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1.下げ止まらない内閣支持率
11月4~6日に掛けてNNNと読売新聞が行った世論調査で、岸田内閣を「支持する」と答えた人は36%と、前の月より9ポイント下がり、30%台に突入しました。内閣支持率は8月以降、緊急調査も含め5回連続で下落。政権発足以来、最低を更新しました。一方、「支持しない」は50%と、政権発足以来、最も高くなっています。
ただ、各々の政策に対する支持を個別に見ていくと、全部が全部「支持しない」という訳ではありません。
一部抜粋すると次の通りです。
◆新型コロナウイルスを巡る、日本政府のこれまでの対応を、評価しますか、評価しませんか。旧統一教会への調査や先日の総合経済対策などが支持されています。また、防衛力強化や反撃能力を持つことが支持され、北朝鮮、中国の脅威が指摘されるなどしていますけれども、これらは殆ど、安倍元総理、菅前総理がやろうとしていたことです。
・評価する:54% ・評価しない:38% ・答えない:9%
◆岸田首相は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡って、解散命令の裁判所への請求を視野に、調査を行うことを表明しました。岸田首相の対応を、評価しますか、評価しませんか。
・評価する:67% ・評価しない:24% ・答えない:9%
◆旧統一教会による被害者を救済するための法案を、今の国会で成立させるべきだと思いますか、思いませんか。
・思う:73% ・思わない:18% ・答えない:9%
◆あなたは、今後、日本が防衛力を強化することに、賛成ですか、反対ですか。
・賛成:68% ・反対:23% ・答えない:9%
▼【前問で「賛成」と答えた人だけ】防衛力を強化するための主な財源について、あなたの考えに最も近いものを、次の3つの中から、1つ選んでください。※
・国債の発行:36% ・社会保障費など他の予算の削減:33% ・増税:22% ・答えない:9%
◆自衛目的で敵のミサイル発射基地などを破壊する「反撃能力」を、日本が持つことに、賛成ですか、反対ですか。
・賛成:52% ・反対:41% ・答えない:7%
◆北朝鮮の核やミサイル開発を阻止するために、岸田首相は、適切に対応していると思いますか、思いませんか。
・思う:19% ・思わない:68 ・答えない:13%
◆中国で習近平政権が3期目に入りました。今後、日本の安全保障にとって、中国の脅威が高まると思いますか、思いませんか。
・思う:80% ・思わない:13% ・答えない:7%
◆政府は物価高に対応するため、家庭向けの電気料金を2割程度引き下げることなどを柱とした、総合経済対策をまとめました。この経済対策を、評価しますか、評価しませんか。
・評価する:62% ・評価しない:32% ・答えない:6%
◆日銀は、金融緩和を続けて景気の回復を目指していますが、円安が進む要因になっているとも指摘されています。あなたは、今後も、金融緩和を続けるべきだと思いますか、思いませんか。
・思う:35% ・思わない:46% ・答えない:19%
◆政府は、2024年秋に今の健康保険証を原則として廃止し、マイナンバーカードに一本化する方針です。この方針に、賛成ですか、反対ですか。
・賛成:44% ・反対:49% ・答えない:7%
つまり、国民は依然として、安倍・菅路線を支持しているのですね。岸田総理は、安倍元総理の暗殺直後に「安倍氏の思いを受け止め、引き継ぎながら日本について引き続きしっかりと責任を果たしたい」と安倍路線の継承を宣言しています。
2.仕事をしても支持されない
岸田首相、日本の税収「過去最高68兆円超」でも増税目指す…SNSでは怒りの声「なんで還元しない?」「国民の敵としか思えない」
世論調査で安倍路線の政策が支持されているにも関わらず、内閣支持率が下がっているということは、安倍路線と外れた政策があるか、外れてなくても、その政策を実行してくれるかどうか疑われているということではないかと思います。
実際、世論調査で、支持しない人たちの理由として多かったのは、「政策に期待できない(33%)」、「首相に指導力がない(24%)」、「自民党中心の政権だから(17%)」といったものでした。
個別の質問で、「思わない」が多数だったものは「北朝鮮の核やミサイル開発を阻止するために、岸田首相は、適切に対応しているか(68%)」で、「日本の安全保障にとって、中国の脅威が高まる」と思うのが8割。反撃能力を持つことに賛成が5割ありますけれども、安倍政権、菅政権であれば、確実に対応していたであろう項目です。
これについて、自民党の和田政宗参院議員は、経済対策が評価されないことで、内閣支持率が下がるのならわかるが、経済対策が評価されているのに支持率が下がるのはキツイとのべ、全国各地でいろいろな人から、経済対策は打ったが、どういう効果があるのかと、繰り返し聞かれたことから「経済対策の中身がしっかり伝わっていない」と指摘。更に、北朝鮮のミサイルという直接的な脅威に対応できていないことが支持率に出たのではないかとコメントしています。
また、政府で増税議論が次々と出ていることも影を落としていると思います。
10月末の政府税制調査会では、複数委員から「消費税率アップの議論をすべき」「10%のままで日本の財政がもつとは思えない」などの意見が出ていると報じられ、社会保障審議会の部会では、国民年金保険料の納付期間を5年間延長する議論がされ、2023年度から保険料の年間上限額を2万円引き上げ、年間104万円とする方針も了承されています。
更に、車の走行・重量・環境に応じて課税する「道路利用税」や、株式の譲渡益や配当から得られた所得に対する「金融所得課税」の見直しについても検討しているなどとも
報じられています。
ネットでは、昨年の総裁選で岸田総理が「消費税は10年引き上げない」、「すぐに増税で財政を埋めることは考えていない」と発言したことが掘り起こされ炎上するなどしています。
このあたりが「政策に期待できない」とか「指導力がない」に繋がっているのではないかと思います。
3.支持を繋ぎとめる方法
この支持率の低下は岸田総理も気にしているようで、ジャーナリストの門田隆将氏は、先週広島で講演した際、岸田総理の後援会のトップと会い、彼が危機感を抱いていると漏らしています。
何でも、岸田総理の表情が違ってきて、早口になり、かなり焦っていると語っていたのだそうです。
そういえば、先月、岸田総理が「こども食堂」や無料学習支援に取り組むNPO法人「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」を視察し、その模様が動画で公開されていますけれども、その時、現地の子供らと机を囲んだ岸田総理は、人差し指で小刻みに、勢いよく机を叩くなどする場面があり、ネットで「子ども嫌いじゃないにしても机指トントンは印象悪いなw」とか「見てて気分良くない」なとか話題になったことがありました。
06月23日のエントリー「しどろもどろの岸田総理と破壊力満点の立花党首」で、党首討論に臨んだ岸田総理がNHK党の立花党首の質問に対しては、それまでと明らかに異なった指の動きを見せていた点に着目し、岸田総理は「嘘をつきながら、頭をフル回転させ、かなり苛立っている」と述べたことがあります。
心理学では、感情的になっている時には、指を動かす心理が働き、焦り、怒り、緊張でも早口になるとされていますから、あるいは岸田総理もそうした心理に陥っているのかもしれません。
仕事をしても支持されないことに焦りを覚えるのは理解できますけれども、筆者的には、岸田総理は安全運転ばかりで「戦う姿勢」あるいは「こうしたい」という政策が見えないことが人気を落しているのではないかという気がします。確かに日本社会が「現状維持」できている間は「安全運転」でも支持率には左程影響はないのですけれども、昨今のように、世界情勢の影響を受け、「現状維持」が崩れたときに、それでも支持を繋ぎとめるためには、やはりゴールを示し、そこに決然と向かっていく姿勢を見せること、それが必要なのではないかと思います。
西田昌司参院議員は、岸田内閣支持率低下の原因は「国民に自分の気持ちが伝わっていないからだ、官僚答弁を止めよ」と述べ、もっと自分をさらけ出して、本心を言葉にすべきだと苦言を呈しています。
まぁ、岸田総理に小泉元総理のような「劇場型」政治は似合いませんし、出来るとも思いませんけれども、少なくとも、「何をどうしたい」というゴールを国民に見せる必要があるのではないかと思いますね。
この記事へのコメント
日本男児