自民党の旧統一教会との縁切りと公安監視団体

今日はこの話題です。
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1.自民党総裁として率直におわびを申し上げます


9月2~4日、読売新聞社は全国世論調査を実施しました。

岸田内閣の支持率は、前回8月の51%から50%となり、ほぼ横ばいだった一方、不支持率は41%と前回の34%から7ポイント増加しました。

岸田総理が、旧統一教会との「関係を断つことを自民党の基本方針とする」と表明したことを「評価する」は76%に上ったものの、自民党が旧統一教会との関係を断つことができると「思わない」は72%に達しています。

岸田総理が旧統一教会との関係を断つと表明したのは8月31日の会見だったのですけれども、それ以外にもいくつか対策を述べています。

会見から該当部分を抜粋すると次の通りです。
まず、旧統一教会の問題です。我々政治家は、それぞれの政治活動において、可能な限り多くの方々と接し、その意見に耳を傾け、自分自身の考えも御理解いただく努力が不可欠です。また、信教の自由や政教分離は憲法上の重要な原則として最大限尊重されなければなりません。

しかしながら、政治活動には責任が伴います。宗教団体であっても、社会の構成員として関係法令を遵守しなければならないのは当然である一方、政治家側には、社会的に問題が指摘される団体との付き合いには厳格な慎重さが求められます。

私の政権における大臣、副大臣、政務官については、自ら当該団体との関係の点検を行うとともに、関係を絶つことの確約を得たところです。しかし、閣僚等を含め、自民党議員について、報道を通じ、当該団体と密接な関係を持っていたのではないか、国民の皆様から引き続き懸念や疑念の声を頂いております。

自民党総裁として率直におわびを申し上げます。

国民の皆様の疑念、懸念を重く受け止め、自民党総裁として茂木幹事長に対し、先週来、3点指示をいたしました。

第1に、党として説明責任を果たすため、所属国会議員を対象に当該団体との関係性を点検した結果を取りまとめて、それを公表すること。
第2に、所属国会議員は、過去を真摯に反省し、しがらみを捨て、当該団体との関係を絶つこと。これを党の基本方針として、関係を絶つよう所属国会議員に徹底すること。
第3に、今後、社会的に問題が指摘される団体と関係を持つことがないよう、党におけるコンプライアンスチェック体制を強化すること。

自民党として説明責任を果たし、国民の皆様の信頼を回復できるよう、厳正な対応を取ってまいります。

また、当然のことながら、政府としても霊感商法等の被害者への対応に万全を期すため、法務大臣を議長とする「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議や、消費者庁に霊感商法等の悪質商法への対策検討会を設置しており、政府を挙げて被害者の救済に全力で取り組んでいきます。
岸田総理は旧統一教会と自民党との関係性を明らかにした上で、関係を断ち、それをチェックする仕組みを設けるとしています。更に、霊感商法等の被害者への対応にも注力すると述べました。

確かに、岸田総理は、旧統一教会と関係を断つと「決断」し、茂木幹事長にその指示を「実行」してみせた訳です。

にも関わらず、今回の世論調査で、「旧統一教会との関係を断つことができると思わない」が7割を超えたということは、「決断と実行」はしたかもしれないけれども、国民はその「実効力」に疑問を持っているということだと思います。


2.守れなければ離党せよ


8月31日は自民党は役員会で、党所属国会議員に対し、今後は旧統一教会との関係を絶つよう徹底するなどとした基本方針を確認しています。

岸田総理は役員会で、党所属議員と教団の関係について「国民の疑念、懸念は自民党に対する信任に直結するもので重く受け止めなければならない……所属議員は過去を真摯に反省し、しがらみを捨て当該団体との関係を絶つことを党の基本方針とし、徹底する」と指示しました。

そして、関係を断つための具体策として次の4点の基本方針を取り纏めています。
(1)党所属議員への点検結果の概要公表
(2)旧統一教会や関連団体、社会的に問題が指摘される団体と関係を持たないことをガバナンスコード(統治指針)に明記
(3)会合出席の是非など議員側のチェック体制を支援
(4)霊感商法など被害者救済対策の検討
これについて、茂木幹事長は「重い決定だ。仮に守ることができない議員がいた場合は同じ党では活動できない」と述べ、方針を順守できない議員に離党を求める可能性にも言及しました。


3.関係を断つことができると思わない


自民党は所属議員に対し、祝電送付や会合出席、選挙支援など8項目にわたり旧統一教会や関連団体との関係を尋ねるアンケートを配布し調査を行っています。

これについて茂木幹事長は、会合で講演したり、資金のやりとりや選挙協力などがあったりした議員については、氏名の公表を検討していると会見で明らかにしています。

9月2日、自民党幹部は、調査結果について、回答に曖昧な記述が多く、確認作業が必要なため、当初想定した6日の公表に間に合わないとの見通しを示しています。

ただ、それでも、共同通信が独自の取材で、教団と接点があった自民党の議員が少なくとも146人に上ることが分かったと報じています。

派閥別では、安倍派が39人で最も多く、茂木派と麻生派が各21人、二階派20人、岸田派19人、森山派3、無派閥23人と実に自民党所属国会議員381人の38%に当たります。

濃淡を別にすれば、約4割はなんらかの接点があったということです。

なるほど、これでは世論調査で「旧統一教会との関係を断つことができると思わない」が7割を超えたのも合点がいくというものです。


4.自民党はまともでない


茂木幹事長は、党所属国会議員に対し、今後旧統一教会との関係を絶つよう徹底するとしていますけれども、これについても疑問の声があります。

9月1日、政治アナリストの伊藤惇夫氏は、TBS系「ひるおび!」で、「本当に断ち切ったかはどうやって検証するのか……嘘をついた人、後で分かったら離党と、かなり踏み込んだ発言ではある……ただ、本当に断ち切ったかはどうやって検証するのか。地下に潜ることもあり得る……」と疑問を口にしています。

党所属議員へのアンケートの段階で既に、曖昧な記述が多く、確認作業が必要という実情をみれば、少なくとも議員本人からの自己申告では、本当に断ち切ったかどうかの検証に十分ではないと容易に想像できます。

更に伊藤氏は「関係を断つというのは、団体が問題があるとお認めになった。ならば関係を断つだけではなく、この団体にどう対応するのか、一歩先の方向性も示してもらわないとどうなのか」とも発言していますけれども、「団体に問題があると認めた」という発言に対し、自民党はそれを是とするのかしないのか、是とするならどこに問題があるのか明確にすべきだと思います。

なぜなら、これは信教の自由を侵しているのかどうかに関わると思うからです。

これについて、嘉悦大学教授の高橋洋一氏は、「魔女狩り。旧統一教会の行為は違法行為であれば法律で対処するのは当然だが、関係を絶つというのは魔女狩り。ワイドショーのいうことを聞く必要なし」、「全国の自民党議員の関係者の中に信者がいるのはほぼ確実だが、どうするのかねえ」、「踏み絵を踏まされ関係を絶った自民党関係者が、差別だと自民党を訴えたら、自民党はもたないだろう。日テレのほうがワイドショーでやりつつ、文書回答では相手の思想信条を問わないとしたのがまとも。自民党はまともでない」とツイートしていますけれども、この指摘に答える必要があると思います。

高橋教授は「自民党国会議員の調査をするとしているが、どのように確認するのだろうか。就職の採用時にも宗教を聞くのは、憲法違反の疑いさえ持たれる。臨時国会で、人権に熱心な野党は是非質問したらいい」と述べていますけれども、憲法違反の疑いが濃厚となれば、さらに叩かれることは目に見えています。


5.左翼的な過激団体と共産党との関係


信教の自由に関して、岸田総理は、冒頭取り上げた8月31日の会見で、「信教の自由や政教分離は憲法上の重要な原則として最大限尊重されなければなりません。しかしながら、政治活動には責任が伴います。宗教団体であっても、社会の構成員として関係法令を遵守しなければならないのは当然である一方、政治家側には、社会的に問題が指摘される団体との付き合いには厳格な慎重さが求められます」と述べています。

ここから類推すれば、法律を侵すなど「社会的に問題が指摘される団体」である点にフォーカスし、信教の自由には踏み込まない、相手の思想信条を問わないという辺りを落としどころにしたいのかもしれません。

であれば、事は旧統一教会だけの問題ではなくなります。

実際、9月4日に放送された、NHK「日曜討論」で、自民党の茂木幹事長は共産党の小池晃書記局長と討論の際、自民党と教団の関わりを追及する小池書記局長に対し、「旧統一教会の問題だけではなく、社会的に問題のある団体すべてについて考えていかなくてはならない。小池さんいろいろおっしゃるんですけど、例えば左翼的な過激団体と共産党との関係、ずっと言われてきました。そこについて全く調べないというのも問題だと思いますよ」と発言しています。

社会的に問題が指摘される団体にフォーカスするのであれば、当然、旧統一教会以外にも該当する団体はある訳です。

例えば、現在、破壊活動防止法に基づく公安の調査団体は16団体ありますけれども、これなども「社会的に問題が指摘される団体」に分類してよいのではないかと思います。

その16団体とは次の通りです。
日本共産党
在日本朝鮮人総聯合会
護国団(石井一昌の団体)
全日本学生自治会総連合
共産主義青年同盟
共産主義者同盟
大日本愛国党
大日本愛国青年連盟
国民同志会
日本同盟
関西護国団
日本塾
革命的共産主義者同盟全国委員会
日本革命的共産主義者同盟(第四インターナショナル日本支部)
革命的労働者協会
日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派
オウム真理教
この16団体の順番は、指定年月順なのですけれども、共産党は、いの一番に指定されています。

先の茂木幹事長の発言に、共産党の小池書記局長は「全く関係ありません。公共の電波を使って自民党の幹事長が全く事実無根の話をしないでください。撤回してください。過激な団体と共産党がいつ関係を持ちました?」と目を剥いて反論していましたけれども、なんのことはない、共産党自身が「社会的に問題が指摘される団体」になっている訳です。




6.暴力革命を放棄していない共産党


では、何故共産党が公安の調査団体になっているかというと、公安自身が次のように説明しています。
共産党は,第5回全国協議会(昭和26年〈1951年〉)で採択した「51年綱領」と「われわれは武装の準備と行動を開始しなければならない」とする「軍事方針」に基づいて武装闘争の戦術を採用し,各地で殺人事件や騒擾(騒乱)事件などを引き起こしました(注1)。
その後,共産党は,武装闘争を唯一とする戦術を自己批判しましたが,革命の形態が平和的になるか非平和的になるかは敵の出方によるとする「いわゆる敵の出方論」を採用し,暴力革命の可能性を否定することなく(注2),現在に至っています。
 こうしたことに鑑み,当庁は,共産党を破壊活動防止法に基づく調査対象団体としています。

(注1) 共産党は,「(武装闘争は)党が分裂した時期の一方の側の行動であって,党の正規の方針として『暴力革命の方針』をとったことは一度もない」(3月24日付け「しんぶん赤旗」)などとしていますが,共産党自身が5全協を「ともかくも一本化された党の会議であった」と認めています(第7回党大会中央委員会報告,昭和33年)。

また,不破哲三前議長と上田耕一郎元副委員長の共著「マルクス主義と現代イデオロギー」 では,当時の武装闘争について,次のように述べています。 「たんに常識はずれの『一場の悪夢』としてすまされることのできない,一国の共産党が全組織をあげ,約2年間にわたって国民にさし示した責任のある歴史的行動であった」

(注2) 共産党は,「『議会の多数を得て社会変革を進める』-これが日本共産党の一貫した方針であり,『暴力革命』など縁もゆかりもない」(3月24日付け「しんぶん赤旗」)などと主張していますが,同党が,日本社会党の「議会を通じての平和革命」路線を否定してきたことは,不破前議長の以下の論文でも明らかです。

 ○ 「『暴力革命唯一論』者の議論は,民主主義を擁護する人民の力を無視した受動的な敗北主義の議論である。しかし,反対に『平和革命』の道を唯一のものとして絶対化する『平和革命必然論』もまた,米日支配層の反動的な攻撃にたいする労働者階級と人民の警戒心を失わせる日和見主義的『楽観主義』の議論であり,解放闘争の方法を誤まらせるものなのである」(不破哲三著「日本社会党の綱領的路線の問題点」)
このように、共産党は過去に殺人事件、暴力事件を起こし、今なお、暴力革命を放棄していないが故に、調査対象だとしているのですね。まぁ、普通の反応だと思います。


7.魔女狩りに陥るな


現在、共産党は暴力革命に訴えるかどうかは、敵の出方によるとする「敵の出方論」を取っていますけれども、これについて、公明党はから「敵の出方論を否定できない共産党」として、次のように指摘されています。
日本共産党は、同党が「暴力革命の方針」を堅持していることを国民の目から隠そうと、その根拠と指摘される「敵の出方」論について、「『敵の出方』という表現そのものを廃棄することを明確にしている」(志位和夫委員長)との弁明を繰り返している。

だが、なぜ「表現を廃棄」という回りくどい言い方をしなければならないのか。

本当に「敵の出方」論“そのもの”を廃棄する気があるのなら、あえて「表現」という文言を付け加える必要はないはずだ。

14日付の小欄でも簡単に触れたが、共産党が直接的に「敵の出方」論を否定できないのは、それが、同党が「理論的な基礎」(党規約)とする科学的社会主義=マルクス・レーニン主義と切っても切り離せないからであろう。

志位氏は8日の党会合で「敵の出方」論について、「どんな場合でも、平和的・合法的に、社会変革の事業を進めるという日本共産党の一貫した立場を説明したものにほかなりません」と強調してみせたが、口から出任せも甚だしい。

そのことは、同党が革命戦略として「敵の出方」論を確立した淵源をたどれば、容易に分かる。

「敵の出方」論は、志位氏自身が8月の講演で「現綱領の基礎」と言及した1961年綱領を採択する過程において、後に同党の最高権力者となる宮本顕治氏が打ち出したものだ。

58年の第7回党大会で「綱領問題についての中央委員会の報告」を行った宮本氏は、同党が暴力主義的破壊活動を展開する基となった51年綱領について、「暴力革命不可避論によってみずからの手をしばる態度」を「あやまり」と退ける一方、「平和革命必然論の立場」も「とるべきではない」と切り捨て、革命が「平和的となるか非平和的となるかは結局敵の出方による」と表明した。

そして、この「敵の出方」論を「マルクス・レーニン主義の革命論の重要原則」と意義付けた。

こうした経緯は宮本氏の著「日本革命の展望」に詳細に記されており、これに照らせば、「どんな場合でも、平和的」などという志位氏の発言が“真っ赤なウソ”であることは明らかだ。

共産党がマルクス・レーニン主義や61年綱領を「基礎」として奉ずる限り、「敵の出方」論を否定することはできないのではないか。
「敵の出方による」ということは、敵の出方によってこちらも対応を変えるということです。つまり、平和的にも、暴力的にもなれるという訳で、「敵の出方」論そのものを否定しない限り、「暴力革命の方針」を捨てたことにはならないという訳です。

自民党が「社会的に問題が指摘される団体」との関係を断ち切ると宣言し、そのように動くのは結構ですけれども、何が問題なのか、あるいは、どういう違法行為を行ったのかをきちんと指摘しないまま、ただ関係を切るようなやり方は、やはり「魔女狩り」であり、適切な方法だとはいえないのではないかと思いますね。


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この記事へのコメント

  • みどりこ

    自民党はGHQに作られた政党です。
    日本にたいしてまともであるはずがありません。
    アメリカ左派に対してまともであるのです。
    2022年09月06日 16:31