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1.広島サミット花道説
永田町が騒めいています。
11月2日放送のラジオ日本番組に出演した立憲民主党の野田佳彦元首相は、内閣支持率の続落、低迷にあえぐ岸田総理が、当面、国政選挙のない巡り合わせであることに触れた司会者に対し、「わかりませんよ。黄金の3年間が岸田さんにとってはなくなったので、広島のサミットあたりにチャンスを狙うしか方法がなくなってきてるのかな……このままじり貧に陥るよりは、何かしようと考えるだろう」と、来年5月のに広島市で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)後に、衆院解散・総選挙に踏み切る可能性があるとの見立てを披露しました。
この「広島サミット花道論」は、安倍元総理の国葬が終わったあたりから、浮上していました。国葬を終えても支持率が回復しなかったからです。
自民党内では、来春の統一地方選での自民党苦戦を前提に、広島サミット後の首相退陣という、「広島サミット花道説」も取り沙汰されているそうです。もっとも、党内では、「野党もバラバラで、選挙となれば与党は負けない」という読みがある一方、「自民の大幅議席減は確実で、首相にとって致命傷になる」との見方が広がっています。
この時点で、岸田総理側近は「出たとこ勝負しかない」と零し、閣僚経験者は、「右往左往が続けば、早晩『運の尽き』となりかねない」との厳しい声が上がっていたのですけれども、旧統一教会に関する答弁、山際前大臣、葉梨前大臣の更迭など、見事に「右往左往」が続いています。
2.解散よりも総辞職
野田元首相は、岸田総理は、広島サミット後に何かしようとする筈だと見立てている訳ですけれども、サミット期間は2023年通常国会の会期中に行われます。
つまり、広島サミットが成功して内閣支持率が上向くようなことがあれば、その余勢を駆って衆院解散・総選挙に踏み切ることで自民党を勝利に導き、それを持って2024年の総裁選での再選を固めようという訳です。
ただ、その場合には、連立政権を組んでいる公明党と、その支持母体である創価学会の意向を確認する必要があります。
来年4月に統一地方選があり、広島サミットは来年5月19日から21日まで行われます。通常国会は毎年1回1月中に召集され会期は150日。つまり、解散総選挙をやる場合には5月下旬から6月のどこかになる可能性が高くなります。けれども、統一地方選から3ヶ月も空けずに総選挙となれば、創価学会の集票力をフル稼働させるうえで、障害が多いとの見方があります。
従って、岸田総理が広島サミット直後の総選挙を望んでも、公明党がすんなり飲んでくれるかは分かりません。
解散ができないならもう一つは内閣総辞職しての退陣ですけれども、ある自民党関係者は「岸田総理は、いずれ引きずり降ろされることを悟っている。公私混同と批判を浴びることが分かり切っていながら、支持率が下落している最中に長男を政務担当の秘書官に起用したことは、退陣の準備ではないかと囁かれています。この人事は周囲に相談することなく、総理が独断で決めたという。辞める前に、間近で総理の仕事を見せておくには今しかないと考えたのではないでしょうか。そうでもないと、あえて自ら国民の反感を買うような人事を行った説明がつきません」と漏らしたそうです。遠くないうちに退陣することになるから、息子に経験をさせて置こうという人事だというのですね。
これが本当であれば、解散よりも総辞職を選ぶ可能性の方が高い気がします。
3.支持率回復の手立て
こんな状況で、果たして内閣支持率を立て直す術があるのか。
これについて、自民党の和田政宗参院議員は「自分の政権が吹っ飛んでも憲法改正をやります」という具合にもう思い切った策しかないのではとコメントする一方、ジャーナリストの高山正之氏は、「憲法改正なんて言っても打ち上げ花火になるだけ。それよりは高市氏に総理を禅譲するしかない」と述べています。
まぁ、総理を禅譲ということは要するに退陣するということですから、岸田政権のままで支持率の回復ではありません。ただ、それしかないなどと言われる時点で政権末期になっているということを示唆しているようにも見えます。
あとは、禅譲とまではいかなくとも、それに近いものとして、もういちど内閣改造をやるという手もあります。
国際政治評論家の白川司氏は、内閣改造した方がよいとして次の3つのポイントを挙げています。
・国民民主の玉木雄一郎代表を入閣させ、目立つ位置におく。白川氏はこれらをやることで支持率が戻るだけでなく、国民民主が政権与党に入ることで、現在、旧統一教会問題で火の粉が飛んでこないようにと大人しくしている公明党を焦らせることで、日本の安全保障の障害となっている部分をも除去できるのではないかと述べています。
・高市早苗経済安全保障担当相を目立つ位置におく。
・麻生氏や森氏のような岸田総理に諫言できる人をおく。
4.派閥均衡型の岸田人事
翻って過去の内閣改造はどうだったか。
読売新聞には、1981年の鈴木善幸内閣以降の毎月の支持率の記録があるそうなのですけれども、そこから、先日の岸田改造内閣まで28回の改造が行われているのですけれども、
内閣改造は過去28回行われましたけれども、改造後3ヶ月経過しても、継続的な支持率上昇か、高い支持率の持続が見られた「大成功」は、4度しかありません。
それは、1999年の小渕恵三内閣、2003年の小泉純一郎内閣、そして、2015年、2017年の安倍晋三内閣の改造です。
これに対し、28回のうち18回は内閣支持率が一瞬上昇しても長続きしなかったか、改造後の内閣支持率が改造前と比べて横ばいで、実は内閣改造しても、過半は効果がなかったことが明らかになっています。
というのも、自民党政権における内閣改造は、各派閥に配慮して権力基盤を固めることに一義的な狙いがある場合がほとんどであるからです。
畢竟その人事は派閥均衡型の組閣になります。
岸田総理が率いる岸田派は、40人を少し超える規模で、自民党内では100人近い安倍派、50人規模の茂木派、麻生派に次ぐ第4派閥です。岸田総理の組閣も御多分に漏れず「自民党外からどう見られるか」よりも「派閥のバランスをどうするか」に力点が置かれています。
なんでも、今年8月の内閣改造の当初構想では、女性の入閣が予定されていなかったのだそうです。岸田総理側近は慌ててそのことを進言し。高市経済安全保障相と麻生派の永岡桂子文部科学相が起用され、「女性閣僚ゼロ」は回避されたのですけれども、派閥バランスばかりに目がいって、世論からどう見えるかはあまり考慮されていないといえます。
5.闘う姿勢は人事で示す
けれども、内閣支持率は、派閥のバランスで決まるわけではありません。世間からどう見えるかが数字となって表されるのが支持率です。
岸田総理は昨年の総裁選で「自分が総裁になったならば、自分の思うしっかりとした人事を行う、これは誰が総裁になっても当然のことではないかと思います」と述べていましたけれども、その”自分の思うしっかりとした人事”を行った結果が今の支持率なのだと考えると、ある意味、岸田総理がやりたい人事は「限界」を迎えたともいえるのではないかと思います。
となれば、いままでの派閥均衡ではない内閣改造に一縷の望みを託すしかないのではないかと思います。
過去、最大派閥に支えられた安倍元総理や、国民的人気の高かった小泉純一郎元総理は、自前の強力な党内基盤か、世論の後押しを背景に、派閥均衡を無視した人事を断行しました。
それを考えると、党内に強力な基盤を持たない岸田総理は、世論の後押しを受けるしか選択肢はありません。それこそ先述の白川氏のいうように玉木代表を入閣させるとか、高市経済安保相を目立つ位置に置くしかないことになります。
先日、岸田総理は自身の長男翔太郎氏を総理秘書官に抜擢しましたけれども、これは岸田総理の独断で、周囲に相談したような形跡はなかったのだそうです。ですから、どうせ先は長くないからと破れかぶれで独断で組閣してもよいのではないかとさえ。
11月9日のエントリー「岸田内閣への支持を繋ぎとめる方法」で、筆者は、岸田総理に「戦う姿勢」が見えないことが人気を落しているのではないかと述べたことがあります。
筆者個人的には、こんな人事であれば、「戦う姿勢」が鮮明になるような気がします。
・官房長官:萩生田光一(安倍派)萩生田氏を官房長官において、各省庁に睨みをきかせ、高市氏を外相に置いて外交を安定させる。財務に高橋洋一嘉悦大学教授を置くことができれば、減税と埋蔵金と財務省改革が一度に期待できます。総務にNHK党の浜田氏、NHK会長に立花考志氏という具合にセットで持ってくることができれば、あっというまにNHKのスクランブル化と改革ができるのではないかと思います。
・外相 :高市早苗(無所属)
・財務 :高橋洋一(民間)
・金融 :玉木雄一郎(国民民主)
・防衛 :小野寺五典(岸田派)
・経産 :世耕弘成(安倍派)
・総務 :浜田聡(NHK党)
オマケ
・NHK会長:立花考志(NHK党)
なにより面子を見るだけで、何をやろうとしているかが明確です。この面子なら岸田総理が「検討する」と言おうが言うまいが、閣僚がどんどん改革を進めていくように見えてきます。要するに「戦う姿勢」を人事で見せるということです。
まぁ、こんな破天荒な人事は、まず無理でしょうし、筆者の妄想に過ぎませんけれども、もしも岸田総理自身、「先が長くない」と思っているのであれば、”人事で語る”ことを考えてみてもよいのではないかと思いますね。
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