日本列島を飛び越えた北朝鮮の弾道ミサイル

今日はこの話題です。
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1.日本列島を飛び越えた北朝鮮の弾道ミサイル


10月4日朝、北朝鮮は弾道ミサイル1発を発射し、東北地方の上空を通過させ日本のEEZ外側の太平洋に着弾させました。

北朝鮮が日本の上空を通過する形で弾道ミサイルを発射するのは5年前の平成29年9月以来のことです。

日本政府によると、北朝鮮が発射した弾道ミサイルは、これまでで最長と考えられる約4600キロ飛行し、日本の東およそ3200キロに着弾したようです。

過去を振り返れば、北朝鮮は平成10年に「テポドン1」を発射し、約1600キロ離れた太平洋上に落下させ、初めて日本上空を通過させました。その後、平成21年に国際機関に落下地域を事前通告して「人工衛星の打ち上げ」と称して発射。平成24、28年には事前通告の上で南西諸島上空を通過するコースで約2500~2600キロ先のフィリピン沖に着弾させています。

そして、直近の平成29年には8月と9月に中距離弾道ミサイル級を続けて発射。9月の発射では約3700キロ先の太平洋上に落下させています。

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2.狙ったら5分で着弾


今回の北朝鮮が発射したミサイルはこれまで4回発射の中距離弾道ミサイル級「火星12型」と同型の可能性があると見られており、韓国軍合同参謀本部は弾道ミサイルについて、約4500キロ飛翔し、最高高度は約970キロ、速度はマッハ17に達したと、日本政府のそれとほぼ同じ観測結果を発表しています。

今回のミサイルに対して自衛隊による破壊措置は実施していないということですけれども、松野官房長官は、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域および国際社会の平和と安全を脅かすもの」とする非難声明を発表しています。

先日、中国が台湾周辺での軍事演習中に日本のEEZにミサイルを撃ちこんだ時、国家安全保障会議を開かなかったと批判されていましたけれども、その声が届いたのか、今回、岸田総理は朝8時44分から9時1分ごろまで、国家安全保障会議を実施。「最近の度重なるミサイルの発射に続く暴挙であり、強く非難する」と述べ、船舶の被害確認など情報収集のほか、関係国との連携を指示しています。

ただ、防衛省によると、発射が7時22分頃で、青森県上空を通過したのが7時28分から29分に掛けて、着弾が7時45分頃とのことですから、完全に事が終わってから国家安全保障会議を開いたことになります。もしこれが青森の何処かを狙って撃ったのだとしたら全然間に合ってません。

発射からわずか5分かそこらで着弾となると、ほぼ即断で迎撃命令を出さねばなりません。


3.ロシアが糸引く威力偵察


今回の発射を受け、韓国の尹錫悦大統領は「このような無謀な核挑発は韓国軍をはじめ、同盟国と国際社会の決然とした対応に直面するだろう」と批判し、韓国の国家安全保障会議で、日米韓3か国の安保協力の水準を高めていくための協議を指示したとしています。

また、アメリカも声明を発表し「北朝鮮が日本を越えて長距離弾道ミサイルを発射するという危険で、無謀な決定をしたことを強く非難する……今回の行動は地域を不安定にし、北朝鮮が国連安保理決議と国際的な安全規範をあからさまに無視することを示したものだ」と強調。サリバン大統領補佐官はこの日、日本の秋葉国家安全保障局長や韓国の金聖翰国家安保室長とそれぞれ電話会談を行ったということです。

今回の発射について、先週、日本海で行われた「日米韓3か国の共同訓練に反発し、これに対抗する意図がある」という分析や、アメリカ軍の重要拠点であるグアムを射程に収めることを誇示する狙いがあるなどという観測がありますけれども、筆者はそれ以外に威力偵察的な面もあるのではないかと思います。

つまり、日本列島を飛び越える弾道ミサイル発射によって、日本政府と自衛隊およびアメリカ軍の動きを観察しているのではないかということです。

昨日のエントリーでここのところの北朝鮮の度重なるミサイル発射は、ロシアからの依頼による技術検証の意味があるのではないかと述べましたけれども、そうだとすると、同じく、ロシアの依頼で陽動的にミサイルを発射してくることだって考えられる訳です。

仮に、北朝鮮が日本領土や領海にミサイルを撃ちこんできたら、今の日本政府ではオタオタするだけで何もできない可能性が高いですし、アメリカもそれに手を取られて、ウクライナ対応が後手を踏むかもしれません。

なんとなれば、ロシアがウクライナに対しミサイル攻撃をするのとタイミングを合わせて、北朝鮮にバカスカミサイルを撃たせてやれば事実上の二正面作戦になりますからね。

ミサイル発射とサイバー攻撃を同時にやられた日には大パニックになることは十分に考えられます。

今はまだ被害が出てないからいいようなものの、いざ戦時では後手を踏むことは即、死に繋がります。岸田総理には果断な決断ができるよう普段から準備を進めていただきたいと思いますね。


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この記事へのコメント

  • Naga

    > 前々間に合ってません。===> 全然間に合ってません。

    迎撃は、技術的に可能だとしても、普段から四六時中臨戦態勢で警戒しないと無理と言うことですね。もちろん予め「探知したら迎撃しろ」という命令を出しておかないと、「何とか事態」と認定したから「迎撃Ok」などとやっていたら間に合わないということですね。
    野党も子言うところを追求したら良いと思うのだが、内閣ごっこで防衛大臣も置かないようなアホ、もといバカどもだから無理ですね。
    そもそも日本に軸足を置いていないですからね。
    こんなことを追求したら、迎撃なんてできるのか? 反撃能力を持つべきではないのか? 先制攻撃をしないと無理では? などという極めて合理的な議論になるから宗主国様に叱られるのでしょうね。
    2022年10月05日 17:57
  • Naga

    誤変換を指摘しながら自分も間違いました。

    野党も子言うところを ===> 野党もこう言うところを
    2022年10月05日 18:01
  • 日比野

    Naga様
    ご指摘ありがとうございます。修正しました。
    2022年10月05日 20:08