは、数値で書くと効果がないのがバレるから、わざと書いていないのではないかと勘繰ってしまいます。


4.厚労省のオミクロン対応ワクチンは効かない


BA.1対応のワクチンは、実はBA4/5に対して、効果がないのではないかということについて、ひらた中央病院・非常勤医師の小橋友理江氏は次のように述べています。
2価ワクチンの効果はどうだろうか? ファイザー社の資料を見てみると、通常のファイザーの投与量30μgを接種した場合、従来型ワクチンを接種した場合と比べると、2価ワクチンでは、オミクロン株BA.1に対して1.56倍の中和力価がつくと報告されている。しかしここで注意しなければならないのは、現在流行しているのはオミクロンBA.5株であるということである。2価ワクチンの効果をみると、BA.5に対しての中和力価はBA.1と比較すると1/3.4(3.4分の1)に減弱してしまっていることが報告されている。このことを鑑みると、2価ワクチンが従来のワクチンより1.56倍効果がある、と言うことはもはやできない。
小橋氏が言及しているファイザーの資料(P13)の数値をみると、前述の厚労省の資料の参照元と思われますけれども、今回のBA.1対応ワクチンがBA4/5に対して大して効果がないということを指摘する医師もいる訳です。

また、サイエンス誌も6月2日に「Omicron BA.1 breakthrough infection drives cross-variant neutralization and memory B cell formation against conserved epitopes」という論文を掲載しています。

こちらの論文でも、ファイザーの従来型ワクチンは、武漢型からBA.1までのウイルスを中和する一方、BA4/5は中和しないと論じています。

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論文によると、どうやら、従来の武漢型ワクチンによって、既に刷り込まれた従来型の中和抗体が誘導されてしまって、武漢型やデルタ株、オミクロンのBA.1までは中和するものの、BA4/5の中和抗体は誘導されないというのですね。

こちらの論文の著者には、ファイザーワクチンを開発した、ビオンテック社のシャヒン最高経営責任者が含まれていますから、勿論ファイザーはこのことを知っている筈です。

このように、BA1ワクチンは、BA5に対しては、従来型ワクチンと大して変わらない効果しかないと記されているにも関わらず、なぜ厚労省は採用するのか。

効かないワクチンをいくら「早く切り替えた」ところで意味がありません。まったく妥当ではないと思います。

しかもワクチン分科会は「ウイルスの変異は今後も継続して起こるものと予想される」と述べているのです。BA1対応ワクチンができあがる頃には、既にBA5ですらなくなっている可能性があります。

もしBA1対応ワクチンを接種させまくっても感染爆発したら、BA2.75だかケンタウロス株だかに置き換わったからだとも言い訳するのでしょうか。

4回目のBA1対応ワクチン接種は、これらを十分に考慮した上で、決めるべきだと思いますね。




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