舵を切った岸田政権のエネルギー政策

今日はこの話題です。
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1.大雪列島


列島を寒波が襲っています。

12月22日、岸田総理は官邸で行われた大雪に関する関係閣僚会議で「大雪が予想されている地域の皆さまは、最新の気象情報に留意し、不要不急の外出を控える。やむを得ず外出する場合には、公共交通機関の運行停止や道路の通行止めなどの交通情報を確認し、除雪作業中の事故や屋根からの落雪に注意をするなど、充分に警戒し、身の安全を確保する行動をとっていただくようお願いします」と警戒を呼びかけました。

今週になって、北日本から西日本の日本海側などが大雪に見舞われていますけれども、岸田総理は関係閣僚に対し、大雪や交通状況の情報発信や被害が発生した場合に、人命第一の方針で速やかな救命救助と被災者支援にあたるよう指示しました。

今回のいわゆる「クリスマス寒波」は、週明けの26日ごろまで影響が長引くとみられ、日本海側のみならず、九州や四国など西日本の各地でも雪が降り、積雪となるおそれがあるとしています。


2.GX実現に向けた基本方針案


寒波となると、ただでさえ消費量が増える電気も気になります。

そんな中、22日、政府は「GX実現に向けた基本方針(案)」を取り纏めました。

基本方針では、「安定的で安価なエネルギー供給は、国民生活、社会・経済活動の根幹であり、我が国の最優先課題である」ことを基本的考え方として、次の取り組みを進めるとしています。
1) 徹底した省エネルギーの推進、製造業の構造転換(燃料・原料転換)
2) 再生可能エネルギーの主力電源化
3) 原子力の活用
4) 水素・アンモニアの導入促進
5) カーボンニュートラル実現に向けた電力・ガス市場の整備
6) 資源確保に向けた資源外交など国の関与の強化
7) 蓄電池産業
8) 資源循環
9) 運輸部門の GX
10) 脱炭素目的のデジタル投資
11) 住宅・建築物
12) インフラ
13) カーボンリサイクル/CCS
14) 食料・農林水産業
実に14項目にわたる総合的な方針です。

中でも注目されているのは、メディアでも報じられているように「原子力の活用」です。

方針では、「原子力の活用」について、次のように述べています。
3) 原子力の活用
原子力は、出力が安定的であり自律性が高いという特徴を有しており、安定供給とカーボンニュートラル実現の両立に向け、脱炭素のベースロード電源としての重要な役割を担う。このため、2030 年度電源構成に占める原子力比率 20~22%の確実な達成に向けて、安全最優先で再稼働を進める。

着実な再稼働を進めていくとともに、円滑な運営を行っていくため、地元の理解確保に向けて、国が前面に立った対応や事業者の運営体制の改革等を行う。具体的には、「安全神話からの脱却」を不断に問い直し、規制の充足にとどまらない自主的な安全性向上、地域の実情を踏まえた自治体等の支援や防災対策の不断の改善等による立地地域との共生、手段の多様化や目的の明確化等による国民各層とのコミュニケーションの深化・充実に取り組む。

将来にわたって持続的に原子力を活用するため、安全性の確保を大前提に、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組む。地域の理解確保を大前提に、まずは廃止決定した炉の次世代革新炉への建て替えを対象として、六ヶ所再処理工場の竣工等のバックエンド問題の進展も踏まえつつ具体化を進めていく。

その他の開発・建設は、各地域における再稼働状況や理解確保等の進展等、今後の状況を踏まえて検討していく。あわせて、安全性向上等の取組に向けた必要な事業環境整備を進めるとともに、研究開発や人材育成、サプライチェーン維持・強化に対する支援を拡充する。また、同志国との国際連携を通じた研究開発推進、強靱なサプライチェーン構築、原子力安全・核セキュリティ確保にも取り組む。

既存の原子力発電所を可能な限り活用するため、原子力規制委員会による厳格な安全審査が行われることを前提に、運転期間に関する新たな仕組みを整備する。現行制度と同様に、運転期間は 40年、延長を認める期間は 20年との制限を設けた上で、一定の停止期間に限り、追加的な延長を認めることとする。

あわせて、六ヶ所再処理工場の竣工目標実現などの核燃料サイクル推進、廃炉の着実かつ効率的な実現に向けた知見の共有や資金確保等の仕組みの整備を進めるとともに、最終処分の実現に向けた国主導での国民理解の促進や自治体等への主体的な働きかけを抜本強化するため、文献調査受け入れ自治体等に対する国を挙げての支援体制の構築、実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)の体制強化、国と関係自治体との協議の場の設置、関心地域への国からの段階的な申入れ等の具体化を進める。
原発の活用が再生エネルギーの次に位置づけられているのが、ちょっと気にならないわけではないですけれども、「ベースロード電源としての重要な役割を担う」と定義した上で、「次世代革新炉の開発・建設」と「原則40年、最長20年延長できると定めた運転期間から停止期間を除いて」、事実上、約10年の運転延長を認めたことは評価できます。


3.電気自動車は大丈夫か?


とはいえ、電気だけはやはり困った場面も出てきます。

12月18日から新潟県の中下越で降り続いた大雪では、県が渋滞解消のため柏崎、長岡、小千谷、魚沼の4市に災害救助法を適用。自衛隊の災害派遣を要請しています。

柏崎市の国道8号では一時、渋滞が22キロに及び、長時間車内での待機を余儀なくされる状況になりました。

ネットでは、「電気自動車は大丈夫か?」、「どれくらいバッテリー持つんだろう?」、「今年も雪で立ち往生か… あれ起きちゃうと電気自動車なんて無力だよね」、「少なくともこの国には向いてないわ」、「電気自動車なら、凍死してた」、「電気自動車を考えていたけど、立ち往生中のニュースを見てたら検討し直した方が良さそう」、「電気自動車、冬は無理」といった心配の声が続出しました。

政府はEVの普及を推進し、欧米を中心に脱炭素の流れはまだ継続しているのですけれども、雪でスタックして動けない場合、ガソリン車なら万が一のときでも携行缶による補給があるのに対し、EV車は充電できず、雪のみならず災害そのものに弱いという指摘もあります。

ある自動車整備士は、立ち往生のEV車について、「にっちもさっちもいかなくなっちゃう。航続距離が長くてもあれだけの寒さの中でヒーター焚いて待っていれば、携帯と同じで充電はなくなりますよね。充電がないと車は動かないわけで、EVクイックという充電スポットがありますけど、地方はインフラも整備されていない。車自体が発熱もしないだろうから、ボンネットの雪も解けにくいだろうしね。地方で100%のEVはちょっとまだ厳しい……雪国行くときは、“ガソリンが半分になったら必ず満タンにしろ”と昔はよく教わりましたよね。世界を見ると、EVは都市圏に人気。地方に行っちゃうと、充電設備が少ないので、化石燃料とかディーゼルエンジンに頼るしかない」とコメントしています。


4.岐路に立つエネルギー政策


ウクライナ戦争を機縁とする日本を取り巻く、昨今の状況を見るにつけ、エネルギー政策にせよ安全保障にせよ、いままでのやり方を見直せと天が示しているように見えなくもありません。太陽光にしても、今回のような豪雪では全く無力です。

政府の「GX実現に向けた基本方針」では、再生可能エネルギーの主力電源化を掲げ、「関係省庁・機関が密接に連携しながら、2030年度の電源構成に占める再生可能エネルギー比率36~38%の確実な達成を目指す」と謳っています。

具体的には「太陽光発電の適地への最大限導入」「洋上風力の導入拡大」「海底直流送電の整備」「定置用蓄電池導入」、「揚水発電所の維持・強化」などを挙げています。

これらの中で安定電源という意味では、直流送電とか、定置用蓄電池、揚水発電所といった、電気ロスの低下や効率的発電はまだ可能性があると思いますけれども、太陽光と洋上風力は厳しいでしょう。

安定化できれば御の字で、発電量のアップや主力電源という意味では原発が一番だと思います。

その意味で、今回原発推進に舵を向けたことは大きく、新設・増設含め、電力の安定確保に取り組んでいただきたいと思いますね。


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