イーロン・マスクを潰したい人達

今日はこの話題です。
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1.リナ・カーン宛の公開書簡


ツイッターの大改革を進めているイーロン・マスクCEOですけれども、彼の動きに対して、アメリカ民主党議員や当局で反発する人々がいます。

11月17日、アメリカ民主党の上院議員7人は連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長宛の公開書簡で、ツイッターに対する調査を行うよう求めました。

この書簡には、Elizabeth Warren、Dianne Feinstein、Richard Blumenthalら7人の上院議員が署名していて、ツイッターの弁護士から、マスクCEOがFTCから数十億ドルの罰金を課せられる可能性があるという警告が広く公表されたことを受けてのものです。

書簡では、「ここ数週間で、ツイッターの新しいCEOであるイーロン・マスクは、プラットフォームの安全性と整合性を損なう憂慮すべき措置をとっている」とし、彼の行動が 「すでにFTCの同意協定に違反することを表す可能性がある 」と指摘しています。

2011年に結ばれたFTCとツイッターの合意事項では、ツイッターは、潜在的なプライバシー問題のために新しい機能を検討し、定期的にFTCにレポートを送信することが義務付けられているのですけれども、上院議員らは書簡の中で、「我々は、委員会がツイッターとの同意協定を精力的に監督し、違反または不当または欺瞞的なビジネス慣行に対して強制措置を取ることを強く求め、民事罰の提起や適切な場合にはツイッターの個々の幹部に対して責任を課すことを含む」と要求しているとのことです。

これについてCNBCは、FTCの広報担当者がFTCは「Twitterの最近の動向を深い懸念を持って追跡」していると述べていると報じています。

更に、欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会のベステアー上級副委員長は11月、アメリカNPRのインタビューで、マスク氏の経営下のツイッターについて、「欧州にはルールブックがあり、従う必要がある……従わなければ、我々には罰則がある」と牽制しました。

また、ニューヨーク大のスコット・ギャロウェイ教授も「言論の自由の絶対主義者たちは、投稿の管理は『敵』だと間違えた認識をしている。投稿の管理をより増やしたほうが、より企業としての利益は増える」と自身のポッドキャストで明かしています。


2.ニューラリンクの動物実験


12月5日、ロイターは、イーロン・マスク氏の医療機器会社ニューラリンクが、動物福祉法違反の疑いで連邦政府の調査を受けていることが分かったと報じました。ロイターが確認した文書や関係筋によると、内部スタッフは動物実験が急がれ、動物に不必要な苦痛を与えたり無駄に死なせたりしていると訴えているようです。

ニューラリンク社は、体の機能が麻痺した人を再び歩けるようにするなど、神経系疾患の治療に役立つと期待される脳インプラントを開発しています。関係筋によると、調査は連邦検察官の要請を受けた農務省の監察総監が過去数ヶ月以内に着手。研究者がどのように動物を扱い、実験するかを規定する動物福祉法に焦点を当てているようです。

ロイターは、ニューラリンクの文書や20人以上の現・元従業員に取材しているのですけれども、彼らは研究のスピードアップを求めるマスクの要求に関連する理由で、動物の死亡数が必要以上に多いと述べています。ロイターが調べた記録や、同社の動物実験業務を直接知る関係者によると、同社は2018年以降、280頭以上の羊、豚、猿を含む約1500頭の動物を実験後に殺してきたとしています。

現・元職員の3人が語ったところによると、近年、人為的なミスによって損なわれた豚86匹とサル2匹を含む4つの実験があったそうで、その原因は、プレッシャーのかかる環境で働く実験スタッフに準備不足があったためだと訴えています。彼らは、このミスが実験の研究価値を弱め、実験を繰り返す必要を生じさせた結果、より多くの動物が殺されることにつながったと指摘しています。

マスクCEOは、これまでにも何度か、従業員に速く仕事するよう促すために、頭に爆弾を括りつけているところを想像するように言っているそうです。数年前のあるとき、マスクCEOは従業員に対して、もっと進歩しなければニューラリンクで「市場の失敗」を引き起こすと言い、この発言を聞いた元スタッフは、一部の従業員は事業を停止させるという脅しと受け止めたそうです。

ニューラリンク社のスタッフの仕事ぶりがどれほどのものか分かりませんけれども、マスクCEOがツイッター社員に対し「今後、画期的な“Twitter 2.0”を構築し、競争が激化する業界で成功するためには、極めてハードコアになる必要がある。これは長時間、緊張度の高い中で働くことを意味する。抜きんでた業績のみが、合格点となる……もしあなたが新しいツイッター社を構成する一人になりたいと確信しているのであれば、下記リンクから“イエス”をクリックしてほしい」とのメールを送信したことを考えると、ニューラリンクの社員も相当なプレッシャーを受けていたことが窺えます。

それで必要以上に動物が殺されているということで、連邦政府が調査に乗り出した訳ですけれども、アメリカの規制では、企業が研究に使用できる動物の数は定められておらず、いつ、どのように動物を実験に使用するかについては、科学者に大きな自由が与えられています。また、ニューラリンク社は、米国農務省の施設検査にすべて合格していることが、規制当局への提出書類で示されてもいます。

ロイターは、連邦政府の調査の全容や、ロイターの取材で従業員が指摘した動物実験の問題と同じ疑惑があるかどうかを判断することはできなかったそうで、また、アメリカ農務省検査官事務所の広報担当者もコメントを控えたそうですから、実際の調査がどのようになっているかは分かりません。


3.FBIは何をしたのか説明すべき


いつの世でも、改革者、革命者は大きな反発を受けるものですけれども、先日、「ジョー・バイデン大統領の息子の汚職疑惑」が報じられた際にツイッターが民主党員による削除要請を優先的に受理していたことを示す社内文書「ツイッターファイル」が公開されたことについても、既に左派メディアから批判の声が上がっています。

更に、11月30日のエントリー「マスクのキュレーション」でも取り上げましたけれども、アメリカのバイデン政権もツイッターを監視すると言っていることを考えると、政治的圧力でマスクCEOを潰しに掛かる可能性もないとはいえません。

そんな中、アメリカ民主党の中から「ツイッターファイル」の中で示された検閲に懸念を示した議員がいます。2016年にマイク・ホンダ氏を破ってカリフォルニア州第17選挙区で当選したロー・カンナ下院議員です。

12月5日、カンナ議員はCNNの「OutFront」という番組で、FBIがハンター・バイデンのラップトップ記事を抑えるためにツイッターに圧力を掛けたことに疑問を感じているが、それが事実かどうかを調べるのは「完全に適切」だと述べ、FBIに「彼らが何をしていたか、どんな根拠があったかを説明してほしい」と呼びかけました。

番組司会のエリン・バーネット氏は、「あなたは、憲法修正第1条を重視しているのは分かりますが、ツイッターがそれを抑圧した理由の一つが、FBIがロシアの偽情報、ハッキング、ハンター・バイデンという考えに傾いていたからだという懸念はありますか」と質問したところ、カンナ議員は「そうですね、何事にも透明性を持たせましょうと言いたいですね……当時のバイデン大統領は候補者に過ぎず、政府の主導権を握っていなかったことを考えるとFBIがそのようなことをしていたとしたら、私は非常に驚きます……しかし、質問をすること、そして完全な透明性を確保し、事実を明らかにすることは、完全に適切だと思います。そして、FBIは自分たちが何をしていたのか、その根拠を説明すべきです。特定の候補者のために、あるいは反対に、ツイッターを偏向させようとしたのではないことを、私は強く望み、期待します」と応えています。

カンナ議員については、件の「ツイッターファイル」の項番30~32で言及されていますけれども、この中で彼は「懸念を表明した唯一の民主党関係者」と評価されています。

まぁ、仮にバイデン政権がマスク氏を潰しにかかったとき、カンナ議員一人でどうこうなるとは思えませんけれども、こうした声を上げ、周知させることは、言論の自由を考える上でも大切なことではないかと思いますね。




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