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1.辞任ドミノの次のターゲット
辞任ドミノに見舞われている岸田政権ですけれども、新たなターゲットが攻撃を受けています。秋葉賢也復興相です。
事務所費の親族還流疑惑に続き、秘書2人に選挙運動の報酬を支払った公職選挙法違反疑惑が報じられたのみならず、党の調査で「ない」と報告していた旧統一教会との接点まで浮上。更に公選法違反絡みでは、次男が選挙期間中に候補者本人の名前が記載されたたすきをかけていたことも明らかになりました。
ただ、今のところ、岸田総理は秋葉復興相を更迭せず、踏ん張っています。
11月30日、参議院予算委員会で、立憲民主党の福山哲郎氏が質問に立ち、秋葉復興大臣について「法務大臣や総務大臣を更迭して、なぜ秋葉大臣を更迭しないのか。理由を明確に答えてほしい」と質しました。
これに対し、岸田総理は「これまでの大臣は、みずから、国会での日程に影響を与えることを懸念し身を引きたいと申し出て、それを私が容認した。秋葉大臣は国会でさまざまな指摘を受け、それにしっかり説明責任を果たすべく努力している。説明責任を政治家として、大臣としてしっかり果たしてもらいたい」と更迭を否定しています。
2.LGBT支援の度が過ぎる
野党から攻撃を受けているのは秋葉復興相だけではありません。杉田水脈総務政務官も槍玉に上がりました。といっても4年も前の寄稿記事についてです。
杉田政務官は、2018年、月刊誌「新潮45」8月号に、「『LGBT』支援の度が過ぎる」という論考を寄稿し、その中で「最近の報道の背後にうかがわれるのは、彼ら彼女らの権利を守ることに加えて、LGBTへの差別をなくし、その生きづらさを解消してあげよう、そして多様な生き方を認めてあげようという考え方です。しかし、LGBTだからといって、実際そんなに差別されているものでしょうか。もし自分の男友達がゲイだったり、女友達がレズビアンだったりしても、私自身は気にせず付き合えます……LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」と述べました。
この中の「LGBTは『生産性』がないのです」発言が叩かれています。
もっとも、この寄稿が出た当時も、杉田氏は批判されました。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「生産性という言葉が政治家として適切なのか。第一次安倍内閣時の’07年に、当時の柳澤伯夫厚労相が『女性は産む機械』という発言をして大きな批判を浴びました。政治家として以前に、人として、社会的なマイノリティーへの配慮がなかった。今回もまったく同じです。思想信条があるのはけっこう、議論もけっこうですが、他者への優しさがない言葉では、議論の土俵に上げる価値もない」と批判。野党からも批判され、自民党は「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現がある」として、杉田氏に今後注意するよう指導したとの見解をホームページに掲載しています。
当時はその後、徐々に沈静化していったのですけれども、今回野党はそれをまた蒸し返した形です。あるいは、寺田前法務相の「死刑の判子」発言を叩いて更迭させたことに味をしめたのかもしれません。
3.四人目を避けたい岸田内閣
こうした批判に、12月2日の参院予算委員会で、杉田政務官は「過去の配慮を欠いた表現。そういったことを反省するとともに、松本総務大臣からはそうした表現を取り消すように指示がありました。内閣の一員として、それに従い、傷つかれた方々に謝罪し、そうした表現を取り消します」と謝罪、撤回しました。
もっとも、これについて、松本総務相が「内閣の方針に鑑み、傷付かれた方々におわび・謝罪をし、そうした表現を取り消すように申し渡したところでございます。政務官からは、内閣の一員として大臣の指示に従う立場であると理解をしていると」と述べ、杉田政務官の謝罪・撤回は大臣指示であることを明かしています。
もしかしたら、杉田政務官にとって、自身の発言を撤回するのは不本意かもしれませんけれども、裏を返せば、岸田政権がこれ以上傷口を広げないよう収束を図ろうと見ることもできるかと思います。ただ、寺田元法務省も例の「死刑の判子」発言を後に撤回・謝罪したのに、最後には更迭となりましたから、杉田政務官もこれで無事という保証はありません。
実際、11月30日の参院予算委員会では、立憲民主党の塩村文夏氏が、2016年2月に杉田氏が、スイスでの国連女性差別撤廃委員会に足を運んだと事について、「目の前に敵がいる!大量の左翼軍団です……チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」と批判。さらに、参加団体の記者会見を聞こうとしたところ、囲まれて拒否されたとし「彼らは、存在だけで日本国の恥晒さらしです」などとつづった、6年も前の件をほじくりかえされています。
従って、杉田政務官については、今後野党は何年も前の発言を掘り返しては、批判・更迭を求めてくることも考えられます。
参院予算委で立憲民主の塩村氏は政務官を更迭するべきだと岸田総理に迫ったのですけれども、岸田総理は「内閣の一員になる前の言動には、政治家自身が政治の信頼のために説明責任を果たし、適切に対応してもらわなければならない」と更迭を否定。12月2日の参院予算委員会でも、社民党の福島瑞穂氏からの「内閣の一員としてふさわしくない。更迭すべきではないか」という要求にも、岸田総理は「職責を果たすだけの能力を持った人物と判断した。政府の方針に従って職務に専念してもらう」と拒絶しました。
これについて、政治アナリストの伊藤惇夫氏は「寺田稔総務相の更迭など3閣僚が交代し、政権の体力は奪われている。杉田氏の続投はプラスではないものの、何としても4人目は避けたいのだろう……杉田氏の答弁は質問の趣旨をねじまげたような内容も目につく。野党による追及は続くだろう。岸田首相は遠くない時期に内閣改造で交代させることも考えているのではないか」とコメントしています。
4.国民民主との連立検討を進める自民党
政治アナリストの伊藤惇夫氏が指摘したように岸田総理が再び内閣改造するのではないかという声は党内からも出ているようです。
岸田総理に近い自民党幹部は、「閣僚がさみだれ式に辞める事態は最悪だ。来年1月の通常国会召集前に内閣改造するしかないな……同様に政治資金の問題を抱える秋葉賢也復興相が残っている。いつまでも爆弾を抱え続けるくらいなら、改造を口実に“問題閣僚”にはお引き取り願った方が傷は浅くて済むだろう」と述べています。
そんな中、2日、自民党が、公明党との連立政権に国民民主党を加える案を検討していると報じられました。
なんでも、自民、国民両党の幹部が水面下で接触を続けており、調整が付けば連立協議に入るとのことで、複数の自民党関係者によると、国民の玉木雄一郎代表が年明けにも入閣する案が浮上しているそうです。
玉木氏の入閣については、11月16日のエントリー「広島サミット花道説と戦う人事」で、国際政治評論家の白川司氏が、内閣改造した方がよいとして「国民民主の玉木雄一郎代表を入閣させ、目立つ位置におくこと」という指摘を取り上げましたけれども、実現すれば、内閣支持率が浮上する切っ掛けになる可能性はあると思います。
現在、国民民主党は衆院議員10人、参院議員10人の計20名が所属しており、公明党の衆議院議員32名、参議院議員27名の計59名と比べると見劣りしますけれども、自民党関係者によると、国民民主側との交渉は岸田総理と麻生副総裁も了承しているそうで、「あとはタイミングだ。今の政権はこれぐらいのカンフル剤を打たないと良くならない」との認識があるようです。また、連立に国民民主を加えることで、自民が公明に配慮する場面が少なくなるとの見方も指摘されています。
もっとも、現在、連立を組む公明の方は「わが党にメリットはない」と反発。更に国民民主党内にも異論が強く、国民民主を支援する連合の理解も得られるかも見通せていません。従って、現時点ではどうなるか分かりません。
この自公国連立観測報道について、12月2日、岸田総理は「全く知らないし、私自身考えてはいない」と述べ、公明党の山口那津男代表も、国会内で記者団に「全くうかがったことはない」とコメント。更に、国民の玉木雄一郎代表も「報道されたような事実はない。全く承知していない」と述べていますけれども、今の段階で連立協議してますなんていいはずもありません。
結果はやがて明らかになります。岸田政権がサプライズを起こすのか。注目したいと思います。
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