習近平軟禁説

今日はこの話題です。
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1.習近平軟禁説


ネットの一部で中国の習近平主席が軟禁されたのではないかという噂が広まっています。

その背景について、元拓殖大学海外事情研究所教授の澁谷司氏は自身のYoutubeチャンネルで次のように述べています。
・カザフスタンとウズベキスタンを訪問していた習近平主席が16日夜中に中国に戻ってきた後、軟禁された。
・胡錦濤前主席をトップに据えたとも言われている御年105歳の長老中の長老、宋平氏がある会で「改革開放をした方がいい」と発言。
・この発言は5月17日に他のサイトなどで取り上げられたが、あっという間に削除された。
・宋平氏は、西部戦区(成都軍区と蘭州軍区が統合)の政治委員をやっていて軍事的にものすごく影響力がある人物
・胡錦濤や温家宝ら前政権の人達が、このままでは中国共産党も立ち行かなくなっていく、またゼロコロナ政策が人民を疲れ果てさせていると、宋平氏を説得した。
・宋平氏が動き、習近平主席が外遊から戻ってきたら軟禁しろとなった。
・今にして思えば、宋平氏の改革開放発言もクーデターのための下準備だったかも。
・9月19日に王毅外相がアメリカで米中関係に関する「5つの確かなこと」を話したが、その2番目に「中国の改革開放への決意は確かなものである」と言った。
・習近平主席は改革開放が嫌い。にも関わらず王毅外相が改革開放を言い出した。これは党中央で何かあったとしか言いようがない。
・9月20日の人民日報の記事に「能あるものは出世し、能なきものは降りよ(能上能下)」という文言が急に出てきた。これは習近平主席が近々降りる予告ではないかといわれている。
・9月8日、瀋陽軍区で大規模な内戦があった。そのトップである李橋銘が北部戦区司令官を解任され、王強が北部戦区のトップになった。
・ところが解任された筈の李橋銘が9月21日の軍事セミナーに最前列の真ん中で出席している。
・この軍事セミナーには習近平主席も出席しなければならないところ欠席している。また、習近平派の代表であるこのセミナーの部長も欠席している。
・9月23日の人民日報の記事では「習主席」の文字の前に「党中央」という文字が付け加えられている。これは党中央が主導しているという意味になると言われている。
・記事そのものは習主席を称えるものなのだが、本来要らない筈の「党中央」の文字があるのはおかしい。
・10月9日に党大会(第19期7中全開)があるが、その前かその時は、近いうちに習近平主席に対する処分が発表されるという噂がある
・習近平主席は9月16日に戻ってきてから10日近く経つが一度も姿を現していない。やはり習近平主席の軟禁は事実ではないか
・以前、習近平主席の今後には4つのシナリオがあると示したことがある。それは「習近平主席が総書記と国家主席と軍人主席の3つを占める」「総書記を降りて、国家主席と軍事だけ」「国家主席だけ」「全部降りる」だ。
・私は2番目か3番目と思っていたが場合によっては全部降ろされる可能性が出てきた。
澁谷氏によると、中国の長老達が力を合わせて習近平主席の排除に乗り出したというのですね。




2.大長老・宋平


澁谷元教授の説明でキーパーソンとして挙げられた宋平氏は、胡錦濤前総書記を甘粛省から北京に推薦し、共産主義青年団中央委員会書記となった中国共産党の長老中の長老です。

宋平氏の引退までの経歴をWikiPediaから拾うと次の通りです。
1934年、北平大学(現在の北京大学)農学部に入学し、後に清華大学に転入。1936年、学生の愛国組織である「中華民族解放先鋒隊」に参加。翌1937年、中国共産党に入党。日中戦争終結後、国共内戦が始まるまでの間、周恩来の秘書を務めた。

1952年以降、国家計画委員会委員や副主任を歴任。後に中国西北部での活動に従事し、中国共産党中央西北局委員や西北局計画委員会主任などを務める。

1972年、甘粛省党委員会書記兼革命委員会副主任(副省長)に就任し、1977年6月に同省の党委第一書記兼革命委員会主任(省長)に昇格。第一書記時代(1977年6月 - 1981年1月)に胡錦濤、温家宝ら30代の若手を庁長クラスに抜擢、胡錦濤は中国共産主義青年団で幹部育成プログラムへの参加を薦められ、温家宝は後に中央入りした。

1981年に国家計画委員会に移り、第一副主任(副大臣級)となる。1982年9月の第12回党大会で中央委員に当選。1983年6月、国家計画委員会主任(大臣級)に昇格し、国務委員(副首相級)を兼任。1987年5月、党中央組織部長に就任し、同年11月の第13期1中全会で党中央政治局委員に選出される。1989年6月、天安門事件を受けて開催された第13期4中全会において中央政治局常務委員に昇格。

1992年9月、第14回党大会で引退。胡錦濤を江沢民党総書記の後継者に推薦する。鄧小平も同意し、胡錦濤は49歳で政治局常務委員となった。
なんと、周恩来の秘書を務めたというのですから、半ば歴史上の人物といっていいでしょう。

この宋平氏が、9月12日、北京の万寿ホテルで開催された江蘇省COSCO高齢者支援基金会の10周年総括・表彰大会にビデオで祝辞を述べました。

宋平氏は「社会はこのようにもっと良い仕事をしてくれることに感謝すべきです。財団が困窮者を助け、高齢者を助けるためにもっと良い仕事をすることを望みます……財団の10周年総括表彰会の成功を祈念しています」と述べ、更に「改革開放は中国の発展のための確かな道だ」と言ったと噂されています。

一部のメディアは、宋平氏が「改革開放は中国の発展の道」と言及した後、ビデオで話し終わる前に、中国共産党中央委員会党校の元常務副主席、余雲耀氏の発言が挿入されたと報じています。

また、一部のネットユーザーは、この宋平氏の改革開放への言及に関する文章も削除されたと主張しています。

それでも、この宋平氏の発言は様々な憶測を呼んでいます。

中国メディアのベテラン、黄鵬氏は「"宋平"の登場は習近平の総体的な情勢を安定させるためと思われ、必ずしも中央政権を混乱から維持する野党勢力ではないと個人的には判断している。 というのも、宋平はかつて中央組織相として主に組織業務(幹部の登用)を担当し、党内の多くの後継者選びが彼に連動していたからだ。 これには、"助っ人"であるはずの胡錦濤や習近平も含まれている」と述べています。

また、中国の学者である顧清天氏は「彼は鄧小平時代の出身で、胡耀邦の後を継いで中央組織部長を務め、改革開放後は組織部長在任中にほとんどの幹部が承認されましたが、宋平はどれほどの政治的影響力を持つと思いますか。彼こそ老害である。周恩来の機密秘書を1期務め、その後の政治的成功はほとんどなく、平和的な官僚(現状に満足し、進歩を考えず、対立を避け、責任を取る勇気がない)であった」と、中国の政治舞台での役割は極めて限られており、宋氏の改革開放支持について外部は過大に解釈していると指摘しています。


3.復活した李橋銘


更に、澁谷元教授は、瀋陽軍区で大規模な内戦があったと述べていますけれども、これは、9月8日午前2時頃、「北部戦区」の遼寧省瀋陽市于洪軍用飛行場で、激しい銃声、爆発音、戦闘機の音が聞こえたと報じられた件だと思われます。

この日、習近平主席は、突然、王強を上将へ昇進させ、「北部戦区」の新司令官に任命。一方、李橋銘・前「北部戦区」司令官は、行方不明となっていました。

習近平主席は8月17日、北戴河会議直後に遼寧省錦州市の遼瀋戦役記念館を視察。その後、「北部戦区」駐屯地の瀋陽市へ移動し、瀋陽軍の大佐以上の将校と接見しています。けれども、この時、李橋銘は「改革・開放」を支持し、主席の3選には賛同しなかったと伝えられています。

現在、李橋銘は61歳と65歳定年にはまだ時間があるのに、行方不明ということは、"失脚"したのではないかと噂されていたのですね。

実際、昨年12月、習政権のウイグル政策を批判して習主席に批判された劉亜洲将軍が、同じ将軍の弟と同時に家宅捜索を受けて、行方不明になっていると伝えられています。

これについて、オーストラリアの法学者、袁紅冰氏は、党内情報として、「劉亜洲が内部統制下にあるのは、太子党を代表して公然と「反習」を掲げ、主席の3選を阻もうとしたからだ」と述べています。

そうした中、ここにきて、李橋銘が、軍事セミナーに姿を見せたことで、実は"失脚"しておらず、その裏には習近平主席の軟禁があるのではと憶測を呼んでいるという訳です。


4.ガセネタの発信源はアメリカ


澁谷元教授は、習近平主席軟禁の可能性は高いのではないかと述べていますけれども、その一方で、それはガセネタだという意見もあります。

9月24日、ロシアのプラウダ紙は、「米国発の中国のクーデターと習近平の辞任に関する投書」という記事を掲載しました。
記事の概要は次の通りです。
・中国では、SCOサミットから帰国した習近平がクーデターを起こし、「党の同志」によって辞任、さらには逮捕されるという噂が、Twitterだけでなく、ソーシャルメディアやTelegramで流れている。

・最も一般的な説明は、若い共産主義者が中共大会の前に「偉大な指導者」習近平を追放し、自分たちの権力を握ることを決めたとされ、中でも、SWOと西側の制裁に直面してロシア支援を停止することであるという。

・投書の背景には、「北京近郊の80キロに及ぶ軍備の車列」の映像や、中国共産党委員長が9月23日以降「公の場に姿を現していない」とされる憶測がある。

・「北京は静かだ、戦車も軍隊もない、役人もメディアもみな平静だ……Twitterから来たもので、今はWeChatに投稿しようとしている。情報源はアメリカ出身の中国人女性で、習氏、共産党、国を批判している……クーデターはない、信じるな」と、北京在住のITブロガーのWu Hong氏はプラウダに語っている。

・また、習近平の辞任と中国でのクーデターに関する投書の発信源であるジェニファー・ツェン(曾錚)は、以前から「中国共産党が仕掛けたコロナウイルス」に関する挑発や、自身の動画チャンネルで常にPRしていることでも知られているとテレグラムは論評している。

・プラウダは先日、ウラジーミル・プーチンが習近平と合意し、解放された領域で住民投票を実施したことは、「NATO・ウクライナ同盟に打撃を与えた」と報じた。
記事では、クーデター説の発信源がアメリカで、実際、北京は静かで何も起こってない。だからデマだと主張しているのですけれども、そう言っているのがロシアのプラウダ紙ですからね。半分眉唾で見てよいかもしれません。


5.真偽は国慶節で明らかになる


それ以外でも、クーデターの可能性は低いとする見解もあります。

著名ユーチューバーのHaranoTimes氏はクーデター説について次のように述べています。
・習近平が軟禁された可能性は低い。中共の重要な会議、特に重要な人事のことが決まる会議の前後にはたくさんの噂が飛び回る。
・この噂が出たのは北京で行われた国防と軍隊の改革研究会が行われた後だが、習近平と彼の側近の国防長官は出席しなかった。
・またこの前クーデターに関与した、もしくは計画したという理由で降ろされたと言われている解放軍の上層部がその会議に姿を現して無事であることをアピールしたことから、習近平が軟禁されたと予測されている。
・しかし、この国防と軍隊の改革研究会はチームが出来上がって9回研究会が行われたが、習近平が参加したのは前の3回だけで今回を含む6回は参加していない。
・そもそも中国の国防長官はこの研究会のメンバーではないし、これまで1度も参加したことはない。
・従ってこれだけで習近平が軟禁されたと判断するのは強引だ。
・またその研究会が行われた日の飛行機がかなりキャンセルされたことから空軍が行動したという説もある。
・しかし状況を全体的に見ると、パンデミック対策で毎日のように飛行機が大量にキャンセルになっているので、これも特別な状況ではない。
・習近平が16日に中国に戻ってから姿を現していないことから、彼が南京されたという予測の根拠にもなっているが、中国の複数の重要な国営メディアが9月20日に習近平の指導で解放軍が生まれ変わったという習近平を賞賛する記事が発表されたことから、少なくともそれまで習近平に権力があったのがわかる。
・また、9月22日に習近平の暗殺などにも関与したと言われ、逮捕された公安上層部と関係がある人が一気に裁判を受けてそのうちの一人は死刑猶予執行の判決が下された。つまり習近平の影響力はまだ存在するのがわかる。
・もし習近平が軟禁されたなら、習近平だけではなく彼の周りの人も一緒に軟禁されるし、彼と周りの人が一緒に軟禁されるならその情報は隠せなくなる。
・習近平が外遊していた時、中共の元上層部たちが手を合わせて、習近平の権力を奪ったという話があるが、習近平の側近がまだ中共の上層部を監視・コントロールする部門のトップにいる以上、彼らが簡単にそんなことはできないと思う。
・クーデターを成功させるには、まず、その成果を公開してもっと支持を求めることが基本であるから、主流の国営メディアをコントロールして、そこ経由で情報を出す筈。しかし今回は単純な噂話であり、これらが成功したような感じではない。
・ただし、習近平に消えてほしいと考える人が多く、その情報を信じたいから広く拡散されていると思う。
・習近平にとって最も重要なことは、来月の会議をめぐる権力闘争だ。
・今まで習近平が1週間以上姿を消したことは何度か起きた。
・彼が中共のトップになる前の2012年も約2週間姿を消した。その後の報道によるとその時の権力闘争がかなり激しかったそうだ。
・ただ、噂の可能性が高いとはいえ、このような情報が流れることは、習近平のコントロール力を低下のサインであると見る人も多い。
・ウクライナ戦争が起きた後、習近平の立場は中国とアメリカの関係にさらに傷をつけ、中共の上層部の資産に傷をつけるやり方だ。
・ウクライナ戦争でロシアの結果が悪くなれば、習近平も同じプレッシャーを受ける。つまり、これからのウクライナ戦争の結果は習近平の再選にも大きな影響を与える。
・それ以外に習近平のゼロコロナ政策の圧迫で、国民が限界に来ていることも再選への大きな障壁の一つになるだろう。
・火のないところに煙は立たない。習近平が会議に参加した後、急に帰国したことから国内のことがかなり心配であるのが分かる。
・間もなく、中国の国慶節がくるので、習近平が姿を消したとは言ってもそれまでには姿を出すから、遅くてもあと1週間以内に状況が少し明らかになるかもしれない。
HaranoTimes氏の推論のベースにしたソースは、冒頭に触れた澁谷元教授のそれとほぼ同じです。けれども、そこから互いに逆の結論を推測していることは注目に値します。

更に、評論家の石平氏も、HaranoTimes氏とほぼ同じ理由で、習近平軟禁説はガセと述べています。

現時点ではまだ噂の段階です。HaranoTimes氏のいうように、10月の国慶節で習近平主席の動向が明らかになることを期待したいですね。





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