感染爆発の北京

今日はこの話題です。
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1.感染爆発の北京


ゼロコロナ政策を緩和した中国で、武漢ウイルスが感染爆発しているようです。

12月7日、中国政府はロックダウンなどを含む強権的な「ゼロコロナ」政策を軌道修正した。その後、14日には、無症状感染者数の把握をやめており、感染者数や死者数の実態が分からなくなっています。

けれども、中国政府は、中国政府は1日当たりの感染死者数を「ゼロ」か「ごく少数」と発表しているのですけれども、一方で、中国メディアは、8日以降、中国紙の元副編集長や、元プロサッカー選手、共産党機関紙の元記者ら、著名人がコロナ感染後に死亡したと報じています。

12月20日、中国政府の記者会見に出席した感染症の専門家は、「新型コロナウイルスの感染者の主な死因は基礎疾患だ」と述べ、基礎疾患のある感染者が重症化して死亡した場合は武漢ウイルスによる死者として数えていないことを示唆。これに対し、中国のSNS上では、政府が死者の数を少なく見せかけているとして「責任逃れだ」とか「統計上の魔法だ」などといった批判の声が高まっています。

新唐人テレビは、16日に上海地下鉄の職員が、「地下鉄構内では最近、乗客の失神が頻発しており、その大多数は高齢者で、一部の人は乗車中に亡くなった」と暴露したことを報じ、ネットでは、普通の市民だけではなく、病院の医師が陽性患者を診察していたところ、突然、意識を失い、同僚に連れられて、現場を離れた動画が投稿されるなど、現地情報が拡散されています。


2.周回遅れのウイルス対策


14日、中国政府の衛生担当幹部は記者会見で、国内の医療機関に発熱外来を4万7000ヶ所以上開設したと発表しました。

その内訳は、規模が大きな病院で1万4000ヶ所以上、小規模な医療機関で3万3000ヶ所以上だそうで、これにより発熱外来での平均待合時間は、当初の4時間超から、40分以内に短縮した地域もあるそうです。

中国メディアによれば、発熱外来では、解熱剤や鎮痛剤が用意され、複数の地元病院から選抜された医療チームが夜まで診察にあたるとのことで、北京市では医薬品不足の解消に向け、350万箱の薬品が病院と薬局に配布されました。

ただ、都市部よりも医療体制が 脆弱な農村部での体制整備が順調に進むかどうかは見通せず、中国メディア「第一財経」は、河南省の農村部で、高熱に苦しむ住民が解熱剤を入手できないケースがあると伝えています。

中国では、高齢者のワクチン接種率が低いままだそうで、ロイター通信は、追加接種を受けた成人と80歳以上の比率は、57.9%と42.3%で、更に中国産ワクチンへの懸念の声も挙がっていると伝えています。

これらについて、元厚労省医系技官の木村盛世氏は「感染対策では強い行動制限は一時的に感染拡大を抑えられても、後ろ倒しするだけに過ぎない。各国の経験が、数年遅れで中国に現れている。開放すれば、感染者が増え、重症者が増えるのは当然だ」とコメントしています。

これまでゼロコロナで胸を張っていた中国ですけれども、いざ、ウィズコロナに転換した途端、世界から周回遅れになっていたという訳です。


3.感染者予測論文


中国のコロナ死者100万人近くも、新たな変異株の恐れ-香港研究者ら

では、中国の感染者急増はどこまでいくのか。

これについて香港大学で医学院院長を務めた梁卓偉氏とKathy Leung氏、Joseph T. Wu氏が、12月14日にコロナ感染症の死者予測の論文を発表しています。

論文では、ワクチン・ブースト、大規模な抗ウイルス治療、公衆衛生・社会的措置のそれぞれの有効性と複合的な有効性をシミュレート。また、患者の急増に地元の保健システムが対処できるかどうかや、春節に伴う中国全土の移動に伴う地元の医療システムの対応も評価しています。

報道では、大規模なワクチンブースター接種や他の対策が講じられなければ、全国的な経済再開で、累積死亡は 100万人あたり 684人となり、中国の人口約14億1000万人に換算すると、約96万4400人とおよそ100万人が死亡すると報じられています。

けれども、これは全くの無策のケースであり、論文では次の5つのシナリオについてシミュレートしています。
1)4回目のブースター接種をしない
2)4回目のブースター接種実施+ウイルス薬投与
3)4回目のブースター接種実施+ウイルス薬投与+公衆衛生・社会的措置(PHSMs)
4)4回目のブースター接種の早期実施+ウイルス薬投与+公衆衛生・社会的措置(PHSMs)
5)より信頼性の高いワクチンによる4回目のブースター接種の早期実施+ウイルス薬投与+公衆衛生・社会的措置(PHSMs)
シミュレーションは「ゼロコロナ」政策の緩和に向けて今月7日に発表された「10条措置」も含めて検討したそうですけれども、その中に「より信頼性の高いワクチン」という条件が加えられているのが、なんともかの国らしいといえばらしいといえなくもありません。これは裏を返せば、今のワクチンの効果には全幅の信頼を置かれていないということでもあります。

では、今後の中国はどのシナリオを辿るのか。

梁卓偉氏らは「省を問わず、地方の医療制度は2022年12月-23年1月の経済再開でもたらされるコロナ感染急増に対応できないとわれわれの研究結果は示している」と指摘していますけれども、シナリオ中の3)以降にある公衆衛生・社会的措置でもロックダウンの様な強力な措置は、ゼロコロナ政策を放棄した以上、取りにくいと思われます。

となると1)か2)が中心になるのではないかと思われますけれども、流石に中国共産党政府とて1)の無策ということはないでしょう。となると近々には2)のシナリオに近いものなるのではないかと思います。

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4.抗ウイルス薬の大規模治験


既に、北京では4回目のワクチン接種も始まり、各地にも臨時のワクチン接種会場が設けられ、市民たちが列をつくって接種を受けています。ただ、中国では海外製のワクチンは承認されていないほか、国産のワクチンを「信頼できない」という声も多く、このままワクチン接種が加速するかは不透明のようです。

また、薬局では薬の品切れが相次ぎ、解熱剤の棚はほぼ空っぽになっているそうです。

その余波を受け、日本でも中国出身とみられる客が大量の薬を購入して中国に送付するケースも増えてきています。なんでも、大正製薬の総合感冒薬「パブロンゴールド」が人気のようで、中国事情に詳しいジャーナリストの奥窪優木氏は、「中国の人たちは、ゼロコロナの緩和で感染状況が悪化するとみており、国産の風邪薬も売り切れが相次いでいる。日本の薬の信頼度は高く、特に『パブロン―』は『神薬』として中国人旅行客に大人気だった。自衛のため買い占めているのだろう」と解説しています。

これらを見る限り、今のところ2)のシナリオに沿って推移しているのではないかと思います。

このように、中国人民が共産党政府の言うことを信じず、自分達で自衛措置を取るとなると、今後、武漢ウイルスに効くと噂される薬はどんどん買い占められ、中国に送られていく可能性が出てきます。

ここから先は筆者の妄想になりますけれども、日本在住の中国人が日本のネットで武漢ウイルスに効く薬を調べ捲ったら、中には「イベルメクチン」に目を付ける人がでてくるかもしれません。まぁ、国内の薬局では「イベルメクチン」は手に入りませんけれども、海外から個人輸入すれば手に入れることは可能です。

もし、そうして入手した「イベルメクチン」が中国に送られ、それがインドの事例のように、武漢ウイルスに効くようなことがあれば、たちまちのうちに口コミされては大量輸入され使われる可能性が出てくるのではないかと思います。

これはある意味、「イベルメクチン」の大規模治験に近いことが行われるかもしれないということです。

もちろん、オフィシャルには「イベルメクチン」は武漢ウイルスには効果がないことになっていますけれども、そもそも共産党政府を信じていない中国人民にはそんなことは知ったこっちゃないでしょう。目の前に効く薬があるのに使わないなんてあり得ませんから。

件の梁卓偉氏らの論文を見る限り、2)のシナリオでの発症率、死亡率は1)のそれのおよそ4分の3くらいですから、そこから計算すると60~70万人が亡くなることになります。

中国事情に詳しい評論家の石平氏は「習近平政権は、達成不可能なゼロコロナ政策を実施した。国産ワクチンが不十分だった点も、封じ込めを続けた理由だろう。医療施設の拡充や、オミクロン株対応のワクチンなど、適切な対策もないまま開放すれば、感染拡大は予想できた。春節前の冬場という最悪のタイミングだ。中国当局は今後、実態を隠し続けるか、ゼロコロナ政策に逆戻りするかの可能性が考えられる。中国経済がさらに沈没する可能性も否定できない。西側諸国はコロナ発生当初の二の舞いを踏まないよう、中国に厳しい制限措置をとるべきではないか」と述べていますけれども、もしも「イベルメクチン」がオミクロン株にも効くとなれば、隠蔽もゼロコロナも必要なくなります。

そうなったら、ワクチンはなんだったのかという議論も出るかもしれませんけれども、武漢ウイルス禍が収まるに越したことはありません。

先述の木村盛世氏が指摘するように「各国の経験が、数年遅れで中国に現れている」のであれば、改めて武漢ウイルス対策を行い、世界に知らしめるチャンスでもあると思います。

今後の中国の武漢ウイルス対策とその推移は、もしかしたら世界的にも影響を及ぼすかもしれませんね。


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