日本政府は中国の海外警察に本格対応するか

今日はこの話題です。
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1.中国の海外警察


12月19日、外務省は政調、外交部会・外交調査会・国際協力調査会合同会議で、スペインの人権監視団体が公表した報告書の内容として、中国の警察当局が日本などに海外拠点を設置している可能性があると説明しました。既に外交ルートを通じ、中国政府に「仮に主権侵害があれば断じて容認できない」と伝達したとのことです。

11月13日のエントリー「岸田総理の外遊と台湾有事」で、少し取り上げたスペインの非政府組織(NGO)「セーフガード・ディフェンダーズ」が発表した報告書かそれに関連する報告書ではないかと思いますけれども、この合同部会の開催時間と議事は次のようになっています。
14:00〜15:00(101)
政調、外交部会・外交調査会・国際協力調査会 合同会議
1、令和5年度(外交部会関係)予算折衝の現状について
2、中国警察の海外拠点について
3、中国サンゴ船の船長の逮捕について
4、第10回日豪・防衛閣僚協議(「2+2」)について
5、G7首脳テレビ会議について
このように会議が1時間で5つの議題ですから一つあたり均等割りで12分であることを考えると内容報告程度であり、あまり突っ込んだ議論はなかったものと思われます。

もっとも、この会議に参加した青山繁晴参院議員によると、「中国によるとんでもない主権侵害である『海外警察』について、やっと政府側から説明があったのですが、噴飯ものの説明でした」とのことですから、余程の事だったのではないかと思います。


2.証拠把握しないといけない


前述の青山参院議員は、この合同部会の後、「日本の尊厳と国益を護る会」の会議に出席しているのですけれども、こちらの会議では元公安警察官の坂東忠信氏、静岡大学教授の楊海英氏、国家安全保障局(NSS)の幹部を呼んで、この問題に関する勉強会を行っています。

青山議員のブログから、その模様を引用すると次の通りです。
▼中国がまたしても深刻にして非常識な問題を起こしています。
 日本をはじめ各国の国内に、中国が勝手に警察の海外派出所とでも言うべき奇怪なものを設置し、諸国の主権を侵害して事実上の警察活動を行っています。

 そこで、きのう12月19日月曜、国会内において護る会 ( 日本の尊厳と国益を護る会 ) は、この問題に精通している識者おふたり ( 元公安警察の坂東忠信氏、南モンゴル人から日本人に帰化された楊海英~大野旭~静岡大学教授 ) 、そして政府の国家安全保障局の高官に来ていただき、勉強会を開きました。

▼ポイントのひとつは、上述の通り、国家安全保障局から参加者の居たことです。 ( 山田宏・護る会幹事長の働きかけが実りました。山田幹事長の功績です )
 これによって、政府がこの問題に関与することが担保されたのです。
 実際、国家安全保障局の高官は「ここにこうやって来たことが、政府がちゃんと取り組むことの証明です」という趣旨を明言されました。

▼この護る会の会合には、現職大臣もおふたり、参加されました。
 高市早苗経済安保担当大臣と、齋藤健法務大臣です。

 おふたりとも、護る会から特に参加を要請したのではありません。護る会の83人の衆参両院現職議員には、2人の現職大臣と、10人の元大臣がいらっしゃいます。 ( それでいて代表がまだ当選2回目、というのが自由民主党の良き部分かもしれません )
 すべて平等に、会合のお知らせを出すだけです。
 したがって、高市さんも、齋藤さんも、自由意志でお出でになりました。

▼高市大臣、齋藤大臣、いずれも「この海外警察の問題は、しっかり取り組まねばならないことだから、やって来ました」という趣旨を仰いました。

▼終了後に、いつもの通り、きちんと丁寧にメディア・ブリーフを行いました。
 産経新聞、読売新聞、共同通信の記者が参加しました。
 テレビの取材はありませんでしたが、「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」のための動画は収録しましたので、やがてアップします。

 ブリーフには、山田宏・護る会幹事長も同席されましたが、護る会の別の会合がすでに始まっていたので、途中でそちらに向かわれました。

▼中国が一体、この海外警察で、何をやっているのか。
 どんな重大リスクがあるのか。
 それが、この会合でかなり明瞭に浮かび上がったと考えます。 ( その内容の公開部分は、上述の「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」でやがて、どなたでも無条件に、ご覧になれます )

 また政府を突き動かす契機にもなったと言えます。
 これから先も、さまざまな妨害が予想されますが、追及をやめません。
このように、会議には、高市早苗経済安保担当相と、齋藤健法務相も参加したそうです。

会議では、楊海英静岡大教授が「一日も早く取り締まることを要望する」と訴え、国家安全保障局(NSS)幹部も「逮捕・拘禁など、公権力行使に近い行動がないか、証拠を把握しないといけない」と、実態把握に取り組む考えを示しました。


3.セーフガード・ディフェンダーズの追跡レポート


冒頭で述べたスペインの非政府組織(NGO)「セーフガード・ディフェンダーズ」が発表した報告書ですけれども、このNGOはこれまで2つのレポートを出しています。一つは9月12日にリリースされた「110海外:中国の国境を越えた警察活動が暴走」(注:現在リンク切れ)というレポートで、もう一つは12月6日にリリースされた「パトロールと説得:110海外へのフォローアップ調査」というレポートです。

こちらの報告書のサマリは次の通りです。
さらに判明した駐在所(第2章)

先に明らかになった54カ所の駐在所に加え、セーフガード・ディフェンダーズは、中国の公安当局が少なくとも48カ所の海外警察庁駐在所を設置すると宣言したことを記録している。


摘発された警察署の管轄区域はさらに拡大(第2章)

新たに文書化された署の大部分は、新たに発見された2つの中国現地の管轄区域によって2016年から設置されたものである。南通と温州である。この時点で、4つの地方警察管区がこのような海外警察サービスセンターを設置していることが明らかになった。これは、「Covid19の大流行を受けて業務を開始した」という中国当局の発表に真っ向から反論するものである。


「帰国説得」活動への警察署の関与がさらに明らかに(第4章)

新情報によると、フランス・パリで温州支局を通じて行われた違法な「帰国促進」作戦が少なくとも1件、南通海外警察機構が逮捕や帰国促進作戦に協力したケースが少なくとも80件あったことが判明した。これに加えて、スペインとセルビアですでに摘発された活動もある。これは、中国当局の「在外公館は行政サービスを提供しているに過ぎない」という発言と矛盾している。


警察庁による海外駐在員の「雇用」が明らかに(第5章)

ある警察管区では、当初21カ所の駐在所を運営するために135人を採用したという。
「聘请」という言葉は、この文脈では「契約、雇用、任命」と理解するのが最も適切であろう。別の管轄区(温州市)では、最初の署を立ち上げた後、早期に19人を雇用または任命したことを発表する同様の文言が使われている。また、ストックホルムの「海外連絡員」の証明書も、こうした記述を裏付けている。


ホスト国政府の協力で設置された公安警察署(第3章)。

アフリカやアジアにある駐在所の一部は、受け入れ国との明確な合意に基づいて設置されたとPRCの声明は述べている。2015年に公安省がイタリア政府と締結した警察の共同パトロールに関する二国間協定は、その後の2016年(温州警察)と2018年(青田警察)のミラノにおける欧州「パイロット」ステーション設置に直接貢献したようである。
このように、報告書は世界各地の中国海外警察署が更に増えたこと、そして、海外警察署の設置目的の業務内容が、中国政府の発表と全く違っていることなどを報告しています。

気になるのは、この主権侵害の疑いのある「中国海外警察署」が相手国政府の協力で設置された例があるということです。

これは、その国に中国の侵略の魔の手が伸びているということであり、日本とて他人事として笑っていられるものではありません。現に、今の政府にも媚中派と批判されている議員が外相になっています。

青山参院議員が指摘するように、今回の問題について、国家安全保障局幹部が「日本の尊厳と国益を護る会」の会議に出席したことは、政府の本気を示すものであるとは思いますけれども、ある程度捜査が進んだ段階で、よもやどこかの省庁や議員から横やりが入ることのないように、国民の側からもしっかりと注視する必要があるのではないかと思いますね。


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