

1.行政指導を受けたNHK
12月14日、総務省は、NHKが受信契約を促す文書を送る際、郵便法で禁止されている「信書の送達の委託」に違反する行為があったとして行政指導を行いました。
件の総務省の指導文書の内容は次の通りです。
日本放送協会の放送受信契約に関する文書の送達について(指導)指導された「信書の送達の委託」というのは郵便法4条で示されている事業の独占に違反しているということです。
「信書」とは、郵便法(昭和 22 年法律第 165 号)第4条第2項において「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と定義されている。
貴協会が平成 27年 12月から令和4年1月までに他者に委託して送達を行った文書(総数約 2,070 万通)は、「NHK」の名称を記載して、放送受信契約の締結が確認できていない特定の受取人に対して、期日を指定して放送受信契約の締結に係る申込書等を返送すべき旨の貴協会の意思を表示したものであって、特定の受取人に対する差出人の意思を表示したものであり、「信書」に該当すると認められる。
以上により、貴協会が当該文書の送達を委託した行為は、郵便法第4条の規定において禁止されている「信書の送達の委託」に該当する。
貴協会には、国民・視聴者の受信料によって支えられている公共放送として、受信契約の勧奨等に当たっては、法令を遵守した適正な方法で丁寧な説明を行うべき旨を、これまでの予算及び決算に付する総務大臣の意見においても求めてきたところである。
以上を踏まえて、郵便法等の法令遵守の徹底及び貴協会の放送受信契約の勧奨の業務の適正確保を求める。
郵便法第4条は次の通りです。
第四条(事業の独占) 会社以外の者は、何人も、郵便の業務を業とし、また、会社の行う郵便の業務に従事する場合を除いて、郵便の業務に従事してはならない。ただし、会社が、契約により会社のため郵便の業務の一部を委託することを妨げない。要するに、親書は日本郵便の「定形郵便」など、特定の方法で送付しなければならないところを、NHKは外部の業者にさせていたというのですね。
② 会社(契約により会社から郵便の業務の一部の委託を受けた者を含む。)以外の者は、何人も、他人の信書(特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいう。以下同じ。)の送達を業としてはならない。二以上の人又は法人に雇用され、これらの人又は法人の信書の送達を継続して行う者は、他人の信書の送達を業とする者とみなす。
③ 運送営業者、その代表者又はその代理人その他の従業者は、その運送方法により他人のために信書の送達をしてはならない。ただし、貨物に添付する無封の添え状又は送り状は、この限りでない。
④ 何人も、第二項の規定に違反して信書の送達を業とする者に信書の送達を委託し、又は前項に掲げる者に信書(同項ただし書に掲げるものを除く。)の送達を委託してはならない。
2.特別あて所配達郵便
この行政指導を受け、NHKは14日、謝罪コメントを発表しています。その内容は次の通りです。
受信契約案内のポスティング文書に対する行政指導についてNHKは、行政指導を受けたことを謝罪し、再発防止に努めるとしていますけれども、内容を読む限りでは、「返送期日を記載した案内文書」は親書に当たるので、それを見直して上で「特別あて所配達郵便」を使うという風に読めなくもありません。
NHKが、過去にポスティング事業者等に委託して投函した受信契約の案内文書のうち、お客様に返送していただく期日を記載しているものについて、郵便法上の「信書」にあたるとして、本日、総務省から行政指導を受けました。
NHKでは、受信料の公平負担の徹底に向けて、契約が確認できない家屋に対し、2015年から外部の事業者に委託して受信契約の案内文書のポスティングを行ってきました。このうち、お客様に受信契約書を返送していただく期日を記載した案内文書約2,070万通(2015年度~昨年度までの6年あまり)について、総務省から「信書」にあたり、郵便法に違反するとして行政指導を受けました。
受信契約の案内文書のポスティングにあたっては、総務省のガイドラインに基づいて、法律的な観点からも慎重に検討を進めてきましたが、今回、行政指導を受けたことを重く受け止めています。
今年度は返送期日を記載した案内文書の投函は行っていませんが、現在、それ以外の案内文書のポスティングも停止し、内容を見直しています。
今後は、日本郵便の「特別あて所配達郵便」の制度などを適切に活用し、引き続き受信料の公平負担に取り組んでまいります。再発防止に向けてチェック体制を見直し、適正な業務体制を構築するとともに、ガバナンスの強化に一層努めてまいります。
〔NHKコメント〕
総務省から行政指導を受けたことは誠に遺憾です。関係者のみなさま、視聴者のみなさまに深くお詫びいたします。今回の事態を重く受け止め、再発防止を徹底するとともに適正な業務体制を構築し、ガバナンスの強化に一層努めてまいります。
「特別あて所配達郵便」とは、受取人の氏名が記載されていなくても、受取人の住所または居所が記載されていれば、その住所または居所に配達するというもので日本郵便が2021年21年6月から試験運用を始め、今年5月から本格提供を始めたサービスです。
3.既得権益をぶっ壊す
今回のNHKへの行政指導を見る限り、NHKは過去6年に渡って郵便法違反をしていたの訳ですけれども、何故今頃になって行政指導が入ったのか。
これは端的に、NHK党の立花党首の功績です。
立花党首は2ヶ月程前から、NHKが使っていたこの「特別あて所郵便」に着目し、総務省の役人を繰り返し呼んでは説明させ、それを動画でアップしていました。
立花党首は、宛名を確認する必要がなく、住所だけで投函できる「特別あて所配達郵便」は、通常の宛名をみて投函する普通郵便より簡単な投函になるのに、なぜ150円も料金が加算されるのかと追及。
そこからどんどん追及を進め、当時の武田総務相の答弁の矛盾や、内容物が親書に該当するのであれば、郵便法に違反していることを指摘。最終的に総務省がそれを認め、NHKが謝罪に至ったというのが今回の顛末です。
従って、もし、これを立花党首がやらなければ、ずっと闇の中の「既得権益」として貪り続けられていた可能性があります。
立花党首は、総務省の役人とのやり取りを動画にしてオープンに国民の前に詳らかにしていった上で、この「既得権益」を打破したという訳です。
過去のエントリーで、立花党首は織田信長よろしく、NHKのみならず、既得権益を破壊していくのではないかと述べたことがありますけれども、あるいは、NHK党にこういうところを期待している人もいるかもしれません。
ただ、今回、立花党首が、ここまで鮮やかにNHKと総務省の既得権益を破壊できたのも、立花党首自身が、NHKは勿論のこと法律にも詳しく、さらにタレコミまであって始めてここまで出来るということも同時に示したことも見逃せない点だと思います。
まぁ、当たり前かもしれませんけれども、何かの既得権益を打ち破ろうとすれば、その業界なり仕組みに精通し、さらに法律も抑えないと到底出来ないということです。
既得権益はNHKだけではないことはいうまでもありません。けれども、もし立花党首が他の業界や役所の既得権益を破壊しようとするのなら、それに通じた有識者を仲間にしないと難しいと思います。
その意味ではNHK党がどこまで国民に支持され、優秀な協力者を集められるのか。既得権益の打破はそこに掛かっているのかもしれませんね。
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