思ったほどではなかった中間選挙の赤い波

今日はこの話題です。
画像

 ブログランキングに参加しています。よろしければ応援クリックお願いします。


2022-11-09 215003.jpg


1.レッドウェーブは思ったほどではなかった


11月8日、アメリカの中間選挙が行われました。

8日21時現在、連邦議会の上院では100議席のうち、民主党が48議席、共和党が47議席をそれぞれ確保する見通し。

上院の残る5議席のうち、4つは激戦州で、このうち、南部ジョージア州では両党の候補者の得票率が49%で並ぶなど大接戦となっています。

一方、下院は民主党の候補者172人と共和党の候補者199人の当選が確実になったとしているものの、アメリカの主要メディアは共和党に当初、予想されていたほどの勢いはみられないと伝えています。

それでも、9日未明、共和党下院トップのマッカーシー院内総務は演説し、「我々が下院を取り戻すのは明白だ」と勝利宣言しました。


2.激戦州で起こった投票トラブル


ただ、今回の中間選挙は、上下両院ともに大勢の判明に時間がかかる事態となりそうです。というのも、確認に時間を要する郵便投票が増えていることや、接戦選挙区が多いことがその理由です。

フロリダ大学の研究者による8日時点の集計で、期日前投票と郵便投票の利用者は約4590万人と、4年前の中間選挙に比べて2割近く増えています。このうち、自宅から投票用紙を郵送する郵便投票は、封筒の開封や本人確認など時間がかかりますし、開票日以降に届いても有効とする州もあります。

更に、一部の州では得票差が僅差の場合は再集計を行うルールがあるため、接戦選挙区が多い場合には勝敗を確定するまでにさらに時間を要すると見られています。

これについてワシントン・ポスト紙は、これらに加え、人為的なミスなどの要因も加わり、上下両院と知事選、各州議会選の結果が全て判明するまでには1週間以上かかる可能性を指摘しているようです。

となると気になるのは、2020年の大統領選でも騒ぎになった集計を巡るトラブルです。

今回も、接戦となった州で投票を巡るトラブルがありました。

アリゾナ州マリコパ郡では、投票所223ヶ所の約4分の1で、投票用紙に選挙区名などを印字する機械に不具合が起き、選挙管理当局は、有権者に他の投票所へ行くよう促すなど対応に追われました。

また、ジョージア州コブ郡で投票用紙が有権者に直前まで送られていなかったケースがあったことが発覚。投開票日の8日の消印があれば有効とし、約1000票分の郵便投票について、受付期限を14日まで延長することになったそうです。

今回のトラブルを巡っても、トランプ前大統領は選挙不正を疑い、SNSで「やつらは選挙を盗もうとしている」と批判しています。




3.捻じれる連邦議会


ただ、それでも、共和党が下院の過半数を握れば、捻じれ国会となります。その時、一番の弊害となるのは、どちらかの議院だけに付与されている権限に関して、捻じれの影響が顕著になるということです。

上下院それぞれに付与される権限は次の通りです。
上院のみに付与されている権限
 1)連邦最高裁判所と連邦下級裁判所、行政府の主要な役職の大統領による指名人事は、被指名者の就任に先立って上院が承認を与えなければならない。
 2)上院は、大統領が取り決めた国際条約を可決または否決する。
 3)大統領または連邦最高裁判所裁判官が弾劾訴追された場合には、上院本会議が弾劾裁判を行い、陪審として機能する。

下院のみに付与されている権限
 a)大統領と連邦最高裁判所裁判官に対する弾劾訴追を行う権限。
 b)歳入の徴収に関するすべての法案は、まず下院に提出されなければならない。
 c)いずれの大統領候補者も選挙人票の過半数を獲得しなかった場合、下院が大統領を選出する。
つまり、これら上下院それぞれ3つの項目で意見が分かれてしまうと、物事がうまく進まなくなってしまうという訳です。

今の状況のまま推移すれば、上院はともかく、下院は共和党となり捻じれますけれども、新会期が始まる2023年1月以降からは、バイデン大統領が思うように予算案や重要法案を議会で通せなくなります。

一方、共和党は下院を舞台に、バイデン氏の次男ハンター氏を巡るウクライナ企業との癒着や税務処理の不正などの疑惑を追及する構えで、2024年の大統領選に向けて両党の対立は増々激しくなりそうです。

2022-11-09 215002.jpg



  twitterのフリーアイコン素材 (1).jpeg  SNS人物アイコン 3.jpeg  カサのピクトアイコン5 (1).jpeg  津波の無料アイコン3.jpeg  ビルのアイコン素材 その2.jpeg  

この記事へのコメント