テレ朝社員・玉川徹の謹慎処分について

今日はこの話題です。
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1.テレ朝・玉川徹氏に10日間の出勤停止処分


10月4日、テレビ朝日は、6月に新社長に就任した篠塚浩社長と早河洋会長らが定例社長会見を行いました。

この日の会見で、4日付で社員3人の処分が発表されたのですけれども、これについて篠塚社長は次のように述べています。
報道局の社員3名の懲戒処分を本日付で行ったので、ご報告させていただく。

まず、報道局情報番組センター所属で「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーター、玉川徹は謹慎、出勤停止10日間だ。それから報道局情報番組センター長と「羽鳥慎一モーニングショー」担当のチーフプロデューサーの2名については譴責とする。玉川については、先月28日、「羽鳥慎一モーニングショー」で事実に基づかない発言を行い、その結果、番組および会社の信用を傷つけ、損害を与えたことによる処分だ。

また、センター長とチーフプロデューサーについては、その管理監督責任を問う処分となる。今回、当社の番組で事実に基づかない発言があったことは、誠に遺憾に思っている。今後、再発防止に向け、さらに指導を徹底する。ご迷惑をおかけした関係者・視聴者の皆様に改めて心よりおわび申し上げる。
このように、事実に基づかない虚偽発言を行ったことによる処分だとしています。

これに対し記者から「出勤停止10日間の後は番組に復帰するのか。また、どのような再発防止策を講じていくのか」と問われた篠塚社長は「関係者のヒアリングなども含めて、会社の規定に従って処分を決定した。出勤停止10日間が明けた段階では番組に復帰するという予定だ。番組も本人も含めて深く反省しているので、改めて指導を徹底して、二度と起こらないようにしていくつもりだ」と答えました。

また、「玉川氏は、今回の件についてどういう言葉で反省の弁を述べているのか」という質問に対しては「『関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしました』と深く反省している」と答えています。


2.電通に対してああいう物言いはあり得ない


件の放送で玉川氏はどのような発言をしたのか。

9月28日の放送では前日行われた安倍元総理の国葬について取り上げたのですけれども、多くの涙を誘った、菅義偉前首相の弔辞に対して「まぁ、これこそが国葬の政治的意図だと思うんですよね……個人的な付き合いのあった人は、当然、悲しい思いを持って、その心情を吐露したのを見ればですね、同じ人間として胸に刺さる部分はあると思うんですよ。しかし、たとえばこれが国葬じゃなくて、自民党、内閣葬だった場合に、テレビでこれだけ取り上げたり、また、この番組でもパネルで紹介したり、さっきのVTRを流したりしたかというと、なってないですよね。つまり、国葬にしたからこそ、そういう風な部分を我々は見る形になる。僕も仕事上、見ざるを得ない」と発言。

続けて「国葬というものがありました。あの時には、ああいう風な胸に刺さる言葉がありました。そういう風な形で既成事実として残るんですよ。これこそが国葬の意図なんですね。だから、僕は、国葬自体がやっぱりない方がこの国にはいいんじゃないか。これが政治的な意図だと思うから……僕は演出側の人間ですからね。テレビのディレクターをやってきましたから。それはそういう風に作りますよ、当然ながら。政治的意図が匂わないように、それは、制作者としては考えますよ。当然、これ、電通が入ってますからね」と、電通による演出だと述べたのですね。

この発言について、別の民放テレビ局社員は「民放のテレビマンなら、電通を敵に回すようなことを軽々に言いませんよ。玉川さんが現場しかやってきていないので分からないのか、テレビ局の営業からすると、電通マンのほうが立場は上のことが多い……ひと昔前なら、テレビ局の営業が電通に下手を打ってしまったら、土下座して謝罪したり、自ら丸坊主にして謝罪しに行った者もいましたね。スポンサーを取ってきてくれる電通に対して、ああいう物言いはあり得ない。ネット掲示板の中で都市伝説化しているような“黒幕=電通”説を報道番組で裏取りもせずに発言していたのを見て絶句しましたよ」と電通の存在の大きさを語っています。

電通は、過去に過労死問題で世間の批判を浴びたことがあり、最近も、電通出身で、東京五輪の組織委員会元理事・高橋治之容疑者の言いなりになっていたことが明らかになっていますけれども、あるワイドショー関係者は、「世間の電通へのイメージはどうしても悪くなっており、汚名返上をしたいと考えているときに、玉川氏がケンカをふっかけてきた。相当怒り心頭でしょう……ただ玉川氏だけが悪いとは言いません。あの発言をオンエア中に撤回させ謝罪させなかった番組制作サイドの責任も非常に大きい。人気のある玉川氏に気を使い、物申せるスタッフがいなかったのでは」とコメントしています。

また、件の放送翌日の9月29日、ある政治部記者は「玉川さんの発言には、安倍元総理の国葬に反対する層の溜飲を下げたいという意図があったのだと思います。また、菅政権下で開催された東京五輪を巡っては、電通の元専務である高橋治之容疑者が逮捕された。それらをないまぜにして、国葬に"政治的意図"を感じると話したわけです。ただ、安倍さんと菅さんに深い親交があったのは紛れもない事実で、弔辞の内容は明らかに菅さん自身の経験がベースになっています。歯に衣着せない発言で知られる玉川さんは、これまで何度も『モーニングショー』で謝罪を繰り返していますが、今回の失言は過去の案件と比べてもはるかに問題です。一国の総理経験者が述べた弔辞に意見するのであれば、それなりの根拠が必要でしょう。そもそも、玉川さんが番組内で単に謝罪しただけで済む問題なのか。テレビ朝日としての見識が問われる事態だと思います」と語ったそうですけれども、テレビ朝日はこの発言への処分として「10日間の謹慎」を命じた訳です。

ただ、気になるのは、関係者の皆様にお詫びはしても、玉川氏の発言で侮辱された菅前総理に対する謝罪の言葉が一切ないことです。処分の対象になったのは事実に基づかない部分、すなわち「電通が入っていた」という部分であって、菅前総理の弔辞が「演出」だったとする発言そのものの主旨は撤回するといっていないのですね。

要するに10日間の謹慎は「電通」または「視聴者」に対するものにしかすぎず、菅前総理に対する処分は等閑になっているのではないかと思います。


3.世論二分というブーメラン


今回のテレビ朝日の社長会見で、先述の政治部記者が指摘した「テレビ朝日としての見識」は「10日間の謹慎」だということになったのですけれども、ネットでは、不十分だとの声が挙がっています。

例えば「10日間、番組出演をお休みするだけではないのか!」、「処分が明らかに甘い」、「菅前総理に直接お詫びに行ってほしい」、「出勤停止10日とは、呆れるばかり。番組を降板して然るべきですね」とか、「謝罪せずに引退してください」などです。

経済評論家の上念司氏は「10日間?10年間の間違いじゃないのか」という旨の発言までするほどですからね。10日間の謹慎では軽いという見方は少なからずあるようです。

一方、ここまで炎上するのは、国葬賛成派によるものではないかという指摘もあります。

曰く「世間のプレッシャーに負けて処分したんだろな 国葬賛成派とか玉川さん嫌いなひとにとっては鬼の首をとったかの勢いでさぞ嬉しかろうね」、「玉川氏の発言への批判は大方国葬賛成派の人達」、「玉川さんを批判しているのは、ネトウヨとかどこぞのカルトの運動員でしょ」などなどです。

これについて、ある芸能記者は「大手広告代理店の調査による『嫌いなコメンテーターランキング』で玉川氏は2位でした。調査には『自信家なのか、いつも上から目線』『この人がまっとうな意見を言っても、胡散臭く感じる』などの手厳しいコメントが数多く寄せられました。ですから、国葬への賛否は別として、普段偉そうな人が、ミスをしたということで"反玉川派"が鬱憤を晴らしているという側面はあるのでしょう……テレビ朝日にとって致命的なのは、彼が会社員であるということです。外部のコメンテーターの発言が問題になるよりも、責任は重いでしょう。とはいえ、批判の声にだけ耳を傾けて玉川氏を降板させてしまうと、それはそれで『圧力に屈したのか』と批判されかねない。かなり難しい舵取りを迫られています」とコメントしています。

安倍元総理の国葬を巡っては、マスコミは反対が賛成を上回っているだの、反対派の声をさんざん報じてきました。ところが蓋を開けてみれば、安倍元総理を弔う人が長蛇の列を為すなど、マスコミが間違っていたことが証明されました。

もしも、玉川氏の発言を巡って世論が二分されたとするならば、これはマスコミが国葬反対を煽ったことへの因果応報ではないかと筆者には思えてきます。

岸田総理はマスコミ世論の反対の声に挫けそうになりながらも、国葬をやり遂げましたけれども、果たしてテレビ朝日はどう処理するのでしょうか。




4.安倍さんというのは凄いんだ


謹慎となった玉川氏は10月4日の放送回まで出演していたのですけれども、この日は、ヤクルトの村上宗隆内野手が56号本塁打と3冠王を伝えていました。

この時、玉川氏は「野球のことはよくわかりませんけど、人間としてすごい。最後の1打席しかなかったんでしょう。この一瞬で力を出せなければダメだ、という時に出す、ということなんですよ。これは野球に限らず、この村上さんというのはすごいんだ、と僕は思いました」などと素直に褒め称えていたのですね。

大記録を打ち立てた村上選手を評価するのはごく自然のことだと思いますけれども、では、玉川氏は安倍元総理も同じようにその実績を評価していたのか。

7月26日、地政学者の奥山真司氏は、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演し、安倍元総理の海外における評価について次のように解説しています。
奥山)やはり「世界の安倍晋三」だったなと思います。海外のリアクションで安倍さんを評価するものが圧倒的に多く、正直びっくりしました。日本のなかでの扱われ方とは違ったのだなと思います。安倍元首相の功績は3つあると思います。

新行)3つ。

奥山)1つ目は意外かも知れませんが、「長期政権ができた」ということです。外国からすると、日本の顔が初めて見えた首相なのです。日本は長期政権ができたことがあまりありません。小泉さんのときは5年間務めていましたけれど、平成になってからは首相が毎年変わっていたので、海外ではよく悪口として「リボルビングドア(回転ドア)」と言われていました。毎年首相が変わるという悲惨な状況があったのですが、安倍さんは長期でやってくれたということです。

新行)長期で。

奥山)2つ目は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」です。こういう構想を自らビジョンとして出して、外国に売り込み、それにアメリカが乗った。しかもアメリカはトランプ政権だけでなく、そのあとのバイデンさんもこれに乗りました。2つの政権が日本の首相が出したビジョンに乗り、「これでやろう」と言ってくれるというのは、なかなかないことです。

新行)「自由で開かれたインド太平洋」構想を。

奥山)3つ目は安保法制関連です。日本は「安全保障においても世界に貢献しよう」ということで、とりわけ国家安全保障会議(NSC)を創設し、日本が主体的にトップダウンの形で軍事・安全保障関係をすべて主導できるような形にした。インフラを整えたところが大きな功績だと思います。

新行)各国からはどのような声が上がっていますか?

奥山)追悼記事が大量に書かれたことが、まず1つの驚きでした。大きな傾向が3つあると思うのですが、1つ目は「安倍さんは日本のなかの右翼だった」という言い方で、ナショナリストのようなことを批判しつつも、全体としては功績を評価する肯定的なものです。

新行)肯定的なものであった。

奥山)2つ目は、「自由主義の国々と第三世界、後進国の真ん中に日本がいて橋渡しをしてくれた」というコメントをよく見ます。そのような内容でインドのモディ首相がツイッターに長い追悼文を書いていて、感動的でした。先進国だけではないということです。

新行)後進国も。

奥山)3つ目の傾向は「反グローバリズム」、「安倍さんはグローバリズムに対抗したのだ」というような捉え方をしている人がいました。ブラジルのボルソナロ大統領は、「安倍元首相は世界が我々を侵略しようとしてくるのを止めてくれた」というようなことを言っています。「買いかぶりすぎかな」という感じはするのですが、そういう見方をしていました。総じて悪く言っている人は当然ですが、ほとんどいませんでした。中国も控えめながらしっかりと追悼の声明を発表していましたし、いろいろな国で評価されていたのだということを改めて感じました。

日本のやりたいことを明確に押し出したことが評価される ~長期政権によって世界の顔になり得た
新行)「いままでの日本の首相とは違う」というイメージがあったのでしょうか?

奥山)ビジョンを出しました。日本国内では「安倍さんは押し出しが強すぎる」ということで評価されづらかったのですが、海外からすると日本がやりたいことを明確に出し、「これがやりたい」と言ってくれた。主張の強さが逆に評価されたということはあると思います。

新行)伝わるということですね。

奥山)国際社会では、やりたいことを主張しなければ伝わりません。

新行)そうですね。

奥山)日本人にはないタイプの首相だったので、国内では一部から嫌われましたが、「これがやりたいのだ」ということを明確に出した。しかもみんなを引き込み、その上、長期政権を実現しました。他の国の首相が変わっても、安倍さんだけは変わらずにいるので「安倍さんに話をした方がいいのではないか」となり、中心的な人物になれたということが評価されたのではないでしょうか。

新行)各国から信頼も置かれていて、安心感があったということですか?

奥山)頼られる存在だったと言えると思います。トランプ大統領が座っていて、それに対してメルケルさんが机に乗り出して話している有名な写真がありますが、間では安倍さんが腕組みをしています。

新行)ありました。

奥山)この写真はまさに安倍さんが中心となって、メルケルさんのヨーロッパ側とトランプ大統領のアメリカ側との間に安倍さんが立ち、仲裁しているような感じです。議論の中心にいたということが明確に出ているいい写真だなと、私は思うのですが。

新行)かといって、八方美人というわけでもなかった。
奥山)嫌われてもいいから日本がやりたいことをしっかり出す。それは単なる太平洋だけでもないし、インド洋も含めた上で、アメリカも乗ってきている。中国の進出を抑えるためという意図はあるのですが、それ以上に「インド洋」と「太平洋」の2つの海を含んだ意味で「そこにみんな関与してくれよ」と、新しいものの見方を提供したということは素晴らしいと思います。

このように安倍元総理は海外から高い評価を受けていました。

玉川氏はこれについてどう思っているのか。

例えば、先述のヤクルト村上選手を称えたときのように、「政治のことはよくわかりませんけど、人間としてすごい。最後のお別れだったんでしょう。最後のお別れに万という人が花を手向けた。これは政治に限らず、この安倍さんというのはすごいんだ、と僕は思いました」と素直にコメントしていれば、世間の反応も今回とは大分違っていたのではないかと思いますね。


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この記事へのコメント

  • 内ゲバ60分のディレクターでもやるのがお似合いですな。
    2022年10月09日 07:55